かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 250(中国)

2019-06-10 19:20:43 | 短歌の鑑賞
 馬場あき子の旅の歌33(2010年11月実施)
  【砂の大地】『飛天の道』(2000年刊)192頁~
   参加者: N・I、Y・I、佐々木実之、T・S、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター: 藤本満須子 司会とまとめ:鹿取 未放

          

250 キルギスは柘榴モンゴルは剣を描けりそのパオに生れてみどり児眠る

     (レポート)
 歌はカザフ人、カザフの女、キルギス、モンゴルへと視点が向かっていく。パオに生まれて眠っている赤子に目を向けた1首である。キルギスのパオには石榴の刺繍が見えたのだろう。壁に掛けられているたくさんの絨毯の中に見つけたのかも知れない。(藤本)


      (当日意見)
★パオを覗いて見なくても、こういうところで赤ん坊が育つのだという感慨を詠んでいるというこ
 とでいいのではないか。(実之)

      (まとめ)
 パオの外に紋章のように描かれているのではないか。それがキルギスは柘榴、モンゴルは剣と描く絵が決まっている。キルギスとモンゴルのパオを一度に見ることは出来ないから、土地のガイドなどからこんなふうな決まりなんですよ、という話を聞いたのかもしれない。そしてそのそれぞれのパオに馬場は嬰児を眠らせた。どの嬰児も親も国も選んで生まれてくることはできない。何も知らずにすやすやと眠っている嬰児は、次の251番歌「羊皮もて囲へるパオにカザフたりき老い老いて世間一切は虚仮(こけ)」へ繋がっていくのだろう。(鹿取)


コメント
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