小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

強がる

2016-02-20 23:57:58 | 考察文
梶原一騎は、高校中退なのに、堂々と、早稲田大学文学部卒業と、自分の単行本のプロフィールに書いていた。

これは、学歴詐称である。

それで、辻真先とか、多くの、編集者、評論家は、彼を、ハッタリ屋、と言った。

ほとんどの、梶原一騎を知る人間は、彼を、ハッタリ屋と、言っていた。

しかし、これは、間違いである。

「あしたのジョー」の、4巻の、139Pの、白木幹之助助のセリフ。

「ふむ。あの矢吹という少年は、相手の強さを知りながら、なお、威張っとるというのかね。とすると、あながち、虚勢とばかりは言えんようだのう。相手が強いことを見越して、強がるのなら、そのへんの、ありふれたアホウじゃが、知っていてなお強がる。これは悲壮な決意のあらわれでもあるぞ。あそこまで、強がった以上、もし負けでもしたら、えらい恥をかくことになる。恥をさらしたくなければ死んでも勝たにゃあならん。つまり、そのせっぱつまったところまで、自分を追い込んだのが、彼の目的ではないかな」

梶原一騎は、マンガの、原作で、吹き出し、のセリフは、全て、自分で書いて、漫画家には、1文字たりとも、変更することを、ゆるさなかった。

だから、これは、梶原一騎の、書いたセリフである。

これを読めば、梶原一騎が、単なる、アホウの、ハッタリ屋か、もっと、深甚な考えでの上での、ハッタリかは、一目瞭然である。


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