かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 323

2024-09-26 10:18:09 | 短歌の鑑賞
 2024年度版 渡辺松男研究39(2016年6月実施)
     【明解なる樹々】『寒気氾濫』(1997年)133頁
     参加者:S・I、泉真帆、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部 慧子   司会と記録:鹿取 未放
 

323 ぶつけあうこころとこころ痛すぎて樹々のみどりへ眼そらせり

         (レポート)
 場面として2人以上そこにいて、近景か遠景か樹々のみどりがある。意見の相違などとは違ってもっと切実な人間関係、愛などにかかわれるもののように読み取れる「ぶつけあうこころとこころ痛すぎて」から四、五句へ続くのだが、確かにみどりには心の状態を快復や解放へ向かわせる力がある。(慧子)
 

         (当日意見)
★この歌読むとさっきの322番歌(木から木へ叫びちらして飛ぶ鵯が狂いきれずにわ
 が内に棲む)についてM・Sさんがおっしゃった「この歌。渡辺さんの歌だと思わな
 いで読んだら、奥さんが怒って叫んでいて、それをご主人が狂わないうちに何とかな
 だめたけれど今度は自分がいらいらとしてしまう、そういう歌とも読めますね」の評
 が説得力をもちますね。(鹿取)


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