かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞  68

2022-04-27 14:39:01 | 短歌の鑑賞


  研究2の9(2018年2月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【白鳥】P44~
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子    司会と記録:鹿取未放
     

68 ふゆは冬で白鳥の湖かがやくをさみしさは立つ杭のごときか

    (レポート)
 冬陽のなかに白鳥のいる湖はかがやいているが「を」の逆接によってかがやきのうちに「さみしさ」を引き出す。そのさみしさを立つ杭のごときかと少し不安定感をのこす。(慧子)


     (当日意見)
★夏は白鳥は不在の湖なんだけど、いなくても輝いていた。でも白鳥を浮かべて輝いている冬の湖
 を見ているとさみしさを感じる。そのさみしさは「立つ杭」のようなものだろうかと言うのです
 が「ごとき」という断定ではなく「ごときか」なんですね。この疑問は自分に聞いている感じで
 すね。湖の岸辺などによく杭が打ち込んでありますが、白鳥の湖は遠景でなにか幻のようにも 
 感じられるんだけど、杭は妙にリアルで無骨な手触り感がありますね。一方では「立つ杭」はみ
 をつくしではないけど、古歌のようなイメージもするんだけど、この歌は古歌のイメージではな
 いのでしょうし。(鹿取)
★夏も冬も季節毎に湖は違う輝きを見せるけれど、杭は変わらないで年中ある。さびしさはそうい
 う動かないものではないかと。(真帆)
★次の歌(白鳥はふっくらと陽にふくらみぬ ありがとういつも見えないあなた)との関連で読む
 と、もう少し深いところで読まないといけない歌かなと思うので、読み切れなくてすみません。
  (鹿取)

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