面白き事も無き世を面白く
格差、格差の野球界
熱き戦い仕立て上げ
闇の世界の仕立人
今宵も広島を駆ける...
桜の時期も過ぎた新緑の季節、私は”エリカ様”を迎えに広島駅へと向かった。 広島駅の新幹線乗り換え口... ここは私にとっての”ルビコン川”だろう。 プロ野球にもしもの事があった時、私はここから新幹線に乗り換えて東京へと向かう事になると思う。 ここを渡ったらもう後戻りは出来ない...とそんな事を考えながら待っていると”エリカ様”がやって来た。
「駿ちゃん、この週刊誌読んだ?」
「駿ちゃんって、私の事ですか?」
「そう、あんたの事よ、”駿河守”なんて呼びにくくてしょうがないじゃないの。」
「駿ちゃん...ってジャイアンツの李選手みたいだけどまあいいか。」
「こんな人の多い所で立ち話も何ですからとにかく移動しましょう。」
私と”エリカ様”は駅前のロータリーからタクシーに乗り込んだ。 ここの駅前からタクシーに乗ったのは何年ぶりだろう。 貧乏な私の辞書に”タクシーに乗る”という言葉は載っていないからな、自慢にもならないけど。
「せっかく広島に来たんだし、どこかお薦めの景色の良い場所でも案内してくれる。」
「はい、”エリカ様”。 私のお気に入りの場所を教えますよ。 話はそこで。」
タクシーは私のお気に入りの場所、太田川べりの散歩道へと向かった。 信号を左折する時、歩行者がやって来てタクシーはその歩行者の通過を待っている...
「ちっ、こっちは待っているんだからさっさと早足で渡って欲しいものだ。」
「”エリカ様”、私はいつも道路を渡っていて車が待っているのが見えたら駆け足でさっさと渡って相手を少しでも待たさない様にしているんですよ。 待っている相手が居ると気が付いたら気を遣わないと。 人が待っているのにノロノロ歩いている人を見たら腹が立ちますよ。」
「駿ちゃん...それはちょっとおかしいんじゃない。」
「みんながあんたみたいに早く歩ける訳じゃ無いから。 世の中には色々な人がいるよ、お年寄りもいれば女の人もいるし子供だっている。 ゆっくり歩きたい人だっている。 自分が待っているからって相手も気を遣って当然なんて傲慢だと思うな、私は。」
「あんたは野球界にはびこる”格差”と戦うんでしょう、だったらもっと弱い人の身になって考えないと。」
タクシーは太田川沿いの河岸緑地に着いた。 広い川べりは芝生の広場や並木道になっており、橋の下にも自転車などが通過出来るスローブが設けられたりしている。
「ふーん、ここが広島であんたの一番好きなところなんだ。」
「いいえ、”2番目に好きな場所”ですよ。」
「え、じゃあ一番好きな場所って?」
「もちろん広島市民球場ですよ、”エリカ様”。」
「あはは、なるほどね。」
「あ、そうだった。 この週刊誌の記事だけど...」
”エリカ様”はバッグから一冊の週刊誌を取り出した。 それは週刊朝日のちょっと古い号だった。 私もその号は新聞広告の見出しが気になって既に読んでいた。 何でも大リーグが”日本地区”を設立して日本の野球市場を狙っており、その構想に日本の一部球団も乗っかって6球団で大リーグの日本地区を作り、優勝チームが大リーグのポストシーズンに進出して”世界一”とやらに挑戦出来ると言う構想らしいが...
「”エリカ様”、その記事なら私も読みました。」
「あんたの好きな広島はこの6球団には入ってないよね。」
「そんな事ではもう驚きませんよ。 4年前のプロ野球再編騒動の時にも10球団や8球団に減らされたらカープはその中には入っていない、潰されるだろうとこっちでは結構言われていたんですから。」
「それにしてもこの記事は妙にリアルなんですよね、その6球団の顔触れがジャイアンツ、”どこかの球団”、ドラゴンズ、ホークス、ファイターズ、バファローズになっているんですよ。 首都圏ですらジャイアンツしか無いのに何故か関西圏に2つ球団があるのもおかしい、地域性とかより企業の思惑で動いているではと思いますよ。」
「それと大リーグ日本地区が”6球団”になっているのも気になりますね。 4年前の(プロ野球再編騒動の)時はとりあえず10球団に減らし、そして最終的には8球団にするつもりだったらしいのですが、6球団になっているのは大リーグの各地区の構成球団数と合わせる為かも知れませんし。」
「で、どうするの?」
「それは今から考えるつもりなんですけど...」
夜になり、景色も見えなくなったのでとりあえずもう一度タクシーを呼んで”エリカ様”には宿泊予定のホテルに移動してもらい、私も家に引き上げた。
「駿ちゃん、仕立だよ! いつもの場所に来てちょうだい。」
”エリカ様”から連絡が入った。 私は早速広島市内の『横川胡子神社』へと向かった。 季節柄、境内の新緑が眩しい...
「これが頼み料です。」
「今回の頼み人はJ1復帰を願うサポーターと広島の人達。」
「やる相手はJ2仙台、監督の手倉森、FWの平瀬、中原、MFの佐藤、宮沢、DFの一柳。」
「じゃあ、頼むよ。」
「はいっ! ”エリカ様”。」
私は横川胡子神社を出てビッグアーチに向かう。 サンフィレッチェは開幕以降、何とか順調に勝ち点を重ねてJ2首位を守っている。 J1復帰へ向けてライバルとなっている仙台を破って首位固めをしたいものです。
...異常です。 6日の”第四回:本”へと続きます。
格差、格差の野球界
熱き戦い仕立て上げ
闇の世界の仕立人
今宵も広島を駆ける...
桜の時期も過ぎた新緑の季節、私は”エリカ様”を迎えに広島駅へと向かった。 広島駅の新幹線乗り換え口... ここは私にとっての”ルビコン川”だろう。 プロ野球にもしもの事があった時、私はここから新幹線に乗り換えて東京へと向かう事になると思う。 ここを渡ったらもう後戻りは出来ない...とそんな事を考えながら待っていると”エリカ様”がやって来た。
「駿ちゃん、この週刊誌読んだ?」
「駿ちゃんって、私の事ですか?」
「そう、あんたの事よ、”駿河守”なんて呼びにくくてしょうがないじゃないの。」
「駿ちゃん...ってジャイアンツの李選手みたいだけどまあいいか。」
「こんな人の多い所で立ち話も何ですからとにかく移動しましょう。」
私と”エリカ様”は駅前のロータリーからタクシーに乗り込んだ。 ここの駅前からタクシーに乗ったのは何年ぶりだろう。 貧乏な私の辞書に”タクシーに乗る”という言葉は載っていないからな、自慢にもならないけど。
「せっかく広島に来たんだし、どこかお薦めの景色の良い場所でも案内してくれる。」
「はい、”エリカ様”。 私のお気に入りの場所を教えますよ。 話はそこで。」
タクシーは私のお気に入りの場所、太田川べりの散歩道へと向かった。 信号を左折する時、歩行者がやって来てタクシーはその歩行者の通過を待っている...
「ちっ、こっちは待っているんだからさっさと早足で渡って欲しいものだ。」
「”エリカ様”、私はいつも道路を渡っていて車が待っているのが見えたら駆け足でさっさと渡って相手を少しでも待たさない様にしているんですよ。 待っている相手が居ると気が付いたら気を遣わないと。 人が待っているのにノロノロ歩いている人を見たら腹が立ちますよ。」
「駿ちゃん...それはちょっとおかしいんじゃない。」
「みんながあんたみたいに早く歩ける訳じゃ無いから。 世の中には色々な人がいるよ、お年寄りもいれば女の人もいるし子供だっている。 ゆっくり歩きたい人だっている。 自分が待っているからって相手も気を遣って当然なんて傲慢だと思うな、私は。」
「あんたは野球界にはびこる”格差”と戦うんでしょう、だったらもっと弱い人の身になって考えないと。」
タクシーは太田川沿いの河岸緑地に着いた。 広い川べりは芝生の広場や並木道になっており、橋の下にも自転車などが通過出来るスローブが設けられたりしている。
「ふーん、ここが広島であんたの一番好きなところなんだ。」
「いいえ、”2番目に好きな場所”ですよ。」
「え、じゃあ一番好きな場所って?」
「もちろん広島市民球場ですよ、”エリカ様”。」
「あはは、なるほどね。」
「あ、そうだった。 この週刊誌の記事だけど...」
”エリカ様”はバッグから一冊の週刊誌を取り出した。 それは週刊朝日のちょっと古い号だった。 私もその号は新聞広告の見出しが気になって既に読んでいた。 何でも大リーグが”日本地区”を設立して日本の野球市場を狙っており、その構想に日本の一部球団も乗っかって6球団で大リーグの日本地区を作り、優勝チームが大リーグのポストシーズンに進出して”世界一”とやらに挑戦出来ると言う構想らしいが...
「”エリカ様”、その記事なら私も読みました。」
「あんたの好きな広島はこの6球団には入ってないよね。」
「そんな事ではもう驚きませんよ。 4年前のプロ野球再編騒動の時にも10球団や8球団に減らされたらカープはその中には入っていない、潰されるだろうとこっちでは結構言われていたんですから。」
「それにしてもこの記事は妙にリアルなんですよね、その6球団の顔触れがジャイアンツ、”どこかの球団”、ドラゴンズ、ホークス、ファイターズ、バファローズになっているんですよ。 首都圏ですらジャイアンツしか無いのに何故か関西圏に2つ球団があるのもおかしい、地域性とかより企業の思惑で動いているではと思いますよ。」
「それと大リーグ日本地区が”6球団”になっているのも気になりますね。 4年前の(プロ野球再編騒動の)時はとりあえず10球団に減らし、そして最終的には8球団にするつもりだったらしいのですが、6球団になっているのは大リーグの各地区の構成球団数と合わせる為かも知れませんし。」
「で、どうするの?」
「それは今から考えるつもりなんですけど...」
夜になり、景色も見えなくなったのでとりあえずもう一度タクシーを呼んで”エリカ様”には宿泊予定のホテルに移動してもらい、私も家に引き上げた。
「駿ちゃん、仕立だよ! いつもの場所に来てちょうだい。」
”エリカ様”から連絡が入った。 私は早速広島市内の『横川胡子神社』へと向かった。 季節柄、境内の新緑が眩しい...
「これが頼み料です。」
「今回の頼み人はJ1復帰を願うサポーターと広島の人達。」
「やる相手はJ2仙台、監督の手倉森、FWの平瀬、中原、MFの佐藤、宮沢、DFの一柳。」
「じゃあ、頼むよ。」
「はいっ! ”エリカ様”。」
私は横川胡子神社を出てビッグアーチに向かう。 サンフィレッチェは開幕以降、何とか順調に勝ち点を重ねてJ2首位を守っている。 J1復帰へ向けてライバルとなっている仙台を破って首位固めをしたいものです。
...異常です。 6日の”第四回:本”へと続きます。
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