かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 228 中国⑨

2023-04-23 10:40:33 | 短歌の鑑賞
 2023年版 馬場あき子の旅の歌30(2010年9月実施)
    【李将軍の杏】『飛天の道』(2000年刊)180頁
     参加者:N・I、曽我亮子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:曽我 亮子 司会とまとめ:鹿取 未放


228 西域は老仙の国太太(たいたい)の傍らにしてをとこ痩せゐつ

       (レポート)
 西域諸国は古来翁を「老仙」と敬い大切にする国柄だが、みるとふっくらした奥方のそばにいるのは、みな元気のないしょぼくれた男達ばかり…。作者は、現代はいずこも同じ、西域にも女性上位の風が吹いているのだなあと、感慨を込めて詠っておられる。(曽我)
  太太:妻の敬称


      (当日意見)
★老仙といっても仙人ではなく妻帯している。「太太」の文字のイ
 メージと、痩せた男との取り合わせの面白さを狙っている。
   (慧子)
★ユーモアがあって楽しい歌ですよね。西域は伝説の老仙が住むよ
 うな土地柄なんだけれど、今はふくよかな妻の傍らに決まって影
 の薄い痩せた男がついている。慧子さんの言うように「太太」と
 いう文字と痩せた男の取り合わせの面白さももちろんあるんだけ
 ど、夫である痩せた男にかすかに仙人の精神性をみているのでは
 ないかな。(鹿取)

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