日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

「内臓脂肪がストンと落ちる食事術」〜その2

2021-02-07 11:19:55 | 趣味
江部康二著(2019年、ダイヤモンド社発行)

読前の以下の疑問が、読後に解消したでしょうか・・・検証を試みます;

・脂肪は制限の必要ないとされるが、その根拠はあるのか。
→ 脂肪は動脈硬化の直接の原因にはならず、制限は必要ない。
・カロリー制限は必要ないというが、過剰なカロリーはどこに消えるのか。
→ 糖質制限食は“カロリー制限は必要ない”とするが、過剰摂取は勧めていない、適量摂取を。
・豆類は一律、糖質制限にお勧めの食材か。
→ 豆類でお勧めなのは大豆。それ以外は大豆よりたんぱく質含有比率が低く、炭水化物の比率が高くなる。
・練り物、ちくわ、かまぼこ、つみれ・・・似てるけど糖質含有量に差があるのか。
→ 練り物は炭水化物で粘りを出しているので糖質の塊。唯一、つみれは魚のたんぱく質中心なのでお勧め。
・おでんの具材で糖質制限するには、どのように選んだらよいか。
 ⇩
◎:卵、牛すじ、がんもどき、タコ、つみれ、厚揚げ、焼き豆腐
◯:大根、こんにゃく、シラタキ、ロールキャベツ
✖:ジャガイモ、餅入りの巾着、昆布、はんぺん、ちくわ、ちくわぶ(小麦粉の塊)、さつま揚げ、ゴボウ巻き
・チーズは糖質制限では良という評価である一方で、高血圧対策では悪と耳にしたが、それを打ち消す価値があるのか。
→ 記載なし。


※ ブログの容量オーバーで一項目では収まりきれなかったので、メモを追加しておきます。

□ 脳のエネルギー源はブドウ糖だけだから糖質制限は危険?
・脳細胞のエネルギー源は糖質だけでなく脂質(脂肪酸)から生じるケトン体も使われている。
・新生児の脳のエネルギー源としてケトン体が使われている。
・糖質制限をしても、肝臓で蛋白質(アミノ酸)などから糖質(ブドウ糖)を造る糖新生というシステムにより血糖値は正常に保たれる。
・もし糖質制限をして頭がボーッとするとしたら、糖質と同時にカロリー制限をするなどして、エネルギー不足になっていることが原因である。

□ 成長期の子どもには糖質が必要不可欠か?
・子どもの成長に欠かせない栄養素は、体内で作り出せないタンパク質と脂質、それにビタミン、ミネラル、食物線維であり、糖新生で作り出せる糖質は当てはまらない。
・乳児は糖新生の働きが未熟なため、母乳に含まれる乳糖で補っている。
・糖質過多の食事では血糖値の乱高下が生じて、集中力が落ちる。ADHDの不注意はこれが関連するケースが少なくない。

▢ 理想の食事回数は1日何食か?
・狩猟採集時代は獲物が手に入るまで食事にありつけず、飢餓との戦いだった。
・稲作が始まったのちも、日本人は長い間、庶民も貴族も1日2食がふつうだった。後醍醐天皇の時代は、朝食は正午、夕食は午後4時という記録がある。
・1日3食になったきっかけは、江戸時代の「明暦の大火」(1657年)という説がある。江戸の復興のために全国から集まった労働者たちは1日2食では体力が持たなかったため、1日3食の習慣が広まっていった。
・全国的に1日3食が定着したのは、明治維新後に軍隊ができたのがきっかけである。「白米が毎日3回食べられる」と宣伝して陸軍に兵隊を募集した。
・ヨーロッパ諸国では、15-16世紀(日本の戦国時代)に1日2食から3食に移行した。朝食は英語で「breakfast」であるが、1日の最初の食事=断食(fast)を破る(break)を意味していたのが転じて朝食という意味になった。

□ カロリー制限は必要か?
・糖質制限食では摂取カロリーを、さほど気にする必要はない。
・全体の8割の人は摂取カロリーを気にする必要は無いが、残りの2割の人は例外的に多少のカロリー制限が必要になることがある。
・その1割は「基礎代謝が異常に低いタイプ」で、大半がダイエットに熱心な女性。過去にカロリー制限とリバウンドを繰り返して筋肉量が非常に少なくなっているため、基礎代謝が異常に低い。このような人は、摂取カロリーを1日100〜200kcal減らすべし。
・残りの1割は「極度の大食いタイプ」。

□ アブラの基本
・アブラ(中性脂肪)=脂肪酸+グリセロール
・脂肪酸=飽和脂肪酸+不飽和脂肪酸
・飽和脂肪酸・・・肉の脂肪、ラード、バターなど動物性の脂質に多い。
・不飽和脂肪酸・・・魚類や植物油に多い。
・不飽和脂肪酸=一価不飽和脂肪酸+多価不飽和脂肪酸
・一価不飽和脂肪酸:オメガ9:オレイン酸・・・オリーブ油、菜種油など
・多価不飽和脂肪酸:必須脂肪酸=オメガ6、オメガ3
・オメガ6:リノール酸、アラキドン酸・・・コーン油、大豆油、サラダ油、紅花油など
・オメガ3:DHA、EPA、ALA
・DHA(ドコサヘキサエン酸)・・・マグロ、青魚(サバ、イワシ、アジ、サンマ)など
・EPA(エイコサペンタエン酸)・・・青魚(サバ、イワシ、アジ、サンマ)など
・ALA(α-リノレン酸)・・・エゴマ(シソ)油、アマニ油など

□ 体脂肪の元は「脂質」ではなく「糖質」
・糖質をたくさん食べると血糖値が上がり、インスリンが分泌されて筋肉と脂肪の細胞に取り込んで血糖値を下げる。余ったブドウ糖はグリコーゲンとして筋肉(200-300g)と肝臓(70-80g)に貯蔵される。
・肝臓・筋肉の貯蔵庫が満杯になると、インスリンは脂肪細胞に作用して中性脂肪として貯蔵させるよう舵を切る。これが体脂肪の正体である。
・体脂肪の原料は脂質と思われがちだが、これは間違いで、真実は糖質である。
・糖質制限をすると食後高血糖が抑えられてインスリンの大量分泌も避けられるため、内臓脂肪の蓄積も避けられる。

□ 「脂質」を食べても体脂肪にならない
・体脂肪の正体である中性脂肪は、3個の脂肪酸と1個のグリセロールからなり、グリセロールを代謝する酵素は脂肪細胞には存在しない。脂肪細胞に入れないグリセロールは肝臓に運ばれて糖新生の原料になってブドウ糖が造られる。つまり、脂質を食べてもそのまま体脂肪にはならない。

□ 内臓脂肪を減らすにはカロリー制限・脂質制限ではなく糖質制限
・肥満大国アメリカでは、食事中の脂質を減らすキャンペーンを張り、カロリに占める脂質の割合を4%減らした(36.9→ 32.8%)が、肥満率は2倍に増えた(14.5→ 30.9%)。
・脂質を減らしたのに肥満が増えたのは、安価な糖質の摂取量が増えたため。
・アメリカ男性の糖質摂取量はカロリー比で、1971年は42.4%、2000年には49.0%まで増えた。

□ インスリンは“肥満ホルモン”
・インスリンは細胞に血糖を取り込ませるだけでなく、体脂肪の分解も抑えて、さらには体脂肪の合成を促してしまうため、“肥満ホルモン”と呼ばれることがある。

□ 皮下脂肪の重要な役割
・緩衝材:外部からの衝撃を緩和するクッション
・断熱材:脂肪は熱を伝えにくいため、外気温が低くなっても一定の体温を保つことができる。人類が氷河期を生き残れた一因は皮下脂肪があったから。
・備蓄エネルギー:飢餓などの緊急時に備蓄エネルギーとして役立つ。ダイエットの当初は皮下脂肪は落ちにくいが、それは万一に備えているため。

□ 皮下脂肪過多は「洋ナシ型肥満」、内臓脂肪過多は「リンゴ型肥満」
・同じ肥満でも、皮下脂肪優位型の「洋ナシ型肥満」より、内臓脂肪優位型の「リンゴ型肥満」の方が、病気にかかるリスクは高くなる。
・これを背景に2008年に始まったのが「メタボ健診」(正式には「特定健診・特定保険指導」)。

□ メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
・メタボ(メタボリックシンドローム)は内臓脂肪症候群とも呼ばれ、中性脂肪の溜まりすぎから生じる血糖、血圧、中性脂肪値などの異常を意味する。これが動脈硬化を引き起こし、心臓病や脳卒中につながる。
・ウエストが「男性85cm」「助成90cm」という基準は、CTで測定した内臓脂肪の断面積が100㎠に相当する。これを越えると内臓脂肪から分泌される善玉ホルモンが減り、悪玉ホルモンが増える境界値。
・腹囲の基準を満たし、かつ「血糖値」「血圧」「脂質値」(HDLコレステロールと中性脂肪の値)のうち2つ以上が診断基準を満たすとメタボと診断される。


□ 脂肪細胞から分泌されるホルモン
・内臓脂肪が溜まりすぎると善玉ホルモンが減り、悪玉ホルモンが増える。
・皮下脂肪は悪玉ホルモンを内臓脂肪の1/2〜1/3程度しか分泌しない。
(善玉)
・アディポネクチン:インスリンの効き目を高めてくれる、余分な脂肪を燃やしたり、血管を修復したり、血管を広げて血圧を適度に下げたりする。
(悪玉)
・TNF-α
・アンギオテンシノーゲン
・PAI-1

□ レプチンは味方?
・脂肪細胞から分泌されるホルモン
・脳に働いて食欲を抑えて満腹感をもたらし、交感神経を刺激してエネルギー代謝を高める。
・食べ過ぎを父性で代謝を上げ、体脂肪が増えないようにする。
・太っている人はレプチンが分泌されていても効きにくくなっている(脳でレプチンを受け取るセンサーの活性が鈍化)。

□ 体脂肪は皮下脂肪→ 内臓脂肪の順に溜まる
・最初は人体に欠かせない皮下脂肪として蓄積されるが、それが増えすぎると内臓脂肪として蓄積され、さらに太ると本来溜まるはずのないところに溜まる“異所性脂肪”になる。
・女性の場合、女性ホルモンの関係で、内臓脂肪は閉経期を迎えるまでは少しずつしか増えないが、閉経後はそれ以前の2倍以上の速さで増える。そのため、中高年の女性は洋ナシ型肥満→ リンゴ型肥満に変わってくる。

□ 糖質は必須の栄養素だから糖質制限は危険か?
・明らかな間違いである。
・三大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質)のうち、たんぱく質には必須アミノ酸(体内では造れないため食事から摂取する必要がある)、脂質には必須脂肪酸があるが、“必須糖質”は存在しない。これは糖質は体内で造ることができる(糖新生)ためである。
・人体は血糖値が下がったら血糖を補充するため、肝臓に「グリコーゲン」としてブドウ糖をの集合体を貯蔵している(筋肉のグリコーゲンは筋肉専用のエネルギー源のため血糖には関与しない)。しかし肝臓に蓄えられているグリコーゲンは70-80g程度しかなく、これだけでは足りないため、肝臓は糖新生という方法で糖を造りだしている。

□ 糖新生のしくみ
・糖新生の原料
(グリセロール)脂質の代謝物
(乳酸)激しい運動など酸素を用いないエネルギー代謝(解糖系)から生じる
(アミノ酸)筋肉に貯蔵されているアミノ酸プールから供給される
・糖新生は飢餓や絶食に対応できるシステムであり、これがなければ人類は生き延びられなかったはず。

□ ケトン体は危ない? 危なくない?
・間違い。しかし医師の中にもいまだにこう思い込んでいる人が少なくない。
・ケトン体を危険視する最大の根拠は「血中のケトン体が高値になると糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な状態を引き起こす」という知識。ケトアシドーシスはI型糖尿病患者さんがまれに起こす病態で、インスリン作用の欠乏が前提となる。
・一般健康人や生活習慣に起因するII型糖尿病患者さんがインスリン機能が保たれているときに起こす心配はない。血中ケトン体が増えたとしても、それは健全は「生理的ケトーシス」というものなので、心配不要。
・ケトーシスとは、エネルギーとして脂質を使いやすい状態であり、言い換えれば体脂肪が燃えやすい体内環境である。

赤ちゃんは高ケトン血症がふつう(生理的状態)。
・新生児や母乳栄養の乳児は成人と比べてケトン体が数倍高値である。
・新生児のケトン体高値は、妊娠中に胎盤でケトン体を造り胎児にエネルギー供給をしているため。
・母乳育児乳児のケトン体高値は、母乳の脂質の割合がカロリーで約半分と「高脂肪」だから。母乳という高脂肪食から、乳児の肝臓でケトン体がつくり出されている。

 肉の脂は体に悪い?悪くない?
・従来、動物性脂肪に含まれている飽和脂肪酸(バターやラードなど常温で固まりやすい脂)の取り過ぎは脳心血管疾患のリスクとされてきた。
・2010年にその常識を覆す論文が報告された。メタ解析という手法で約35万人を5〜23年間にわたり追跡調査した結果、「飽和脂肪酸と脳心血管疾患の発生率には関連がない」と結論づけた。
・脳心血管疾患リスクになるのは、糖質の過剰摂取とそれによる糖化・酸化であり、控えるべきは動物性脂肪ではなく糖質である。
・牛肉に含まれる脂肪酸の半分は不飽和脂肪酸であるオレイン酸であり、これはオリーブオイルの主成分でもある。

卵はたくさん食べていい?いけない?
・従来、「卵は1日1個まで。2個以上食べるとコレステロール値が高くなり危険」とされてきた。
・しかし日本でもアメリカでも、2015年にコレステロールの接種制限を撤廃した。なぜか?
・現在、食事由来のコレステロールは血液中のコレステロール値に影響を与えないことがわかっている。
・コレステロールの必要量の約8割は肝臓で造られており、食事由来のコレステロールは全体の2割にとどまる。しかも、食事からの摂取量が増えたら肝臓で造り出される量が抑えられるので、卵を食べ過ぎても血液中のコレステロール値は増えない。

 果物は健康によい?悪い?
・果物に含まれる糖類には、果糖、ブドウ糖、ショ糖などがある。
・以前、果糖は血糖値の上昇が緩やかなため、体によいと考えられてきた。その理由は、果糖は小腸から吸収されると肝臓に直行し、そこで速やかに「中性脂肪(=トリグリセリド)」として蓄積されるため、血糖値はあまり上昇しない(その代わり太る)。
・さらに果糖は危険なAGEs(終末糖化産物)を生じやすい。ブドウ糖の100倍生成しやすい。
・果糖をたくさん含む現代の果物は、もはや「毒」と考えるべきであろう。
・すると「果汁100%ジュース」は毒にほかならない。果物ジュースには食物繊維はほとんど含まれていない。厚生労働省も「果汁100%ジュースは食物繊維が期待できず、糖分も多いので注意が必要」としている。

異性化糖(果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖)は猛毒!要注意!
・異性化糖はトウモロコシから作られるコーンシロップを加工したもので、果糖、ブドウ糖が大量に製造できる。
・果糖>ブドウ糖なら「果糖ブドウ糖液糖」、ブドウ糖>果糖なら「ブドウ糖果糖液糖」と成分表示される。
・「果糖ブドウ糖液糖」は果糖が多いので中性脂肪、AGEsが生じやすく太りやすい。
・「ブドウ糖果糖液糖」はブドウ糖が多いので、血糖値急上昇、インスリン大量分泌を招き、血管と膵臓を傷つける。
・果糖の摂り過ぎで脂肪肝になることがあり(非アルコール性脂肪肝)、炎症を起こすと非アルコール性脂肪肝炎NASH)の原因となる。
・飲酒を伴わないNASHは、慢性の肝障害が進行し、末期になると肝硬変、肝臓癌に移行することもある。

人工甘味料は体に悪い?
・人工甘味料は血糖値を上げない。
・ハチミツや黒砂糖は天然だから体によい、は間違い。しっかり血糖値を上げる。
・アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースなどの人工甘味料は血糖値を上げないので、黒砂糖やハチミツよりも安全。
・人工甘味料には「1日許容摂取量」(ADI)が厚生労働省により定められている。
(例)スクラロースは350ml缶や500mlペットボトルなら1日3本まで許容範囲

人工甘味料ではエリスリトールがお勧め。
・エリスリトールは糖アルコールという種類の人工甘味料の一種。「ラカントS」という製品の主成分。
・エリスリトールはゼロカロリー&血糖値を上げない。
・(自然界に存在しない)合成甘味料と異なり、メロン、ブドウ、ナシなどの果物や発酵食品にも含まれている。
・同じ糖アルコールであるキシリトール、ソルビトール、マルチトールなどは砂糖の半分くらい血糖値を上げる。

病気の時は、お粥?うどん?それとも?
・お粥やうどんは糖質以外の栄養素に乏しい。
・糖質を咀嚼すると、唾液に含まれるアミラーゼでデンプンを加水分解するが、お粥やうどんなどはろくにかまずに飲み込みがちなので分解されずに胃に入る。胃の中では大量の胃液の中で拡販運動と蠕動運動が行われ、小腸に移動するが、その速度はたんぱく質や脂質より遅い。
・お粥やうどんが消化しやすいというのは「あっさりしているから消化も早く進むに違いない」という思い込みでしかない。
・お勧めは「湯豆腐」。食欲がなくても食べられて、消化しやすく、体を温め、水分を補給しながら糖質制限ができる。たんぱく質と脂質が豊富で、薬味にショウガを添えると体がより温まる。
・湯豆腐以外では、野菜スープ、卵スープ、具だくさんの味噌汁、茶碗蒸しなどがお勧め。
・風邪が治って食欲が出てきたら、寄せ鍋、しゃぶしゃぶ、豚汁(サトイモや根菜は除く)などで体力の回復に努めるべし。

筋肉のエネルギー源は脂質>>糖質>>たんぱく質
・運動のメインエネルギー源は糖質ではなく、脂質(脂肪酸とケトン体)である。
・運動の主役となる筋肉のエネルギー源は糖質と脂質であり、たんぱく質も一部エネルギー源になるが限定的である。
・糖質は筋肉と肝臓にグリコーゲンとして合計300〜400g程度蓄えられている。カロリー計算すると1200〜1600kcal。
・脂質は脂肪細胞に中性脂肪として蓄えられており、標準体格では13kg(体重65kg、体脂肪率20%)である。カロリー計算すると11万700kcal。糖質と比べて桁違いに多い(100倍!)。
・中性脂肪から分解された脂肪酸、脂肪酸から生じるケトン体こそが、筋肉の主要なエネルギー源である。
・ただし、瞬発力が必要とされるスポーツ(ウエイトリフティング、100m走など)では、筋肉に貯蔵した糖質(ブドウ糖)がメインのエネルギー源となる。
・脂肪酸とケトン体は酸素がないと代謝できず、瞬発的な運動では酸素の供給が追いつかなくなるため、酸素ナシでも代謝できるブドウ糖の方がエネルギー源となりやすい。

熱中症・脱水予防に最適の水分補給は?
・高齢者が隠れ脱水や熱中症になりやすいのは、体液を溜めておくタンクの役割を果たす筋肉が少ないのに加えて、喉の渇きにも鈍感になっているため。
・熱中症が気になる季節になると、スポーツドリンクや経口補水液の宣伝が増えるが、こうした飲料は糖質をたくさん含むのでNG。
・隠れ脱水に糖質は必要ない。
・脱水予防に水分補給するなら水(ミネラルウォーター)で十分である。スポーツや野外活動などで大量に汗をかかないのなら塩分補給は不要。
・コーヒーや紅茶、緑茶も悪くないがカフェインを含むので利尿作用があるのが難点、カフェインを含まない麦茶、杜仲茶、ルイボスティー、爽健美茶、十六茶などがオススメ。
・熱中症予防には0.1〜0.2%食塩水(1リットルの水に1〜2gの食塩)がお勧め。

危険な「ペットボトル症候群」
・ペットボトル入りの甘い清涼飲料水には約10%の糖質が含まれているため、500mlサイズで角砂糖10個分に相当する。
・これを飲むと血糖値が急上昇し、その血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌されて高インスリン血証が起こる。
・ペットボトル飲料を何本も飲むと、インスリン大量分泌状態が続き、膵臓がくたびれて弱り、これを繰り返すと最終的にはインスリンが機能しなくなり、細胞が血糖を利用できなくなり、ケトン体が増えて糖尿病性ケトアシドーシス(酸性血症)という重篤な病態(ペットボトル症候群)に陥る。
・糖質制限食でもケトン体が増えるが、インスリン作用が保たれているので安全。

糖質制限をすると、頭がボーッとする?
・糖質制限をして体がだるくなったり、動きが悪くなったりした場合、そのほとんどの原因は「摂取カロリー不足」。
・摂取カロリーは明らかに足りているにもかかわらず、同様の訴えをする人もチラホラいるが、その場合は塩分不足の可能性が高い。

「内臓脂肪がストンと落ちる食事術」〜その1

2021-02-07 11:19:14 | 趣味
糖質制限をはじめて、はや5年ほど経過しました。
といっても私の場合は“ゆるやかな”糖質制限で、
ご飯・パン類など“主食の穀物は食べない”レベル。
基本的におかず類はそのまま食べています。

タイトにやっている方は、フライや天ぷらの衣を外して食べているようですが、
そこまでやると食べる楽しみが減ってしまうようで・・・。

その過程で気づいたのは、
いわゆる“おかず”の味付けは濃くてしょっぱくて、
そのままでは食べにくい(ごはんが欲しくなる!)こと。

米・小麦を代表とする穀物は炭水化物ですが、消化吸収の過程で糖質に変わります。
それを毎日食べている日本人は、全員“糖質過剰摂取”という見方もでき、
糖尿病のリスクを背負っています。

かつ、ごはんがはかどるおかずはしょっぱいため、
日本人は全員“塩分過剰摂取”傾向となり、
高血圧のリスクを背負っています。

日本人が米を主食とし、
精製塩が入手できるようになってから、
今や国民病である「糖尿病」と「高血圧」を背負う宿命だったのですね。

効果を実感している私ですが、無条件に受け入れているわけではありません。
疑問点を一つずつ解決して現在に至っています。
しかしいまだに、糖質制限に対して残っている疑問があります。
例えば・・・

・脂肪は制限の必要ないとされるが、その根拠はあるのか。
・カロリー制限は必要ないというが、過剰なカロリーはどこに消えるのか。
・豆類は一律、糖質制限にお勧めの食材か。
・練り物、ちくわ、かまぼこ、つみれ・・・似てるけど糖質含有量に差があるのか。
・おでんの具材で糖質制限するには、どのように選んだらよいか。
・チーズは糖質制限では良という評価である一方で、高血圧対策では悪と耳にしたが、それを打ち消す価値があるのか。

等々。

2019年に発行された糖質制限ご意見番の江部先生の著書を読んで、
知識のアップデートを図りました。

江部康二著(2019年、ダイヤモンド社発行)

□ 糖質=炭水化物ー食物線維

□ 血糖値を上げるのは炭水化物だけで蛋白質・脂質はほとんど上げない。
・低カロリーでも糖質が多ければ血糖値は上がり、高カロリーでも糖質ゼロなら血糖値は上がらない。
・食物線維も血糖値を上げない。腸内細菌が食物線維をエサとして短鎖脂肪酸を作り、少量のエネルギーになるが、これも血糖値を上げない。
・日本人のインスリン分泌能は、遺伝的に欧米人の半分。
・食後高血糖が起こるとインスリンが分泌されて血糖値を下げるが、余分な糖質は脂肪として蓄えられる。
・高血糖状態がずっと続いている状態より、空腹時と食後で血糖値が鋭く乱高下する「血糖値スパイク」の方が、血管を傷つけるリスクが高い。

□ 「脂質を取ったら太る」は間違いで、正しくは「糖質を取ったら太る」

□ 糖質制限の誤解、あるある!
・そばはさっぱりしているから糖質が少ない、ふつうのそばは糖質が多いけど十割そばなら大丈夫
→ 二八そばも十割そばも糖質量に大差はない。
・塩味のせんべいやあられなら糖質が少ない。
→ 米を原料とするデンプン食品なので糖質たくさん。
・砂糖はダメだけど、黒砂糖や蜂蜜ならOK。
→ 健康的なイメージのある黒砂糖、ハチミツ、和三盆、メープルシロップもその正体は砂糖に他ならない。
・春雨は原料がジャガイモだと糖質が多いけど、緑豆が原料なら問題ない
→ 緑豆(もやしの原料、もやしそのものは低糖質)の主成分はデンプン。
・魚のすり身を原料とする加工食品(魚肉ソーセージ、ちくわ、かまぼこ)は低糖質。
→ つなぎとしてデンプンや砂糖を使用している
・魚の缶詰(サンマの蒲焼き、サバの味噌煮)は低糖質
→ 味付けに砂糖がたっぷり使用されている。

□ 主食(穀物)の摂り方
・「玄米」「黒米」「赤米」「全粒粉パン」「全粒粉パスタ」「十割そば」など、“黒っぽい主食”を選択すべし。
・“黒っぽい主食”は精製度の低い穀類を原料にしており、食物繊維の含有量が多いので、血糖値の上昇を若干ゆるやかにする。
・逆に“白っぽい主食”は食物繊維が除かれている分、食べると血糖値が急上昇する。

□ 調味料類の糖質含有量の多少
(多)
・ドレッシング(※1)は砂糖が入っている。
・タレ、ポン酢(※2)は少なからず砂糖が入っている。
※1:カロリー制限では「青じそ」「和風」といった低カロリーのノンオイルドレッシングを勧められるが、ノンオイル系はオイルを抑えた分、糖質を多く含む場合があり注意。
※2: 一般的なポン酢は100gあたり「糖質12g」を含むが、糖質60%カットという糖質オフのポン酢がある。
・ごまだれは糖質が多い
・すき焼きの割り下には砂糖が入っている
→ 砂糖の代わりに糖アルコールのエリスリトールから造られたラカントS(サラヤ)がお勧め
(少)
・マヨネーズ(※1)、バター(※2)
・タルタルソースは低糖質でお勧め
・ドレッシングならオイルベースのフレンチドレッシング、マヨネーズベースのサウザンアイランドドレッシングがお勧め。オリーブオイルは可。
※1: マヨネーズの主原料は食用油、卵、酢で、日本では卵黄のみを使ったものが主流。大さじ1杯(15cc)で糖質0.2gと微量のため、たっぷり使用しても問題ない。カロリーをカットしたタイプは糖質が多めになるため、ノーマルタイプがおすすめ。
※2:食塩を含む「有塩タイプ」と含まない「無塩タイプ」があるが、どちらも糖質ゼロなのでお好みで。なお、マーガリンにはトランス脂肪酸という人工的に作られた有害な脂質が含まれているので控えるべし。

□ 調理の味付けに注意
・ご飯に合う“甘辛い味付け”は、砂糖やみりんをたくさん使いがち。
・糖質の少ない食材を使っても、砂糖、みりん、ソース、甘味噌などを使うと糖質過多につながる。

□ 食用油の選び方
・α-リノレン酸:必須脂肪酸、EPAとDHAは体内でα-リノレン酸から作られるが十分ではない。
・α-リノレン酸はエゴマ(シソ)油、アマニ油に多い。
・EPA、DHAはイワシ、サバ、アジ、サンマなどの青魚、マグロに多い。
・お勧めの食用油はエゴマ(シソ)油やオリーブオイル(未精製のエキストラヴァイージン)。
・サラダ油はリノール酸(必須脂肪酸ではあるが、摂り過ぎによる弊害あり)が多いので避けるべし。

□ レストラン、ファストフード店のメニュー
(NG)
・焼き肉のタレ(塩、ごま油で代用)
・参鶏湯(サムゲタン:餅米詰め)、冷麺、石焼きビビンバ、チヂミ、トッポギ(韓国風餅の甘辛炒め)、ダッカルビ(鶏もも肉と野菜の甘辛炒め)
・餃子・シュウマイ:皮に小麦粉がたっぷり含まれているのでNG(食べるなら1-2個)。
・酢豚、魚の甘酢あんかけ、麻婆春雨
(OK)
・すき家の「牛丼ライト」はお勧めご飯の代わりに豆腐が使われている。
・牛丼店では「皿」メニュー(牛皿、豚皿?)+サラダ(ポテトサラダ、ゴボウサラダはNG)がお勧め
・ハンバーガーショップなら、チキンナゲット、フライドチキン+サラダを。
・焼き肉はキムチと一緒にエゴマの葉、サンチュなどの葉物野菜で包んで食べる。
・キクラゲと卵の炒め物、棒々鶏、八宝菜、青椒肉絲、回鍋肉、麻婆豆腐、レバニラ炒め(いずれも一食で糖質10g程度)。
・青菜の塩炒め、中華風冷や奴、ピータン豆腐、酸辣湯(サンラータン)、卵スープ

□ 各食材と糖質含有の多少
(多)
・ニンジン、ゴボウ、サトイモ、ジャガイモ、レンコン、ユリ根などの根菜類。
※ 片栗粉・春雨はイモ類のデンプンから作られる。
・カボチャなどホクホクする野菜
・果物(アボガド以外)、ドライフルーツは果糖がたくさん。
※ デザートに果物を摂る場合の1日の許容範囲:リンゴ1/4個、ミカンやキウイフルーツ1/2個、イチゴ5粒
・ハチミツ、黒糖、和三盆は砂糖に他ならない。
・大豆以外の豆類(ひよこ豆、インゲン豆、エンドウ豆、そら豆)
・海藻では例外的に昆布だけは糖質が多い
(中間)
・豆乳
・牛乳(210g中糖質10.1g)
※ 低脂肪乳はふつうの牛乳より糖質が多めです。
・ヨーグルト(無糖タイプで100g中糖質5g)
(少)
・葉物野菜(キャベツ、白菜、ほうれん草、小松菜、ケール、モロヘイヤ)
・ブロッコリーなどの緑黄色野菜
・野菜では他にトマト、ピーマン、パプリカ
・果物ではアボガドのみ
・大豆と大豆食品(豆腐、納豆など)
・チーズ(ナチュラル、プロセス)

□ 糖質制限ではおでんの具材は何を選ぶべきか。
(NG)
・ジャガイモ、餅入り巾着、昆布
・練り物(はんぺん、ちくわ、さつま揚げ、ゴボウ巻き)
※ 「ちくわぶ」(ちくわとはちがう食べ物です):小麦粉を練ってゆでたものであり、1本で糖質20g。
(OK)
・第一選択(低糖質&高タンパク):卵、がんもどき、焼き豆腐、牛すじ、タコ、つみれ、厚揚げ
・第二選択(低糖質&蛋白以外の栄養素):大根、こんにゃく、シラタキ、ロールキャベツ

□ 糖質制限とスープ・シチュー系
(NG)
・ポタージュ、クリームスープ。
・ミネストローネ、オニオングラタンスープ、クラムチャウダー。
・クリームシチュー、ビーフシチュー、タンシチュー、グラタン、ドリアなど。
(OK)
・味噌汁
・わかめスープ、卵スープ、コンソメスープ

□ 糖質制限用冷凍食品通販サイト

□ 赤肉(牛肉、豚肉、羊肉など)、加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)は危険?
・国際がん研究機関では赤肉と加工肉の食べ過ぎはガン(おもに大腸癌)のリスクを上げる可能性を指摘している。
・日本の国立がん研究センターの見解は、日本人の平均的な摂取量であれば、赤肉や加工肉の摂取が大腸癌のリスクを上げる可能性はないか、あっても小さい。
・以上、賛否両論であるが、著者は肉の過剰摂取に糖質過多が加わると発がんリスクが高まると考えており、糖質制限すれば肉の摂取には問題ないという立場(加工肉は添加物が含まれているという視点から摂取は控えめ)。

□ 飲み物に含まれる糖質の多少
(多)
・コーラなどの炭酸飲料やジュースなどの甘い清涼飲料水は約10%の砂糖や果糖(※)を含む
→ 500mlのペットボトル1本に糖質50g(角砂糖10個以上)が溶けている!
・ヘルシーなイメージのあるスポーツ飲料も糖質をたくさん含んでいる。
・果汁100%ジュース、果汁ミックスの野菜ジュース、野菜100%ジュースにも糖質が多く含まれている
※ 果糖:ブドウ糖の数十倍も糖化しやすく、AGEs(終末糖化産物)も作りやすいので要注意
(中)
・牛乳、豆乳:糖質は「低脂肪乳」>「ふつうの牛乳」、「調製豆乳」>「無調整豆乳」
(少)
・ミネラルウォーター
・番茶、麦茶、ほうじ茶
・コーヒー、紅茶

□ アルコール飲料は制限すべき?
(NG)
・醸造酒:ビール(※)、日本酒
※ いわゆる“ビール腹”は危ない危ない内臓脂肪型肥満。
(OK)
・蒸留酒(※):焼酎、ウイスキー、ジン、ラム、ウォッカ
・辛口ワイン(赤でも白でも)は醸造酒の中で例外的に低糖質
・糖質ゼロのビール系飲料、日本酒ならOK
※ 蒸留酒を糖質の多い果汁やトニックウォーターで割ってしまうとNG、炭酸水やミネラルウォーターがおすすめ。

「銀河鉄道の夜」は保阪嘉内への叶わぬ恋を秘めた作品だった。

2021-01-30 17:30:13 | 趣味
宮澤賢治が残した作品の数々・・・惹かれるけれど今ひとつピンとこない・・・とずっと感じてきました。
「セロ弾きのゴーシュ」が好きで、当時つき合っていた女の子にプレゼントしたのは中学生の頃、今から45年も前のこと。

10年ほど前に、宮澤賢治を理解する一つのヒントを見つけました。
あるテレビ番組で、「賢治は自然の声を聞き会話ができる第六感の持ち主だった」との解説を耳にしたのです。

それから先日見たドキュメンタリー番組で、哲学者の梅原猛氏が
「宮澤賢治は植物を中心において文明を考えている」
「西洋の科学万能文明には限界があり、賢治の思想を取り入れる必要がある」
とコメントしていました。

ああ、なるほど。
彼の作品の不思議な登場人物達が少し理解できるようになった気がしました。

そして今回、以下のドキュメンタリーを見て目からうろこが落ちました。



■ 「宮澤賢治 銀河への旅 〜慟哭の愛と祈り〜
<内容紹介>
 「宮沢賢治には、恋焦がれるように慕った同い年の男性がいた」。「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」などの代表作誕生の背景に、一人の男性との深い交流が明らかになる。残された賢治の手紙、ノート、資料を改めて読み解き、新たな宮沢賢治像を浮き彫りにする意欲的なドキュメンタリー作品。案内役に俳優・向井 理を迎え、賢治の思索の行程を追体験する。岩手の美しい景色やドラマを織り交ぜ、賢治の心の風景に迫った。

盛岡高等農林学校の学生寮(自啓寮)に住んでいた賢治は、
2年生の時に新入生を同室に迎え、
その中に保阪嘉内という青年がいました。

不思議な青年で、
「トルストイのような人生を送るために農業学校に来ました」
と真剣に話すのです。
トルストイは晩年、財産を農民に譲って自分は旅に出て、旅先で人生を閉じています。

さらに嘉内は、農家・百姓こそ人間の生きる道である、と豪語します。

寮の懇親会で、同室の賢治と嘉内達は寸劇を発表することになりました。
「人間のもだえ」と題するその脚本を、嘉内は数日で書き上げました。

賢治と嘉内は神さまの役です。
賢治は黒塗りの神さま、
嘉内は赤塗りの神さま。

才能あふれる嘉内の光り輝く言葉に賢治は魅せられ、
二人は意気投合して同人誌「アザリア」を作り始めました。

しかしその同人誌に掲載した嘉内の文章が物議を醸し、
「彼は危険思想の持ち主」と学校側から非難され、
退学処分となり故郷に帰る羽目になりました。

賢治と嘉内の突然の別れ。

嘉内の故郷は山梨県の山間部(現在の韮崎市)。
少年期から豊かな才能の持ち主だった彼は、
賢治に出会う前からスケッチや文章を残しています。

その中に、「風の三郎」という風の神さまの祠や、
「ハレー彗星」のスケッチがありました。
ハレー彗星のスケッチの端に「夜行列車のようだ」という言葉が添えられていました。

そう、これらは後の賢治の作品である「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」の原案となったのです。
作品の結末は「突然の別れ」という共通のモチーフです。
賢治にとって、嘉内の存在はそれほど大きく、影響を受けたのでした。

又三郎は赤い顔をして髪の毛も赤いですよね。
その赤塗りの容姿は「人間のもだえ」で嘉内が演じた神さまです。
賢治の前に突然現れ、風が吹くように消えていった嘉内がモチーフ。

では黒塗りの賢治の姿は・・・
「春と修羅」の修羅に使われることになります。

賢治は嘉内に叶わぬ恋心を抱いていたのでした。
そのような視点で賢治の作品を読み解くと、見事に謎が解けていきます。

ああ、そうだったのか・・・

賢治の作品には、
スーパーネイチャー体感力という縦糸と、
嘉内への秘められた恋慕という横糸が織り込まれ、
不思議な魅力と深みを持たせていたのですね。

嘉内は兵隊を経たのちに地元山梨県で百姓になり、
後進を育てる立場になって貢献しました。
しかし41歳の若さでガンで逝去。
死の床の枕元には、賢治とやり取りした手紙の数々が整理して置かれていたそうです。

賢治も晩年、嘉内の影響で百姓になりましたが、
まもなく結核をこじらせ、37歳で逝去。

大正時代にはかなく消えたプラトニックなボーイズラブ。
きっと二人は、あの世で仲良く畑を耕していることでしょう(^^)。


<追加>
もう一つ、宮澤賢治関連の番組が録画してあるのを見つけ。こちらも視聴しました。

偉人たちの健康診断「宮沢賢治 トマトと童話の不思議な力」
[BSプレミアム] 2019年10月10日
「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」など37年の短い生涯で多くの傑作を残した作家・宮沢賢治。生前ほとんど評価されることはなかった。それなのになぜ賢治は死の間際まで童話を書き続けたのか?そこにはある深刻な病との戦いが深く関わっていた。さらに最愛の妹の病床で賢治が行った「童話の読み聞かせ」に驚きの健康パワーが秘められていることが明らかに!女優・木村多江さんの朗読で知られざる宮沢賢治の魅力に迫る。
【朗読】木村多江
【出演】関根勤,カンニング竹山,西田ひかる,山下聖美,植田美津恵
【司会】渡邊あゆみ

こちらでは、賢治の生涯がひたすら美化・理想化されて扱われていました。
貧しい中で勉学に励み、新しい知識を貪欲に得る努力を氏、妹をいたわり、農業を貴び・・・
「銀河鉄道の夜」も妹のために書いたというストーリー仕立て。
賢治の人間くささを知った後では、“よい子のための教科書”的な建前に終始した浅い内容と感じざるを得ませんでした。

番組の中で嘉内への手紙が何回か紹介されていましたが、
「保阪」が「保坂」と間違って表示されているし・・・(^^;)。

同じNHKなのに、情報のやり取りはなかったのでしょうか。


パナマ・エスメラルダ・ゲイシャ・赤ラベル

2020-09-19 15:55:17 | 趣味
家族から「誕生日のプレゼントは何がいい?」と聞かれ、
散々迷ったあげく、題名のコーヒー豆を希望しました。

行きつけの珈琲屋さんで販売していたのです。
100g6600円也。
ふだん使いのコーヒー豆にしては高すぎるため、
今までは指を咥えて見ていただけでした。

ある日、オーナー店長が焙煎前の豆の香りを嗅がせてくれました。
ふつうのコーヒー豆は焙煎前の状態ではコーヒーらしいニオイはしません。
でもゲイシャは、独特の香りがしているのです。
一種の発酵臭というか・・・。

さて、誕生日プレゼントとして、ゲイシャが手元に届きました。
中煎りで仕上げてあります。
開封すると、濃厚なコーヒーの香りの中に混在しているちょっと変わった風味・・・あの発酵臭の名残です。

ペーパードリップで淹れてみました。
コーヒーの美味しさ(苦み・甘み・酸味)が凝縮したハイレベルの味。
そこに発酵臭がコクとして芯の強い味にしている印象。

妻にも一杯ご馳走しなくちゃ、と思っている間に、
1週間で飲みきってしまいました。

貴重な体験に感謝!

<参考>

菅総裁、幹事長代行に野田聖子氏を起用?

2020-09-15 07:18:02 | 趣味
2020.9.14、菅総裁に決定しました。
早速内閣人事が話題になり、各派閥のバランスを取る取らないでメディアは騒がしくなっています・・・旧態依然、国民は興醒めですが。

情報が飛び交う中で、「あれ?」と感じた人事が一つ。
それは題名の「幹事長代行に野田聖子氏を起用」というニュースです。

今回は出馬を見送りましたが、野田聖子氏は総裁候補・首相候補として名前が挙がる人物。
そして、その政治姿勢は安部さんとは真逆で知られる人物でもあります。
以前入閣していた経験があり、閣僚を辞任する際に、「私のような小姑が居なくなってもいいんですか?」と言い残して去って行きました。

その野田氏を党三役に準じた役職に配置するとは、意外な展開です。
菅さんの「不妊治療を保険適用にしたい」という発言は、野田氏の影響があるのかもしれません。

各派閥のバランス云々はさておき、野田氏の起用は吉と出るのではないか、と密かに思う私です。
ただ、二階さんと野田さん、意見が合わなそうですね。


“忖度”の仕掛け人、菅さんを首相にするのですか?

2020-09-05 06:19:23 | 趣味
森友問題や加計問題、官僚による政治的“忖度”が問題になった安倍政権。
それを国民は腹立たしく思い、批判してきたはず。

でも、その仕掛け人は菅官房長官だったことをご存知ですか。

彼が主導して2014年に内閣人事局を作ったのがことの始まり。
人事権を官邸に握られた官僚達は、内閣が好む行動を自然に取るようになりました。
だって、反対行動を取り、目を付けられて睨まれると左遷されるから。

わかりやすいですね。

菅官房長官は、「人事を握って人を動かす」ことのプロです。
人事を握ると、首根っこを捕まれた官僚は、命令しなくても自分の志向する行動を取ってくれるようになることを熟知して実行してきた人。

TVも管さんのことを悪く言いません。
TV局も「電波利用料」の価格調整で、こちらも首根っこを捕まれているから。
政府・内閣に不利な報道をした局には、電波利用料を上げることをちらつかせるのです。
NHK人事にも介入しましたし。

ま、巧妙なパワハラですね。
こんな菅さんを、あなたは好きですか?


<参考>
安倍内閣(中田敦彦、YouTube大学)
「内閣人事局が“忖度”を生む元凶である」は本当か(室伏謙一、ダイヤモンド・オンライン、2018.4.4)
 国民民主党の小沢一郎衆院議員が3日、公式ツイッターに新規投稿をした。安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選への出馬を表明し、党内情勢から次期首相就任が最有力視される菅義偉官房長官について「嘘と言い訳の象徴的人物」と評し、濃厚となった菅内閣に対して「最大のミッションは全てを闇に葬り去ること」と危惧した。
 小沢氏は「『批判は当たらない』をこれまで何百回も繰り返してきた嘘と言い訳の象徴的人物が自民党総裁の有力候補とのこと。ますますこの国の政治はおかしな方向に向かう」と指摘。「森友も加計も桜も、いわばこの人物が隠蔽や改ざんの実務的な指揮をとった。次の内閣の最大のミッションは、全てを闇に葬り去ることだろう」と危機感を示した。

星の王子さまの世界旅

2020-05-07 15:36:18 | 趣味
The Miracle of the Little Prince
<内容紹介>
子どもの心を失いかけた大人をドキリとさせるサン=テグジュペリのベストセラー文学が、ダリジャ語を使うサハラの遊牧民や、北極圏のサーミ人、エルサルバドルで民族語を失いかけた先住民の“教科書”となった。「井戸」「キツネ」「バラの花」などその土地にない言葉も多いが、人々は類似の表現を編み出していく。4Kで撮影したダイナミックな景観に、「大切なものは、目に見えない」といった言葉が重なってゆく至極の世界旅行。

世界の中で、消滅していく民族がいます。
これすなわち、消滅していく言語もあるということ。

有名なサン・テグジュペリの「星の王子さま」。
この本は世界中の言語に翻訳されているそうです。

それは、優れた作品という面と、
翻訳することにより、消えつつある言語を保存する目的も兼ねている。

この番組は、星の王子さまの世界観を、いろんな国のいろんな言語を話す人々の視点から眺めた内容でした。

私が「星の王子さま」を最初に読んだのはいつのことだったか・・・高校生の頃でしょうか(もう40年前)。
正直言って、ピンと来ませんでした。
実は今でもピンとこないのですが(^^;)。

メインテーマは「絆」(Bond)。
おそらく、これを渇望している人には響くのでしょう。

私は絆を求めていないんだろうか?
自問自答しても、答えは見つかりません。

私の好きな映画「君の膵臓がたべたい」のアニメ版を先日観ました。
この映画の中のヒロインは「星の王子さま」の大ファン。
最後のシーンは、ヒロインが星の王子さまに扮して、相手役の男の子の、そして二人の関係の分析を始めます。
思春期の男女が近づくと、そこに恋が始まるという単純なオチではありません。
周囲との繋がりの中で自分を見つける女の子と、
周囲との繋がりを絶って自分を見つめる男の子が、
強力に引かれ合うのです。

なんとも素敵なシーン。

その繋がりで、昔録画してあったこのドキュメンタリーを見ることにしたのでした。
でも、まだピンとこない・・・。

<参考>

【番組の見どころは?】
この番組は、サン=テグジュペリの小説「星の王子さま」を通じて、失われそうになっている民族の言葉を語り継ぐ人々の物語。なんといっても見どころは、美しい風景と言葉が紡ぎ出すファンタジーあふれる映像世界です。
舞台は、モロッコの砂漠、雪深いラップランド、エルサルバトルに、フランス。物語を通して、世界中を旅します。モロッコの砂漠で暮らすベルベル人は、「砂漠が舞台の『星の王子さま』は自分たちの文明や歴史を映し出す鏡のようだ」と語ります。白銀に包まれたラップランドでは、少数民族の言葉を話していたことから周りとの疎外感に悩んでいた少女が、自分の境遇を作品に重ね合わせることで、勇気を得ます。ほかにも、民族の言語を失ったエルサルバトルの先住民たち、フランスで暮らしながらチベット語を守る活動をしている女性、それぞれが、「星の王子さま」を自分たちの言語で伝えることで、その伝統やアイデンティティーを次の世代に残そうとしています。
言葉を通じて、まだ見ぬ場所へとあなたを誘う、ちょっと不思議な世界旅です。

【この番組を取材するなかで新しい発見や、驚いたことはありましたか?】
私は、小さいころ「星の王子さま」が大好きでした。大人になった今、この番組を通して改めて「星の王子さま」を読み返し、気づかされることがたくさんありました!王子さまがキツネや商人と交わす会話は、“生き方”についていろいろなことを示唆してくれます。
番組に登場する人たちのインタビューにも格言がいっぱい。その中から心に残った言葉をひとつ。「言語というのは人のアイデンティティーの根幹を形づくるもの」というインタビューです。日頃、私はどんな言葉を紡いでいるだろう…と思い返し、反省しました。“言葉”をもっと大切に扱おう、そんな気持ちがフツフツと…。
あなたにとって“言葉”とはなんですか?日頃、当たり前のように使っている言葉について考える、そんな夜を過ごしてみませんか。



影山飛雄の悩み

2020-02-09 08:43:14 | 趣味
アラ還の私ですが、バレーボールアニメ「ハイキュー!!」にはまっています。
2020年1月から新シリーズのTV放映が始まりました。



影山が高校日本選抜合宿に招集され、その才能を認められると共に、先輩セッターの宮侑から「飛雄君は一見、とがっているように見えるけど、プレイはお利口さんやねえ」とつぶやかれ、ドキッとします。

中学時代の影山は理想が高く、アタッカーに多くを求めすぎて孤立していました。
高校に入って最強の相棒となる日向に出会い、自分の理想をぶつけることができるようになり、才能が開花。
しかし他のプレーヤーには荷が重く、ここでも先輩セッターの及川から「各アタッカーに最適のトスが上げられている?」と指摘され、その方向に軌道修正した経験もあります。

自分の理想と、アタッカーの実力との間のギャップを如何に埋めるか?

これが今の彼の悩みです。
高校日本選抜合宿でトップレベルのプレーヤーをみた影山は、自校に帰り日向に「おまえ、もっと高く飛べるぞ!」と言葉をかけました。

彼の中で答えは既に出ていたのです。それは、
プレーヤーの潜在能力を引き出すトスを上げる
という解決法ですね。

春高県予選で影山がベンチに引っ込んでいてチームのプレーを見ているときのつぶやきが忘れられません。
オレにあの緊張感を、息苦しさをくれ!
彼はプレッシャーを自分の成長の糧にできるのですね。

NHK-Eテレに「ウワサの保護者会」という番組があります。
しばらく前に、「運動会の是非」が取りあげられました。
ある保護者は「共同作業で絆の大切さを養うことがメリット」に反論して、「うちの子は運動が苦手です。絆の大切さに気づかせるのに、なぜ運動が必要なのか意味がわかりません。」

私は耳を疑いました。
おそらく、この保護者も運動が苦手なのでしょう。

私は中学時代から大学生までずっとテニスをしてきました。
毎日クタクタになるまで走り回り、食べて寝る生活。
勝ったときの喜びも、負けたときの悔しさも存分に味わいました。
スランプに陥り、抜け出すまで苦しみにもがいたこともありました。

でも、何よりも「身体を動かして汗をかく爽快感」は何事にも代えがたい。
これを経験させずに封印してしまうのは、その子の人生にとって大きな損失だと思います。


高橋藍と室岡莉乃(春高バレー2020)

2020-01-23 06:51:46 | スポーツ
アラ還にもかかわらず、マンガ「ハイキュー」のファンになり、その流れで春高バレーをウォッチしました。
これが高校生?
鍛え上げられたバレーチームは無駄なミスなどなく完成度が高いことに驚かされました。
その中でも、「この選手、モノが違うぞ!」と素人の私にもわかる逸材がいました。

男子では東山高校の高橋藍選手。
身長188cmながら(まあ高校生としては大きいですが)、ジャンプ力がすごい。
空中で止っているように見えます。
まるで白鳥沢高校の牛島 若利!
とくにバックアタックが美しい。

しかし彼を活かしたのはセッターの中島健斗選手。
トスを前後左右に散らして高橋欄選手のマークをはずし、
ここぞと言うときに高橋選手を使うセンスは見事です。
そしてトスが正確で、アタッカーが戸惑う場面がほとんどないのが奇跡的。
まるでハイキューの影山飛雄。
ちょっと調べてみたら、彼は中学校時代全国制覇を成し遂げた名選手らしい。
・・・なるほど。

高橋藍選手は、将来Vリーグで活躍する姿が見られること間違いなし。
ひょっとしたら東京オリンピックも?

女子の試合はあまりみなかったのですが、
外国人留学生や日系人の活躍が目立つ中で、
いぶし銀的光彩を放っていたのが東九州龍谷高校の室岡莉乃選手。
身長162cmと、セッターやリベロ的体格なのですが、エース・アタッカーなんです。
垂直跳び70cmという驚異のジャンプ力(私もテニスでインターハイに出た体育会系でしたが、垂直跳びは40cm・・・)。
彼女の周りだけ、重力がないんだろうか?
ハイキューで言えば、主人公の日向翔陽「小さな巨人」ドンピシャです。

いや〜、マンガの世界だけの卓越したキャラクターと思い込んできましたが、
すごい選手って、実際に存在するのですねえ。

バレー放送に一つ注文があります。
アングルをもっと多角的に捉えて欲しい。
ふつう、両チームが映る横からのアングルですが、
トスの左右移動やブロックのマークがよくわかる縦(前後?)のアングルでも見てみたい。
その方が戦術がわかりやすく、そのすごさもわかると思うのです。

ゲノム編集食品って何? 食卓への影響は?

2019-11-10 16:21:28 | その他
NHK「クローズアップ現代」(2019.9.24放送)を見て、初めて知ったこと:

・遺伝子組み換えは「遺伝子を入れる」操作、ゲノム編集は「遺伝子を切る」操作。

・日本のルールは、遺伝子組み換え食品は表示義務あり、ゲノム編集食品は表示義務なし。ただし国によりルールが異なり、アメリカでは両者とも表示義務なし、EUでは表示義務あり。

・日本では既に用いられてきた技術(例:梨のゴールド20世紀)、自然界の突然変異と変わらないと説明する専門家と、「オフターゲット」(目的と違う部位を切ってしまうこと)によるトラブルの可能性を指摘する専門家と・・・。

・ゲノム編集は検査で検出できないので、検査による規制ができない。




内容紹介
 生命の設計図を改変して作られる“ゲノム編集食品”。今月、国内で解禁され、近く販売が可能になる。ゲノム編集の技術を使えば、肉厚のマダイや栄養価が高いトマトなどを短期間で開発することができ、私たちの食卓に大きな影響を及ぼす可能性がある。果たしてその安全性は?そして、従来の遺伝子組み換え食品との違いは?日本に先行し、すでにゲノム編集食品の流通が始まっているアメリカの動向も取材。あらたな技術との向き合い方を探る。