Ｎｏｖａ/デザイナー家具の思い出

１年ほど前ですが、村田合同という輸入家具の商社さんが倒産しました。



今でこそデザイナーズ家具やブランド家具を理解していただいていますが、（私が知っている限り）３０年ほど前から、北欧のシンプルモダンやナチュラル系の家具等、おしゃれな家具を輸入し、エンブレムを付けて家具のブランディング化を成功させた会社です。

今から１５年ほど前、鶴岡市のある大きな建設関係の社長様と親交があり、自分で言うのも何ですが、目をかけていただき、可愛がっていただいていました。この社長様のご自宅を新築なさる時に、家具を納品させていただいたのですが、神戸のインテリアショップで見て気に入ったと、村田合同の家具を入れさせていただきました。個人の部屋にNOVAというシリーズの商品で統一させたかったのですが、既成の商品ではピッタリといかず、別注で造る事にしました。北欧から輸入している村田合同社では製作できませんので、実物を見ながら、細かい造りや素材を指示して地元の特注家具屋に作らせました。出来上がった商品は別注とは思えないほど既成の商品にソックリ。

いざ商品を並べると、素材や造りを細部まで指示したにも関わらず、サイズを間違えて図面を書いていました。ガックリしながらも社長さんに『こちらのリスクで作り直します』と申し上げたところ『良くここまで忠実に作ったな。サイズくらい、どうって事ないさ』と逆に褒めていただきました。

この社長さんの懐の深さを感じ『これが、この社長さんの会社が急成長した要因のひとつなんだろうな』と思いました。

それから数年後、当社を改築するに当たり、お世話になったこの社長の会社にも、一部工事をお願いいたしました。ところが、現場の方のミスで、朱を塗るはずの板を真っ黒に染めてしまったのです。現場の方が『直します』とは言っていただきましたが、きれいな杉の縁甲板をまた加工して張り直さなければならないし、上記の様に、私のミスを褒めていただいた社長さんの会社が相手です。『これは、これで良いじゃないですか、このまま行きましょう』、、、本意ではありませんでしたが、少しお返しする事ができたという心地よさはありました。

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