かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

追加版 渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 36

2022-03-30 10:04:26 | 短歌の鑑賞
  追加版 渡辺松男研究2の5(2017年10月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【白根葵】P28~
     参加者:曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子    司会と記録:鹿取未放

       ◆後日意見を追加しました。

36 森深くあゆみ来たれば恋人のうしろにサンゴハリタケがいる

          (当日意見)
★レポーターのいう、恋人と同行したのではないには反対です。森深く女性が一人で行くのは危険 
 だし、別々に行く必然性はないし、大事な恋人なんだから一緒に行ったのでしょう。ふっとみた
 ら恋人のうしろにサンゴハリタケが花のように美しい姿で現れた。恋人の美しさと二重写しにな
 っているのでしょう。キノコですから動かないんだけど、「いる」と捉えたのが面白いですね。
 馬場あき子もたくさん植物を「いる」て表現していますが。(鹿取)


        (レポート)
 森深くへ分け入った。同行したのではなく、そこで会った恋人なのだろう。恋人の後ろにサンゴハリタケがいるという。傘のない白くて美しいきのこで、雲のようと例えたきサンゴハリタケである。まるで、恋人がそれに乗って天上界から会いに来ていたごとく。(慧子)

          (後日意見)  
 サンゴハリタケは「ブナ科の広葉樹の枯れ木や倒木の上などに発生する。食用になる」とネットには書かれているが、映像検索すると山毛欅の倒木ではなく立木に生えている例も多い。名前のように珊瑚のような形状で白くて美しい。この歌で、ブナの木に直接生えているサンゴハリタケを恋人のうしろに発見して、あっと思った設定なのだろう。(鹿取)

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