愛知県碧南市で、税務署にふるさと納税を勧め、ふるさと納税があった金額の10%の謝礼を出すという文書を大量に作成し、税理士事務所に送付したという。これに対して、総務省は、紹介者に謝礼を払うという話は聞いたことがないと批判しているが、碧南市の担当者は、納税サイトには納税額の10%の謝礼を支払っており、それに倣ったものと述べているという。また、返礼品として、地元の特産品等ではなく、全国から選りすぐった返礼品を用意し、ふるさと納税を募っているという自治体まで現れる始末だ。ふるさと納税自体、最初から原理原則が無視されているものだ。だから、こうした行き過ぎも当然として出て来るものだと思う。
ふるさと納税の問題の元は、「寄付」がいつの間にか「税」にすり替わってしまっていることに端を発している。寄付に対しては、感謝状や多少の返礼はあってもおかしくないと思う。しかし、地方自治体に寄付した金額が地元の自治体に収める住民税から控除されるという不思議な制度なのだ。寄付して返礼品をもらう、そして、確定申告すれば、寄付した額が住民税から控除されるのだとすれば、返礼品をもらった方が得だというのは誰しもが思うことだ。一方、寄付を受けた側は、あくまでも「寄付」であって、市町村の正規の予算からは切り離されたところで運用できる。家庭で言えば、正規の給料による収入ではなく、懸賞品が当たったとか宝くじが当たったといった感覚で、いかようにも使える金というわけで、こんなにおいしいものはない。あっちの市町村ではこれだけ寄付を集めた、こっちの市町村ではどうだ、自分のところの寄付金はどうだと比較し、こぞって寄付金集めに奔走するようになったものだ。これは当たり前と言えば当たり前の結果であって、別に驚くに値しない。
そもそも「寄付金」が「税」に化けたのが問題であって、住民税からの控除をやめれば良いだけなのだ。一般に、「寄付金」をした場合、所得税の申告の時点で控除が受けられる制度があったと思う。その原則を守り、所得税の範囲内で処理していくべきことなのだろうと思う。国の税収は減らしたくない、地方税にそのしわ寄せを押し付けたのがいけなかったのだろうと思う。総務省は、返礼品の額がどうのこうのと馬鹿な指示を出す前に、「ふるさと納税」制度そのものについてきちんと検討し、即刻、馬鹿な制度を廃止するのが筋というものだろう!