かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 242(中国)

2019-06-02 21:47:10 | 短歌の鑑賞
  馬場あき子の旅の歌32(2010年10月実施)
       【砂の大地】『飛天の道』(2000年刊)189頁~
        参加者: N・I、Y・I、T・S、曽我亮子、鹿取未放
        レポーター: N・I 司会とまとめ:鹿取 未放


242 しづしづと沙漠広がるまひるまの砂の音ちさく笑ふ声する
 
        (レポート)
 茫々とした真昼間の沙漠は無音、砂の動くさまを笑う声と捉えたところがポエムだと想います。
    (N・I)

     (当日意見)
★この日は風が無かったのではないか。よけいに静かな感じがする。(曽我)

     (まとめ)
 一読、砂の笑いがかわいらしく太平の歌のようだが、次の243番歌「砂漠いまにすべてを埋づめつくすべし無為にしづかと誰か言ひたる」と合わせて読むと、不気味で恐ろしい歌だということが分かる。沙漠が広がるのは夜でなくまひる、しかも荒々しくではなく「しづしづと」であるところがかえって怖い。広がりつつ小さく笑う砂が、やがて人間界を席巻し尽くすのであろう。(鹿取)



コメント
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