2022年度版 渡辺松男研究2の23(2019年4月28日実施)
Ⅲ【交通論】『泡宇宙の蛙』(1999年)P109~
参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、T・S、鹿取未放
レポーター:泉真帆 司会と記録:鹿取未放
168 青木伊平というひとありしゆく川のほのぐらさなど水引の花
(レポート)
青木伊平は竹下登の金庫番をつとめた秘書。リクルート事件で、竹下登もリクルートコスモス株の名義人になっていたため資金供与の疑いがかかり、結果、秘書の青木が遺書をのこしての自殺に追い込まれた、しかし死因にはなお他殺の疑いが残っている。この一首にも前のうた(住専さえ知らざりしわれら軍閥さえ知らざりし茂吉 吹越(ふつこし)の空)同様に、政治家の犠牲になった者の悲劇と無念が詠まれている。「ほのぐらさ」に青木伊平の無念が、「水引の花」に作者の青木への追悼の情がにじむ。(真帆)
(当日意見)
★植物の水引じゃ無いですか。(A・K)
★私も植物だと思います。川のほとりに水引の花が咲いているってことだと思います。(鹿取)
★私も植物だとは思ったのですが、それから不祝儀の水引を連想して追悼の気持ちを込めているの
かなと思ったのです。作者は犠牲になったこの人を哀れに思ったんだと。(真帆)
★水引の可憐さに哀れさも感じますよね。亡くなった青木伊平という人の存在があたかも水引の花
のようだったと。青木伊平ってフルネームですよね。単に青木とか、秘書とか言っていない。私
は先輩に人名の場合はフルネームを使え、それが尊敬を示す事だからと教えられました。青木伊
平ということで、作者とこの人の距離が出ますね。青木伊平に心を尽くして、配慮して歌ってい
る。(A・K)
★フルネームということではないけど、馬場先生は固有名詞は自分にとって絶対的な人か、誰でも
知っている人かでないと活きないといつもおっしゃっていますね。この歌、通俗的に言えばそれ
までは甘い汁も吸ってきた人かもしれないとも思うけど、とても惻隠の情を持って歌っていると
は思います。この歌、展開が面白いですね。私だったら青木伊平を詠おうとしたとして「ゆく川
のほのぐらさ」には絶対続けられない。仮に続けたとしても「ほのぐらい川のほとりには水引の
花が咲いていた」と景で詠うと思うけど、松男さんは「など」。「など」ってなんだろう、きっ
とここがポイントなんでしょう。(鹿取)
★青木伊平がどういう経緯で竹下登の秘書になったかとか、ネットで調べると詳しく出てきます。
また、死の真相も、因果を含めて自殺させられたのではなく、第3者が殺して自殺に見せかけた
というのが現在では一般的な見方みたいです。こういう大きな事件になるとみんなトップのそば
にいた人が犠牲になりますよね。そういう人に対する悼みですよね。(鹿取)
★詩としてなりたっていない社会詠が多くて、散文か論文にしろよと思うけど、この歌は詩になっ
ている。上手いですねえ。「など」がなかったらつまらないけど。川で水引だから関連はあるけ
ど。(A・K)
★だから水引が唐突ではないのですね。(岡東)
Ⅲ【交通論】『泡宇宙の蛙』(1999年)P109~
参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、T・S、鹿取未放
レポーター:泉真帆 司会と記録:鹿取未放
168 青木伊平というひとありしゆく川のほのぐらさなど水引の花
(レポート)
青木伊平は竹下登の金庫番をつとめた秘書。リクルート事件で、竹下登もリクルートコスモス株の名義人になっていたため資金供与の疑いがかかり、結果、秘書の青木が遺書をのこしての自殺に追い込まれた、しかし死因にはなお他殺の疑いが残っている。この一首にも前のうた(住専さえ知らざりしわれら軍閥さえ知らざりし茂吉 吹越(ふつこし)の空)同様に、政治家の犠牲になった者の悲劇と無念が詠まれている。「ほのぐらさ」に青木伊平の無念が、「水引の花」に作者の青木への追悼の情がにじむ。(真帆)
(当日意見)
★植物の水引じゃ無いですか。(A・K)
★私も植物だと思います。川のほとりに水引の花が咲いているってことだと思います。(鹿取)
★私も植物だとは思ったのですが、それから不祝儀の水引を連想して追悼の気持ちを込めているの
かなと思ったのです。作者は犠牲になったこの人を哀れに思ったんだと。(真帆)
★水引の可憐さに哀れさも感じますよね。亡くなった青木伊平という人の存在があたかも水引の花
のようだったと。青木伊平ってフルネームですよね。単に青木とか、秘書とか言っていない。私
は先輩に人名の場合はフルネームを使え、それが尊敬を示す事だからと教えられました。青木伊
平ということで、作者とこの人の距離が出ますね。青木伊平に心を尽くして、配慮して歌ってい
る。(A・K)
★フルネームということではないけど、馬場先生は固有名詞は自分にとって絶対的な人か、誰でも
知っている人かでないと活きないといつもおっしゃっていますね。この歌、通俗的に言えばそれ
までは甘い汁も吸ってきた人かもしれないとも思うけど、とても惻隠の情を持って歌っていると
は思います。この歌、展開が面白いですね。私だったら青木伊平を詠おうとしたとして「ゆく川
のほのぐらさ」には絶対続けられない。仮に続けたとしても「ほのぐらい川のほとりには水引の
花が咲いていた」と景で詠うと思うけど、松男さんは「など」。「など」ってなんだろう、きっ
とここがポイントなんでしょう。(鹿取)
★青木伊平がどういう経緯で竹下登の秘書になったかとか、ネットで調べると詳しく出てきます。
また、死の真相も、因果を含めて自殺させられたのではなく、第3者が殺して自殺に見せかけた
というのが現在では一般的な見方みたいです。こういう大きな事件になるとみんなトップのそば
にいた人が犠牲になりますよね。そういう人に対する悼みですよね。(鹿取)
★詩としてなりたっていない社会詠が多くて、散文か論文にしろよと思うけど、この歌は詩になっ
ている。上手いですねえ。「など」がなかったらつまらないけど。川で水引だから関連はあるけ
ど。(A・K)
★だから水引が唐突ではないのですね。(岡東)
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