かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 131(ネパール)

2019-12-19 22:02:29 | 短歌の鑑賞
 *渡辺松男歌集の続きをリクエストくださっている方、もう少しお待ちください。月1度、6首
  ~10首ほどを鑑賞していますので、なかなか追いつけません。

  馬場あき子の外国詠15(2009年1月実施)
    【ニルギリ】『ゆふがほの家』(2006年刊)81頁~  
     参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子 司会とまとめ:鹿取 未放
                    

ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
  近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)

131 処女峰の全容をもて迫りたるニルギリを見きただ二日のみ

      (レポート)
 四千万年前、インド亜大陸を乗せたプレートが、ユーラシア大陸に向けて進むにつれ、両者を隔てていた海は狭まった。海底の地殻はユーラシアプレートの下に沈み込み、マントルの一部になった。山頂付近から発掘される海洋性の化石により、鉛直方向に動いたスケールを知ることができる。そのヒマラヤ山脈の一つである処女峰のニルギリに、今、馬場先生は対峙しておられる。何万年前の出来事と対峙し、人間の存在を考えるに、たったの二日ではあまりにも短かすぎる。永遠にニルギリと対峙していたい、馬場先生のお気持ちである。(T・H)


      (当日意見)
★ヒマラヤの造山活動の時期については、前の歌でも言ったように諸説あるようですが、レポータ
 ーが書かれている「何万年前の出来事と対峙し」という所は、私は違う意見です。対峙している
 のはあくまでも目の前にあるニルギリで、山の「むざね」が向こうから自分に迫ってきたように
 感じた。けれども、ニルギリに向き合えたのはたったの2日間に過ぎなかった。(鹿取)



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