かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 5(ロシア)

2020-02-19 20:57:12 | 短歌の鑑賞
馬場あき子の外国詠1(2007年10月実施)
   【オーロラ号】『九花』(2003年刊)135頁~
    参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、Y・S、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:K・I まとめ:鹿取未放

 ◆この一連は、なにげなく詠まれているようにみえて、歴史について、現代や現代の国の関係に
  ついて深く思いを凝らしている洞察力のある歌々である。2001年7月の「ロシアの帝都と
  黄金の環・吟行の旅九日間」には私も同行したため、一首鑑賞からはみ出して蛇足を加えてい
  る部分が多いが、懐かしさの故と思ってお許しいただきたい。


5 レーニン像全部倒されしわけでなく旅に六人のレーニンに遇(あ)ふ

               (まとめ)
 「倒されし」の「し」が、過去の助動詞として正統に使われている例。ソ連が崩壊したとき、われわれはレーニン像を倒すシーンを幾たびもテレビで見せられたが、旅に来てみたら「いやあ、残っていたよ」というのである。田舎にいくほど残っているといわれているが、ペテルブルグでもモスクワでも確かに見た。ヴォルガ川のクルージング中にも対岸に巨大な像を見たし、スズダリの市庁舎やヤロスラブリでも見た。
 ただし、私はかぞえなかった。かぞえたところに作者のレーニンへの、ひいては革命によって共産主義体制を勝ち得た、そして今はなき「ソ連」という国への濃い思い入れがうかがえる。しかも「七人」だと嘘っぽいが「六人」という数字がリアルである。像を残しておきたいと思っている人が存在しているということでもあろう。(鹿取)



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