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なおしのお薦め本(58)『ゆるすということ』

  クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。今回も「オマケ」つきです。

 

 ゆるすということ』  

   ジェラルド・G・ジャンポルスキー

 原題は「Forgiveness」です。それなら「ゆるし」でいいようにも思いますが、おそらく宗教臭を避けたかったのでしょう。著者は精神医学者で、キリスト教の信仰を持っているようです。ですが、そういう信仰を持たない人にも役立つことが書かれています。

 まず問題になるのが、ゆるせない対象はなにかということです。著者はリストを書くように勧めています。具体的にあげられているのが、両親、義理の両親、家族、親戚、配偶者、別れた配偶者、昔の恋人、権威がある人、自分の身体、過去と現在の思考、感情、行動、神、運命、人生、事故、犯罪、迷惑行為などです。他の人のことはさっぱりわかりませんが、私には思い当たることがあります。

 特筆すべきなのは、著者が読者に対し「ゆるす」ように仕向けていないことです。

 「ゆるしは選択です。許さなければならないという決まりはありませんし、ゆるしの意義を信じる必要もないのです。ただゆるすかゆるさないかは自分の心に決めさせて、ゆるすと何が起きるか、ゆるさないと何が起きるかを、じっくり観察してください」

 このように任せられているのです。

 また感心するのは、著者が高所に立って道を説いていないことです。

 「ゆるしについて本を書いているいまでも、誘惑や困難にぶつかります。おそらく私たちは、肉体を持って生きているかぎり、『裁きたい』とか『ゆるしたくない』という誘惑にかられつづけることでしょう。ですから、瞬間ごとに新しく選択しなおすことを、永遠に思い出しつづける必要があるのです」

 立ち位置は読者と同じ、と著者は思っているのですね。

 ゆるしの性質について、こう書かれています。「ゆるしは妊娠と似ています。妊娠は、『妊娠しているか、妊娠していないか』のどちらかで、『ある程度妊娠している』ことはありえません。これと同じで、『ある程度ゆるす』というわけにはいきません。ゆるしは完全でなければならないのです。

 ゆるせない人や状況を、違う目で見てみるといいかもしれません。過去の恨みつらみにしがみつくことに価値があるのか、それとも害になるだけか、自分に問いかけるのです。

 ゆるしのプロセスには、決まった構造やかたちはありません。あなたがゆるそうとしている人は、まったく変わる必要がないのです。実際、その人は絶対に変わらないかもしれません。しかし、それでもいいのです。必要なのはただ一つ、あなた自身の思いを変えることなのですから

 どうやら、部分的、表面的にゆるす、ということはありえないようです。

 そういうわけでこの本は、全面的にはゆるすことができない、という人がいる方にオススメです。 なおし

 

             ■参考記事

      ※もりぞう爺さんの話(上) 

       オマケ

       ―なおしのメール―

松田さん、こんばんは。
ひさしぶりにオススメ本が見つかりました。
「ゆるすということ」という本です。
山崎さんにちょっと見せたところ、「これなら私にも読めるね」と言うので貸してあげました。翌日「あの本はとてもいいねえ。私の母は、私が子どものころ駆け落ちをして家を出てしまって、私たちは置いていかれたのよ。だけど何年かして戻ってきて……」と身の上話を聞かされました。ゆるしてよかった、という話でした。
そういうわけで、この本は山崎さんのオススメ本でもあります。
それではまた。                  小川

コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
深いですね~ (空猫)
2015-01-24 03:44:31
最近、図書館のインターネット蔵書検索を利用することを覚えました!
でも、けっこう置いてないものですね。
この本は、他の分館にありました。

なんとインターネットで予約までできるんですね!!
今まで苦心していたのはなんだったんでしょう!!
ちょっと今から登録しに行ってきます!!!
 
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