かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 293(トルコ)

2019-07-07 16:32:49 | 短歌の鑑賞
    馬場あき子旅の歌39(11年5月) 【遊光】『飛種』(1996年刊)P128~
    参加者:K・I、崎尾廣子、佐々木実之、曽我亮子、H・T、鹿取未放
    レポーター:崎尾 廣子 司会とまとめ:鹿取 未放
     

293 転向の心はいかなる時に湧くや地下都市低く暗く下りゆく

        (レポート)(崎尾)
 カッパドキアの景観は数百万年前に噴火した火山が生みの親である。初期キリスト教時代の1世紀から4世紀にかけて、彼等はこの地に入ってきた。そして彼等の掘った洞窟修道院・聖堂の数はカッパドキア全体で1000を超えるといわれている。
(大村幸弘『カッパドキア トルコ洞窟修道院と地下都市』集英社)


      (まとめ)
 迫害を受けたキリスト教徒達はあくまでも信仰を守るために地下都市を造って隠れ住んだ。しかし、長期間不自由な生活を強いられたり様々な条件から、ある人にふっと転向の心が忍び寄ってきたとしても不思議ではない。暗い地下都市を下りながら、作者はそんなことを考えたのだろう。2、3句の8、6音という字余りがそんな心のたゆたいを表現しているようだ。
 私はふっと太平洋戦争末期、沖縄のガマに暮らした民衆達のことが心をかすめた。遣欧使節団の帰国後のそれぞれの末路を勉強したことも思い出した。(鹿取)

 

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