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なおしのお薦め本(79)『人間は脳で食べている』

  クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。

 

人間は脳で食べている

                  伏木 亨

  題名で内容がわかってしまいましたか。

  それでも、気持ちをあらためて読んでおいた方がいい本だと思います。

  二か所、引用します。

  「人間は、エネルギーが充足してもなかなか食べ止めない。食べ過ぎてしまう。満足感の作動が鈍いとも言える。だから太りやすい。しかし、これは人間の機能のせいだけではない。調理や料理の歴史は、動物としての正常な満足感をうち破るための魅力的な味付けに腐心してきた。食の文化が人間の生理的な制御を凌駕したと言うこともできる。

  現代人の味覚や食行動は、生命を維持するための緊張感からはほど遠いものである。緊張感なしで食事ができることは、情報を使うという高度な技を手に入れた報酬であるのかも知れない。また、食の楽しみというのも安心感の上で成り立っている。そのかわりに、人間の味覚や嗅覚は生死をかけた真剣な吟味という機会を失い、動物に比べると著しく鈍いものになってきていることも事実である。」

  もう一か所、どうぞ。

  「だんだん多くの国の人間が快感探求に合流し、貪りながらゆっくりとした破滅の時を過ごす。じたばたしても流れの方向は変わりそうもない。大きく発達した脳を持ってしまった人間という動物の運命である。個人には終焉があるし、動物種は至る所で絶滅している。人類に終焉があっても不思議ではない。もしも人類に終焉があるならば、肥大した脳が快感欲求に陥り、動物としての人間に興味を持たなくなることが関わっていると思えてならない。肥大した脳にすべてを任せず、推測や先回りばかりせずに、自分の感覚を磨くことがまっとうな道だと私は思う。」

  食文化について、批判的な見方で書かれた本は少ないと思います。  

  おいしさとはなにか、少し離れて考えてみたい人にオススメします。  なおし

 

       

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