かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

改訂版 渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 5

2022-04-07 10:32:26 | 短歌の鑑賞
 ※本日から改訂版を先にアップします。
  既にアップした『泡宇宙の蛙』2の1~2の5までの鑑賞を大幅に変更した歌について、
  改訂版を1首ずつ載せてゆきます。
  この後、本日2回目になる通常の鑑賞を載せます。 

  改訂版 渡辺松男研究2の1(2017年6月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【無限振動体】P9~
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取未放


5  するすると世界を抜けてゆくきのこ今宵は白く川の辺に佇つ

        (まとめ)
 映像としてこの世界を抜けていく茸を思い浮かべてみる。この茸は一本か集団か迷ったが、山毛欅の倒木を埋め尽くす無数のキノコの写真を図鑑で見た後なので(どこにも集団とは書いてないけれど)無数のきのこが見渡す限り一列に連なってするするとこの世界を抜け出ていく様子を想像した。川のほとりに今宵は佇んでいて、明日はどこに行くのだろう。何か次元を超えての脱出行のようで痛快な気分になる。(鹿取)


          (歌集評)
 かくしてきのこは汚れた世界から脱出してとうとうと白く流れる川のほとりに屹立する。きのこがすべての生物の存在を代表するのである。(鶴岡善久)
 「森、または透視と脱臼」(「かりん」2000年2月号) 

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