「勝海舟」を読み終えた。文庫本だが、一冊500ページ越えが6冊。結構読みでがあった。私は、幕末の志士の中では、坂本竜馬が好きで、坂本竜馬が暗殺されなかったら、日本の有り様も大分違っていたのだろうと考えていた。
ところが、「勝海舟」を読んでみると、坂本竜馬の活動の後援者は悉く勝海舟の知人が名を連ね、勝海舟あっての坂本竜馬であったことが分かる。また、発想の多くは、勝海舟の発想によるところが多いようだ。また、幕末に、アメリカまで咸臨丸で渡米しているが、航海術を習得するときの勝海舟の集中力や包容力の大きさは、物凄いものがあった。そして、百年後には欧米を追い越し、一番になるのだという強い意思を抱いて、人材育成に当たっていたようだ。
先を見越す力は大変なものであった。ただ、惜しむらくは、口では幕府の温存ではなく、「日本国を西洋列国から守り、中国などのようにならないためにはどうするかということが中心で、自らの立身出世には関心がなかった。西郷隆盛など大物たちからの誘いを断り、あくまでも江戸幕府にとどまって、その枠を超えようとはしなかった。もし、勝海舟にもうひとつ欲というものがあったら、明治とそれに続く時代の有り様は大きく変わっていたことだろう。
しかし、これはあくまでも子母沢寛の描いた小説の中でのこと、実際の人物はどうだったのかということは分からない。非常に興味のあるところだ。
そこで、次には、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読むことにした。これも、文庫版400数十ページの8冊セット、古本屋で1200円で買ってきた。これでしばらくは読み続けられることになった。しばらく掛かるだろうが、読み終えたら、また、一言感想を述べたいと思っている。