研究2の9(2018年2月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
【白鳥】P44~
参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取未放
66 白鳥から視線そらせば土色の田雲雀(たひばり)がいる枯草の上
(レポート)
大きなものと小さなもの、白と土色と枯草の色。作者の見るところの色に命が息づく。(慧子)
(当日意見)
★雲雀だけを詠むのじゃなくて、白鳥から目を逸らせて、スターから脇役を見た。(T・S)
★枯れ草の上に土色の鳥がいるんだからほとんど目立たないですね。そういう目立たない鳥に対し
ても、作者は親しみの目を向けているのですね。(鹿取)
★雲雀よりちょっと太った感じの鳥ですね。(真帆)
67 白鳥は鉛中毒にて死せり麻の袋に入れられている
(レポート)
白鳥が不如意なことで死ぬ。死因は鉛中毒だと判じられ、その死に時代や社会の負の面のあることが示され、そののち、麻の袋に入れられてむなしいものになる。この麻の袋も地方や郷土性が感じられる。ダンボール箱ではない。(慧子)
(当日意見)
★人間の流した鉛で死ぬってことよね。松男さんはなんか野鳥関係の仕事をしていらしたこともあ
るようですね。これは仕事の場面だと思います。麻の袋は地方色というのではなく、鉛中毒だか
ら特別に麻の袋にしたのでもなく、昔はどこにでもあるもので一般的な扱いだと思います。うち
の田舎では「どんごろす」と呼んでいました。(鹿取)
★今の時代だったらビニール袋だったかもしれない、そういう無造作な扱いということ。(T・S)
(後日意見)
『寒気氾濫』に次のような歌がある。(鹿取)
冷凍庫から剥製に出す大鷹の死にて久しき血はしたたらず
臓も腑も捨てられしなり白鳥の剥製抱けば風花のなか
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