“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

「叱らない子育て」って叱っちゃいけないの?

2024年12月15日 12時42分44秒 | 子どもの心の問題
昨今はやりの「叱らない子育て」というワード。
これにとらわれると、親は叱った自分を責めたり、ノイローゼになってしまいそうです。

「叱ることのデメリットを回避する」と視点を変え、
「叱らないで済むスキルを磨く」と考えると少し楽になりそう。

LITALICOの動画で井上雅彦先生(鳥取大学教授)のレクチャーを聴きましたので、
メモを残しておきます。

▢ 叱ってはいけないのか?
・「よい行動を増やす」のが基本だけど「ダメなことをダメと言わない」わけではない。
・避けたい叱り方
✓ 人格否定・・・こどもの自尊心を傷つける
✓ 感情的に叱り続ける・・・お互いの行動がエスカレートして単なる親子ゲンカになってしまう
✓ 「ダメ」を指摘するのみ・・・どうすればよいかを学べない
 → 冷静に「ダメな理由」+「どうすればいいか」をセットで伝える、が理想だが・・・
・とりあえず「ちょっとやめて」と制止するのが最初、その後大人とこどもの両者の気持ちが落ちつくまで待って「ダメな理由」「どうすればよいか」を説明しないと伝わらない、理解してもらえない。

▢ 「ダメなこと・やってはいけないこと」の伝え方
3つの流れがあることを意識することがポイント;
① 不適切な行動を止める。
・毅然とした態度でシンプルに伝える。
・「ストップ!」と声をかけ、それでもダメなら体を使う。
② お互い落ちつく。
・こどもの興奮が高まっているときは、何を話しても耳に入らない。
・お互いに興奮していると言動がエスカレートしやすい。
・こどもの態度が親の感情を逆なでし、その親の態度でこどもがさらに興奮し悪循環を形成する。
・興奮しているときは一旦距離を取るなどクールダウンが必要。
③ 次につなげる(こどもの発達特性に合わせて伝える)。
・こどもに行動の理由を聞き、共感的な態度を示す。
・「どうして、ダメ・してはいけないのか」こどもの理解を促す。
・どうするとよいか“適切な行動“を一緒に確認する。

★ 弁の立つこどもは「〇〇ちゃんのうちではいいのに、どうしてうちだけダメなの?」と聞いてくる。
こどもの気持ちに共感して寄り添うことは大切だが、その議論には深くつき合わないで、
「これが我が家のルールです、お願いします。」と答えて切り上げる。
★ 「自分がされたらどう思う?」と聞いて「別にイヤじゃないけど」と答えたら・・・
「我が家のルールです」「やってほしくないことです」「おねがいします」で通す。
★ 「適切な行動」が思い浮かばないときは、「最悪の行動は取らない」を提示するとよい。

▢ 時には「ガツン」も必要?
・「ガツンと叱る」は叱る人(=親)の行動が強化されやすい。
・こどもの行動が一次的に止まるため効果を感じやすく、「叱るループ」にはまりやすい。
・ “時には”がいつの間にか“いつもガツン”や“気分次第でガツン”になってしまうリスクあり。
・常態化(気分次第でガツン)になってしまうと効果が薄れる。いけないことで叱られているのではなく、親の機嫌で叱られていると伝わり、残らない。ネガティブな効果が大きくなりやすい。
・「ガツンと叱る」を有効に使うためには、ガツンの基準をしっかり持って両親で共有しておく必要がある(けっこう難しい)。

▶ 避けたいガツン
・頻繁に雷を落とす。
・こどもの話を聞かない。
・一貫性がない。

▶ これならOK!のガツン
・大事なときは口調や表情に力を込めて伝える。
 〜信頼関係があることが前提
 〜ここぞ、というタイミングで
・大人が気分次第ではなく“真剣に伝えている“ことがわかる環境作りがポイント。

・・・以上、叱る側の大人は「効果的に叱るスキル」を身につけることが必要なのですね。