かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 129

2022-08-27 10:27:56 | 短歌の鑑賞
  2022年度版 2の17(2019年1月実施)
     Ⅱ【膨らみて浮け】『泡宇宙の蛙』(1999年)P85~
     参加者:泉真帆、M・I、K・O、岡東和子、A・K、T・S、
       曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉真帆   司会と記録:鹿取未放


129 おどおどとサラリーマンは昇給しおどおどと花の陽を浴びに出る

        (レポート)
 「おどおどと」のリフレインが巧みだ。昇給したのをおどおどと受取り、しかしやはり嬉しくて花の陽を浴びに屋外へ出る。(真帆)


         (当日意見)
★真帆さん、この花は何だと思いますか?(鹿取)  
★考えませんでした。(真帆)
★次の歌を見ると「地へ花片散り」だから桜だと思いますが、この歌一首だったら職場の歌
 壇か近所の公園の花とでもとれますね。(鹿取)
★一般的にいって4月から給与体系が変わるでしょう。だから季節は春だから桜(A・K)
★やはり地面に咲いている花ではなくて桜だと思います。(T・S)
★私は桜とは思いませんでした。桜というと悲壮な感じがするし、悲しみが入る。だから戸
 外に出て花壇だろうと。昇級したのをもらっていいんだろうかとか、でももらってみると
 嬉しいし。「おどおど」に感情が出ている。(真帆)
★こういう場面におどおどを使うのがすごい。(鹿取)
★おどおどが面白いですね。やはり花は桜だと思いますが、古典を踏まえているのかな。昇
 給だと晴れやかな場面だから桜。恥じらいのあるうれしさがにじみ出ているような。音も
 よく響き合っているし好きな歌です。(K・O)
★最初のおどおどは、使用者が私を昇級させてくれたのですね。あとのおどおどは自分の気
 分だから主体的。このふたつのおどおどのニュアンスの違うところが面白い。(A・K)
 


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