研究2の9(2018年2月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
【白鳥】P44~
参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取未放
68 ふゆは冬で白鳥の湖かがやくをさみしさは立つ杭のごときか
(レポート)
冬陽のなかに白鳥のいる湖はかがやいているが「を」の逆接によってかがやきのうちに「さみしさ」を引き出す。そのさみしさを立つ杭のごときかと少し不安定感をのこす。(慧子)
(当日意見)
★夏は白鳥は不在の湖なんだけど、いなくても輝いていた。でも白鳥を浮かべて輝いている冬の湖
を見ているとさみしさを感じる。そのさみしさは「立つ杭」のようなものだろうかと言うのです
が「ごとき」という断定ではなく「ごときか」なんですね。この疑問は自分に聞いている感じで
すね。湖の岸辺などによく杭が打ち込んでありますが、白鳥の湖は遠景でなにか幻のようにも
感じられるんだけど、杭は妙にリアルで無骨な手触り感がありますね。一方では「立つ杭」はみ
をつくしではないけど、古歌のようなイメージもするんだけど、この歌は古歌のイメージではな
いのでしょうし。(鹿取)
★夏も冬も季節毎に湖は違う輝きを見せるけれど、杭は変わらないで年中ある。さびしさはそうい
う動かないものではないかと。(真帆)
★次の歌(白鳥はふっくらと陽にふくらみぬ ありがとういつも見えないあなた)との関連で読む
と、もう少し深いところで読まないといけない歌かなと思うので、読み切れなくてすみません。
(鹿取)
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