著者:鈴木雅子、株式会社カンゼン、2005年発行。
著者の肩書きは「NPO法人 日本食育協会理事、医学博士」とのこと。
最近よく耳にする「食育」について、一般図書にはどんな内容が書いてあるのか読んでみました。
書名の通り、「和食」の良さを根拠を上げてわかりやすく解説しています。
一言で表すなら「菓子パンにジュースよりご飯に具だくさん味噌汁が好ましい」。
目から鱗が落ちた箇所を抜粋してみます。
★ヒトとサルの食生活の違い
ゴリラやチンパンジーなどは多くが植物性のもので、その種類も限られたものでした。
ところがヒトは動物性・植物性のものを同じくらいずつ食べたのです。ヒトは雑食性の動物と言えます。
雑食により色々な食べ物から色々な栄養素を取ることが可能となり、この結果脳も大きく育てることができました。
つまり、ヒトは約500万年という長い間雑食を続け、動物性・植物性の色々な種類の食べ物を食べて、色々な栄養素を体内に取り入れ、脳や体を発達させていったのです。
★風土はFood(フード)・・・これは他の本でも見たことがあるフレーズですね。
現在の日本人の食卓には世界の食材があふれていますが、ほんの100年前までは身近な食材しか手に入りませんでした。
その食材により体つきも異なってきて世界を見渡すと民族間で体格が違います。
食料がタンパク質やカルシウムの多いものである地域の人たちは体の大きな人種となり、イモ類や穀類などの糖質が多いものであれば身長があまり高くない人種となりました。米類を主食としてきた日本人の小腸は1.5mありますが、肉類を主食にしてきたヨーロッパジンは1.0mしかありません。
日本人の食生活はこの50年間で劇的に変化し、一気に西欧化しました。1000年分の変化である、との説もあります。
★「食育」の語源
「食道楽」の著者:村井弦斎(1863~1927年)が「知育よりも、徳育よりも、体育よりも、食育が大事」と述べたことが始まりです。
★栄養不足と脳の発達
・脳の発達に必要な栄養素が不足すれば、知能が遅れ、精神状態が不安定(イライラする、すぐカッとなる、無気力、集中力が無くなる、ちょっとしたことにも耐えられない・・・)な子どもを作ってしまうことが1970年代の研究で明らかにされました。
・「好きなときに好きなものを好きなだけ食べる」という現代っ子の食生活・・・その内容は高カロリー、高脂肪、高タンパク、高糖質(特に砂糖など)で、ビタミン類とミネラル類それに食物繊維が少ないことが特徴です。ビタミン・ミネラル不足は脳の栄養失調に直結します。
★味覚と偏食
・苦味や渋みなどのあるものには、健康を損ねる物質(アルカロイドなどの毒物が多い)が含まれることが多く、人間には好ましくない味として考えられてきました。ところが、こういう味も人間は少しずつ体験し、害のないものにするという服をして受け入れるようになりました。コーヒー、お茶、チョコレート、山菜などの飲食物がそうです。今でもこの味は、それぞれのヒトが少しずつ体験して初めて受け入れるようになります。母乳は乳糖が含まれほのかな甘い味。赤ちゃんはにがい味のものを初めて口にすると吐き出します。
・・・苦いピーマンが嫌いなのはワガママではなくて本能によるものなのですね。
★運動による消費カロリー
・体重を1kg減らすには6000キロカロリーの消費をする必要があります。これを運動でやろうとすると、
テニス :12~20時間
クロール :6~10時間
ジョギング:10~12時間
と大変なことになります。
★子どもの便秘は食事で治す
・子どもの便秘のほとんどは繊維の少ない食生活が原因です。「かまないで飲み込む」食品の特徴はほとんど線維芽服kまれていないことです。繊維の多いものとして海藻類、豆類、キノコ類、イモ類、野菜類があります。
・昭和25年と平成10年の日本人の食生活を比較すると、肉類は2.5倍、油脂類は7倍弱、乳製品は3.2倍に増えています。増えているのは皆食物繊維が乏しい食品です。
・食物繊維は水に溶けるものと溶けないものとがあります。溶けるものとして次のものがあります;
果物中のペクチン:ジャムをイメージしてください。果物中の食物繊維はわずかです。
海藻中の多糖類:昆布などを水に入れておくと溶け出てくるドロリとしたもの
便秘予防には溶けない食物繊維の方が効果的です。
・野菜サラダでは思っているほど食物繊維は摂れません(湯通ししたり炒めると量がほんの少しになりますね)。火を通してかさを減らしてできるだけ量を多く食べられる方法(ギョウザ、ハンバーグに入れるなど)がよいでしょう。
・食物繊維の効用は便秘の予防に限らず、大腸癌の予防、高血圧、動脈硬化、糖尿病、肥満の予防と色々です。さらに食物繊維は腸内で有害物質を吸着して便と一緒に体外に排泄するという大事な働きもあります。
★不足するカルシウム
・現在の日本では、牛乳の消費量が少なかった50年前より骨折するヒトの数が倍以上多い。
・1週間寝たきりでいると全骨量が1%減る。
★ペットボトル症候群
糖分の多い清涼飲料水を1日に何リットルも飲んでいると高血糖を起こして脱水症状になります。するとさらに喉が渇くのでペットボトルを抱えて飲むことになり、この悪循環から高血糖が悪化して意識障害をきたすのです。
小さい頃から甘いものばかり食べさせていると味覚が十分発達せず、フランスで言う「味覚の障害者」になってしまいます。その結果、大きくなってからも甘いものが中心の食生活になりがちです。
★日本型食生活の勧め
日本の米の生産は縄文時代に既に始まっていたそうです。米は雨の多いこの国の気候によく合った作物で、収穫量が多く味の良い優れたものです。
米の栄養価は、白米でも良質なタンパク質が6.8%も含まれ、タンパク質の良さを決めるアミノ酸スコアは穀物の中では日本そばと並んで65という最も高い数値を示しています。脂質は玄米で約3%、白米で1.3%、さらにミネラル類としてカルシウム、リン、鉄、ナトリウム、ビタミン類はB1、B2、ナイアシンなどが含まれています。
この米を主食に、野菜類、豆類、魚介類、海藻類などを組み合わせ、日本独特の食文化を形成し、江戸時代後半には日本型食生活の基盤が完成しました。
食パンと比較すると、同じ100グラムの持つカロリーはパン264キロカロリーに対してご飯は148キロカロリーです。
★マクガバン・レポート
1977年アメリカの国民栄養特別委員会が発表したレポートで、その内容は「増加する生活習慣病のガン、心臓病、肥満などを減らすために、肉と砂糖を大幅に減らし、穀類と青野菜を摂るべし」という警告です。そして理想は「昔の日本食」と指摘しています。
その改訂版では子どもの食生活にも言及しています。
「現在あまりにも多い添加物などのchemical agents、脳の栄養バランスを崩すような加工食品の急増、また食品の過度な加工によるビタミン、ミネラルの不足、こうした様々な現代社会に特有の食品環境は子どもの頭脳と心の働きを崩すことが明白となった。現代社会では間違った食事によって子ども達の心まで狂わされている。しかし食事内容の改善は子どもの心を健康に導くことができるしその方法もわかってきている。」
★ADHDと食生活
1973年、アメリカの免疫学者B.ファインゴールド博士は「暴れる、イライラする、勉強が嫌いという状態は食事に含まれる合成添加物が原因」というレポートを発表しました。これに基づき、合成着色料・酸化防止剤・サリチル酸などを除いた食事に変更すると子ども達の「いらつく」行動を50%以上改善させることに成功しました。
★食品添加物について
現在日本では化学合成添加物が345種類、天然添加物が488種類許可されています。
私たちは毎日10グラム、約60種類の食品添加物を食べているそうです。
★遺伝子組換え食品
ある作物に他の生物の遺伝子を組み込み、外注や農薬に強くしたり栄養素を増やしたりしたものが遺伝子組換え作物で、この作物を原料にして作られたのが遺伝子組換え食品です。
近縁種(種類が似た作物)同士を交配して品種改良したものはこれまでにもたくさん作られていて問題ないのですが、遺伝子組換え作物というのは種類の違う生き物、微生物と農作物などの間で遺伝子を入れ替えているのです。
このように生物の間で異種の遺伝子が入れ替えられることは、自然界では絶対にありません!
何が起こるかわからないのです。
★輸入食品の問題点「安全より経済性」
日本の法律では農作物に対し246品目の農薬が残留しているかどうか調べることになっています(2005年)。
外国から遠い距離を長い時間をかけて運ぶ必要のある食材を腐らずカビないよう鮮度を保とうとすると、どうしても薬品を使うことになります。冷凍・冷蔵はコストがかかるため品物が高くなり、薬品の方が安上がりというわけです。
ここで特に問題なのは、日本に輸出するために収穫後もさらに農薬を使っていることで、これを「ポスト・ハーベスト・アプリケーション(収穫後の使用)」といい、一般的にはポスト・ハーベストと呼ばれています。
★フード・マイレージ
輸入食材をわかりやすく比較する方法として考え出されました。
「食料輸入量」×「生産地から日本までの距離」で表されます(単位はトン・キロメーター)。
遠いところからたくさん食料を輸入するとそれだけ高い数値になります。
2001年の日本のフード・マイレージの総量は9000億トン・キロメーターでした。世界の中で最高値であり、フランスは日本の約1割という結果でした。
★野菜ジュースは体に良い?
100%野菜ジュースは大変体に良さそうですが、「これを飲んだから野菜は食べなくてよい」と考えないでください。ビタミンやミネラルはともかく、ジュースでは食物繊維が十分に摂れません。入っていたとしても水に溶けるタイプの繊維だけなので、質的にも量的にも不十分です。「飲まないよりまし」程度の位置づけであって、野菜ジュースだけでや佐産即を解消することはできないことを覚えておいてください。
★ファーストフードの正体
ファーストフードはビタミンやミネラルなどの微量元素が不足しています。
子ども達に人気のハンバーガーの特徴は脂質が多いことです。自分でハンバーグを作ってみればよくわかりますが、ハンバーグは本来あんなに柔らかいものではありません。脂質が多量に含まれているから柔らかいのです。
★トンカツ屋のキャベツ
トンカツ屋さんのキャベツは妙にしゃきしゃきしていることがあります。千切りにしたキャベツを水にさらしているからです。こうすると栄養素が水に溶け出して大幅に減少してしまいます。こんなキャベツをたくさん食べたとしても、摂れるのはわずかの食物繊維と水だけといっても良いでしょう。
著者の肩書きは「NPO法人 日本食育協会理事、医学博士」とのこと。
最近よく耳にする「食育」について、一般図書にはどんな内容が書いてあるのか読んでみました。
書名の通り、「和食」の良さを根拠を上げてわかりやすく解説しています。
一言で表すなら「菓子パンにジュースよりご飯に具だくさん味噌汁が好ましい」。
目から鱗が落ちた箇所を抜粋してみます。
★ヒトとサルの食生活の違い
ゴリラやチンパンジーなどは多くが植物性のもので、その種類も限られたものでした。
ところがヒトは動物性・植物性のものを同じくらいずつ食べたのです。ヒトは雑食性の動物と言えます。
雑食により色々な食べ物から色々な栄養素を取ることが可能となり、この結果脳も大きく育てることができました。
つまり、ヒトは約500万年という長い間雑食を続け、動物性・植物性の色々な種類の食べ物を食べて、色々な栄養素を体内に取り入れ、脳や体を発達させていったのです。
★風土はFood(フード)・・・これは他の本でも見たことがあるフレーズですね。
現在の日本人の食卓には世界の食材があふれていますが、ほんの100年前までは身近な食材しか手に入りませんでした。
その食材により体つきも異なってきて世界を見渡すと民族間で体格が違います。
食料がタンパク質やカルシウムの多いものである地域の人たちは体の大きな人種となり、イモ類や穀類などの糖質が多いものであれば身長があまり高くない人種となりました。米類を主食としてきた日本人の小腸は1.5mありますが、肉類を主食にしてきたヨーロッパジンは1.0mしかありません。
日本人の食生活はこの50年間で劇的に変化し、一気に西欧化しました。1000年分の変化である、との説もあります。
★「食育」の語源
「食道楽」の著者:村井弦斎(1863~1927年)が「知育よりも、徳育よりも、体育よりも、食育が大事」と述べたことが始まりです。
★栄養不足と脳の発達
・脳の発達に必要な栄養素が不足すれば、知能が遅れ、精神状態が不安定(イライラする、すぐカッとなる、無気力、集中力が無くなる、ちょっとしたことにも耐えられない・・・)な子どもを作ってしまうことが1970年代の研究で明らかにされました。
・「好きなときに好きなものを好きなだけ食べる」という現代っ子の食生活・・・その内容は高カロリー、高脂肪、高タンパク、高糖質(特に砂糖など)で、ビタミン類とミネラル類それに食物繊維が少ないことが特徴です。ビタミン・ミネラル不足は脳の栄養失調に直結します。
★味覚と偏食
・苦味や渋みなどのあるものには、健康を損ねる物質(アルカロイドなどの毒物が多い)が含まれることが多く、人間には好ましくない味として考えられてきました。ところが、こういう味も人間は少しずつ体験し、害のないものにするという服をして受け入れるようになりました。コーヒー、お茶、チョコレート、山菜などの飲食物がそうです。今でもこの味は、それぞれのヒトが少しずつ体験して初めて受け入れるようになります。母乳は乳糖が含まれほのかな甘い味。赤ちゃんはにがい味のものを初めて口にすると吐き出します。
・・・苦いピーマンが嫌いなのはワガママではなくて本能によるものなのですね。
★運動による消費カロリー
・体重を1kg減らすには6000キロカロリーの消費をする必要があります。これを運動でやろうとすると、
テニス :12~20時間
クロール :6~10時間
ジョギング:10~12時間
と大変なことになります。
★子どもの便秘は食事で治す
・子どもの便秘のほとんどは繊維の少ない食生活が原因です。「かまないで飲み込む」食品の特徴はほとんど線維芽服kまれていないことです。繊維の多いものとして海藻類、豆類、キノコ類、イモ類、野菜類があります。
・昭和25年と平成10年の日本人の食生活を比較すると、肉類は2.5倍、油脂類は7倍弱、乳製品は3.2倍に増えています。増えているのは皆食物繊維が乏しい食品です。
・食物繊維は水に溶けるものと溶けないものとがあります。溶けるものとして次のものがあります;
果物中のペクチン:ジャムをイメージしてください。果物中の食物繊維はわずかです。
海藻中の多糖類:昆布などを水に入れておくと溶け出てくるドロリとしたもの
便秘予防には溶けない食物繊維の方が効果的です。
・野菜サラダでは思っているほど食物繊維は摂れません(湯通ししたり炒めると量がほんの少しになりますね)。火を通してかさを減らしてできるだけ量を多く食べられる方法(ギョウザ、ハンバーグに入れるなど)がよいでしょう。
・食物繊維の効用は便秘の予防に限らず、大腸癌の予防、高血圧、動脈硬化、糖尿病、肥満の予防と色々です。さらに食物繊維は腸内で有害物質を吸着して便と一緒に体外に排泄するという大事な働きもあります。
★不足するカルシウム
・現在の日本では、牛乳の消費量が少なかった50年前より骨折するヒトの数が倍以上多い。
・1週間寝たきりでいると全骨量が1%減る。
★ペットボトル症候群
糖分の多い清涼飲料水を1日に何リットルも飲んでいると高血糖を起こして脱水症状になります。するとさらに喉が渇くのでペットボトルを抱えて飲むことになり、この悪循環から高血糖が悪化して意識障害をきたすのです。
小さい頃から甘いものばかり食べさせていると味覚が十分発達せず、フランスで言う「味覚の障害者」になってしまいます。その結果、大きくなってからも甘いものが中心の食生活になりがちです。
★日本型食生活の勧め
日本の米の生産は縄文時代に既に始まっていたそうです。米は雨の多いこの国の気候によく合った作物で、収穫量が多く味の良い優れたものです。
米の栄養価は、白米でも良質なタンパク質が6.8%も含まれ、タンパク質の良さを決めるアミノ酸スコアは穀物の中では日本そばと並んで65という最も高い数値を示しています。脂質は玄米で約3%、白米で1.3%、さらにミネラル類としてカルシウム、リン、鉄、ナトリウム、ビタミン類はB1、B2、ナイアシンなどが含まれています。
この米を主食に、野菜類、豆類、魚介類、海藻類などを組み合わせ、日本独特の食文化を形成し、江戸時代後半には日本型食生活の基盤が完成しました。
食パンと比較すると、同じ100グラムの持つカロリーはパン264キロカロリーに対してご飯は148キロカロリーです。
★マクガバン・レポート
1977年アメリカの国民栄養特別委員会が発表したレポートで、その内容は「増加する生活習慣病のガン、心臓病、肥満などを減らすために、肉と砂糖を大幅に減らし、穀類と青野菜を摂るべし」という警告です。そして理想は「昔の日本食」と指摘しています。
その改訂版では子どもの食生活にも言及しています。
「現在あまりにも多い添加物などのchemical agents、脳の栄養バランスを崩すような加工食品の急増、また食品の過度な加工によるビタミン、ミネラルの不足、こうした様々な現代社会に特有の食品環境は子どもの頭脳と心の働きを崩すことが明白となった。現代社会では間違った食事によって子ども達の心まで狂わされている。しかし食事内容の改善は子どもの心を健康に導くことができるしその方法もわかってきている。」
★ADHDと食生活
1973年、アメリカの免疫学者B.ファインゴールド博士は「暴れる、イライラする、勉強が嫌いという状態は食事に含まれる合成添加物が原因」というレポートを発表しました。これに基づき、合成着色料・酸化防止剤・サリチル酸などを除いた食事に変更すると子ども達の「いらつく」行動を50%以上改善させることに成功しました。
★食品添加物について
現在日本では化学合成添加物が345種類、天然添加物が488種類許可されています。
私たちは毎日10グラム、約60種類の食品添加物を食べているそうです。
★遺伝子組換え食品
ある作物に他の生物の遺伝子を組み込み、外注や農薬に強くしたり栄養素を増やしたりしたものが遺伝子組換え作物で、この作物を原料にして作られたのが遺伝子組換え食品です。
近縁種(種類が似た作物)同士を交配して品種改良したものはこれまでにもたくさん作られていて問題ないのですが、遺伝子組換え作物というのは種類の違う生き物、微生物と農作物などの間で遺伝子を入れ替えているのです。
このように生物の間で異種の遺伝子が入れ替えられることは、自然界では絶対にありません!
何が起こるかわからないのです。
★輸入食品の問題点「安全より経済性」
日本の法律では農作物に対し246品目の農薬が残留しているかどうか調べることになっています(2005年)。
外国から遠い距離を長い時間をかけて運ぶ必要のある食材を腐らずカビないよう鮮度を保とうとすると、どうしても薬品を使うことになります。冷凍・冷蔵はコストがかかるため品物が高くなり、薬品の方が安上がりというわけです。
ここで特に問題なのは、日本に輸出するために収穫後もさらに農薬を使っていることで、これを「ポスト・ハーベスト・アプリケーション(収穫後の使用)」といい、一般的にはポスト・ハーベストと呼ばれています。
★フード・マイレージ
輸入食材をわかりやすく比較する方法として考え出されました。
「食料輸入量」×「生産地から日本までの距離」で表されます(単位はトン・キロメーター)。
遠いところからたくさん食料を輸入するとそれだけ高い数値になります。
2001年の日本のフード・マイレージの総量は9000億トン・キロメーターでした。世界の中で最高値であり、フランスは日本の約1割という結果でした。
★野菜ジュースは体に良い?
100%野菜ジュースは大変体に良さそうですが、「これを飲んだから野菜は食べなくてよい」と考えないでください。ビタミンやミネラルはともかく、ジュースでは食物繊維が十分に摂れません。入っていたとしても水に溶けるタイプの繊維だけなので、質的にも量的にも不十分です。「飲まないよりまし」程度の位置づけであって、野菜ジュースだけでや佐産即を解消することはできないことを覚えておいてください。
★ファーストフードの正体
ファーストフードはビタミンやミネラルなどの微量元素が不足しています。
子ども達に人気のハンバーガーの特徴は脂質が多いことです。自分でハンバーグを作ってみればよくわかりますが、ハンバーグは本来あんなに柔らかいものではありません。脂質が多量に含まれているから柔らかいのです。
★トンカツ屋のキャベツ
トンカツ屋さんのキャベツは妙にしゃきしゃきしていることがあります。千切りにしたキャベツを水にさらしているからです。こうすると栄養素が水に溶け出して大幅に減少してしまいます。こんなキャベツをたくさん食べたとしても、摂れるのはわずかの食物繊維と水だけといっても良いでしょう。