かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 292(トルコ)

2019-07-06 20:26:09 | 短歌の鑑賞
     馬場あき子旅の歌39(11年5月) 【遊光】『飛種』(1996年刊)P128~
     参加者:K・I、崎尾廣子、佐々木実之、曽我亮子、H・T、鹿取未放
     レポーター:崎尾 廣子 司会とまとめ:鹿取 未放
     

292 歴史とは苦しみの嵩地下都市をくだりて深く匂ふ土あり

     (まとめ)
 紀元前400年頃の資料には既に地下都市の存在が記録されているそうだが、ここは有名なカッパドキアの地下都市であろう。4世紀初め(ディオクレティアヌス帝による大迫害は特に有名である)迫害を受けてキリスト教徒達が地下に隠れ住んだといわれている。その跡を尋ねて深く深く下っていった時に匂う土の香、そこに人間の生の実体をあざやかに感じ取っているのであろう。そこの生活は信仰の喜びだけではない、さまざまな苦を伴っていたことも感じとっているのだろう。(鹿取)

 
        (レポート)(崎尾廣子)
 トルコ共和国、アナトリア半島は古来、アジアとヨーロッパが交錯する場所であった。一万年を超す歴史が謎を秘めたまま眠っている。その中央部のカッパドキアは、火山岩台地に長年の風雪による浸食作用がもたらした、見る者を驚かさずにはおかない奇観の地である。終末を予感し、この荒野に祈りの場所を求めた人々がいた。彼等は岩山を掘って洞窟修道院・聖堂を造り、信仰心に満ちた絵画を描いた。数千人の共同生活が可能な、8層に及ぶ地下都市や険しい岸壁に祈りのための洞穴を窄っている。(大村幸弘『カッパドキア トルコ洞窟修道院と地下都市』集英社)



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