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なおしのお薦め本(61)『独身手当』

  クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。「オマケ」つきです。

 

   『独身手当

            若林 亜紀

  厚生労働省の外郭団体“日本労働研究機構”に勤務していた著者が、「公務員の生態を、手当てをキーワードに紹介しよう」とした本です。

 書名の「独身手当」というのは、著者が名づけた名称です。正式名称は「結婚祝い等調整給付金」といって、川崎市役所では「勤続15年以上でずっと独身だった職員が満40歳になると現金7万円がもらえる」そうです。

  そういうトンデモない手当の数々が、これでもかとばかり紹介されています。血圧の高い方は、一挙に読まないほうがいいかもしれません。

 

 取材で明らかになったことも確かに興味深いのですが、やはり一番おもしろかったのは著者の個人的な経験談です。引用します。

 「そもそも私のいた特殊法人は、表向きは労働問題の研究所だったが、まじめに研究する気などさらさらなく、私のような事務職員に『研究員』と書いた名刺をもたせ、ニセ研究員に仕立てあげた。私たちはただ遊んでいればよく、実働は1日10分だった。わずかにいた本物の研究員の1人は、研究所の仕事として厚労省の業績評価をすることになった。ハローワークの研究をしたが、報告書を書くにあたり厚労省から強い圧力を受けた。そして、『まともに研究すれば、今の政策はだいたい、ムダとか、おかしいという結論になるんですよ』と言って辞めてしまった。また、広報部門が厚労省に都合の悪い調査結果をうっかり発表してしまったときは、『本省が法案を通そうとしているときに、それに否定的な結果を発表するのは控えてほしい』と厚労省の局長に叱られたこともある。厚労省は、どうも、天下りの受け皿としてだけ、この研究所をつくったらしい」

  夢のような職場です。特に過労死寸前の人にとっては。

  もちろん、救いがないことばかり書かれているわけではありません。すべての役所、すべての公務員がおかしいわけではない。……給料以上に働いている公務員も少なくないし、多くの公務員はまじめで、常識的な感覚をもつ」と、あとがきにあります。そしてそのあとに、著者が一番言いたいことが書かれていると思います。引用します。

  「ただ、非常識な手当に象徴される甘さが役所にあることは事実である。これが、巨額の財政赤字や年金不安、官製談合をも許す土壌となってきた。逆に言えば、役所に常識を取り戻すだけで、増税や年金保険料の引き上げなしに、財政の均衡と将来への安心をとり戻すことができると思う」

 

 公務員の実態を知りたい人にオススメです。    なおし

 

             ■参考記事

      ※もりぞう爺さんの話(上) 

       オマケ

       ―なおしのメール―

松田さん、こんばんは。
 
今回のオススメ本は「独身手当」です。
先週クリエイトに持っていったのですが、Cさんはパラパラと見て、読むのをあきらめたようです。心を乱すと思ったのでしょうか。ちなみにクワタさんは読んだそうです。
確かに、何も知らないでこの本を読んだら、頭にくるのは当然です。そこを著者は狙っているんでしょうけど。
確かにとんでもないことが書かれていますが、まずは知ることが大事だと私は思います。
それではまた。       小川なおし
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
独身手当ってほんとにあったんですね (空猫)
2015-02-07 05:39:47
以前、職場の独身男性(四十代)に、お義理で
「男性の独身は既婚者に比べて大変ですよね。
奥さんがやってくれること全部自分でしなきゃいけないから」
と声を掛けたら、「ほんとだよ。独身手当がほしいよ」と返され、

「結婚して他人の世話までしなきゃならなくなった人もいるのに、それは甘いわ!!」

と笑い飛ばしたことを思い出しました……まさかほんとにあったとは。
 
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