夜も深まった9時過ぎ、外は津々と冷える中、何やら音が聞こえてきた。耳を澄ませて聞いてみると、拍子木の音だ。「火の用心!」という言葉は聞こえなかったが、夜回りのようだ。そう言えば、20年くらい前に、別の町内に住んでいたことに、夜回りの番が回ってきて、今日と同じように、拍子木を打ち鳴らしながら、「火の用心!」と叫びながら回ったことを想い出した。あの頃でも、相当時代遅れのことをやっていると感じたのだが、ここ八王子ではあれから20年も経っているのに、いまだに夜回りが続いているのだ。
そう言えば、私の田舎でも、子供の頃には、夜回りが行われていて、子供ながらに大人の後をついて歩いた記憶がある。でも、私が成人する頃にはなくなり、それからもう50年も経つ。そう考えると、何か八王子という町がとても懐かしく、かつ、子安神社では、初詣に合わせて、鐘や太鼓、横笛のお囃子とともに、舞台では、獅子舞が演じられる。八王子は、何か伝統の重みを感じる古い町なのだと改めて思う。