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クリエイト速読スクールブログ
なおしのお薦め本(32)『天使への扉』
クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。
『天使への扉』
メルヘンチックな題名とは裏腹に、内容は、心のうちを晒す激しいものです。知恵の森文庫オリジナルということで軽い気持ちで手に取ったのですが、途中から正座して読むことになってしまいました。
62の短編の中の、ひとつを引用します。「飽食」という題名がついています。
「人間って、そんなにたくさん食べなくても生きていけるんですよ。本当に少量でいいのです。私は、夕飯がお茶漬け一杯だけなんていうこともありますが、それでも平気です」
「五、六年前のことになりますが、母校の青山学院のクラス会が某高級レストランで行われた時のことです。豪華なバイキング形式で、食べ物がズラリと並び、お肉だけでも物凄い量がお皿に盛ってありました。でも、昼間からそんなにボリュームのある豪華な料理なんて食べられません。誰もその料理に手をつけようとしないのです。最後に口直しでお蕎麦まで出てきましたが、箸をつける人はいませんでした。そもそも私たちの年齢なら、お茶とお菓子があれば、それで充分だったのです。
私は、外食して食べ残した時は、必ず包んでもらって、家に持ち帰り、猫やカラスにあげているのですが、ここのレストランでは、『衛生上捨てさせていただきます』とのこと。私が、『家の猫の餌に持って帰りたい』と言っても、『それは一応禁止されております』と断られてしまいました。だから、私は言いました。『じゃ、動物は何のために殺されたの。無駄な殺生じゃない』と。そうしたらお店の女の子が、『そうですねぇ』なんて他人事のように言っていました。
大阪公演があった時、主催者の人が食事をたくさん頼んでくれたのですが、食べきれずに、手つかずのお料理がたくさん余ってしまいました。そこで、私が『これ、路上生活をしている人たちにあげたらどうかしら。橋の下にいるから、あの人たちのところに持って行きましょう』と言ったら、『それはいい考えだ、そんなことは気が付かなかった』と一緒だった人が言ってくれて、心得ているお店の人がきれいにお弁当箱に詰めて、袋にまでいれてくれて、それを路上生活をしている人たちにあげました。そうしたら、みんな、すごく喜んでくれました。でも、私にとっては、当たり前のことをしただけです。だから、こういうことをできない人のほうが、私にとってはむしろ不思議に思えるんです。でも、きっと、もし残った食べ物で誰かが食中毒をおこして訴えられたら面倒なので、どのお店でも、残飯として処分してしまうのでしょうね。私には、それがどうしても理解できません。
日本人って、一見、親切そうに見えても、実は心が冷たいのですね。自分勝手で冷たい人たちなのだと思います。プレゼントを贈ったり、贈り返したり、見えるところでは、そういうことをいくらでもしていますが、私に言わせれば、くだらないことです」
「マザー・テレサは、飛行機の中で、『残飯をどうぞ捨てないで、飢え死にしかけている人たちにあげてください』と言いました。とても有名な言葉ですが、日本人が、毎日捨てている残飯の量は、飛行機の残飯どころではありません」
「食べ物がなくて貧困にあえいでいる人たちが、今、同じ地球で一緒に生きているということを、食べ物を平気で捨てている日本の人たちに、どうしても分かってほしいです」
この、選民意識とは無縁の心構えが、フジ子さんの音色を作っているのだと、勝手に納得してしまいました。 なおし
■小川なおしさん参考記事
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お話です。
実際のところ、今の自分は食事に困ることは
ほとんどありません。そのことを当たり前のように、
と言うか、考えもせずに過ごしているのが現状です。
視野を広く持って生活しなければなりませんね。日々の食事に窮している人がいることは紛れもない
事実です。食糧支援とか、様々なことで彼らを
救うことができるのでしょう。
ただその前に、自分の身の回りでできる最低限の
こと。『食べ物を粗末にしない』。これだけは
絶対に守らなければなりませんね。
食べられる幸せにあらためて感謝です。