ドイツ語のオンライン授業を受けている時に、先生が突然慌てて、画面から消えた。外面に戻って来て、「夫の脈拍が100を越えている!」と言い、心ここにあらずといった状態になった。参加していたメンバーから、「授業はいから旦那を見てあげてください!」との声が上がって、先生は授業から退席した。
このドイツ語のオンライン授業、6年程前に、国際交流協会が主催して行われた教室なのだが、所定の授業は、1年で終わってしまい。その後は、継続を望むメンバーが先生に依頼して、市の施設を借りて、授業を続けていたものだ。元々は25人で始まったものだが、18人にメンバーが減ったものの、いまだに続いている。コロナ感染拡大で、初めて緊急事態宣言が出され、いったんは中断したものの、その後、オンライン授業に切り替えて続いている。
こんな経緯があるので、私もかなり長い間、ドイツ語を勉強しているのだが、私は、妻の介護で全く参加できなかった期間が1年くらいあり、その後は、ドイツ語の授業からはほぼ落ちこぼれている状態だ。ただ、10年後越える単身赴任から戻って、この地元には、友達が全くいない。貴重な仲間なので、お付き合いで参加しているといったところが本音だ。
話を戻すと、先生は、ドイツ人女性で、日本に来て、25年くらい経っている。しかし、日本語は本当に片言なのだ。何でも、夫の家族とは、結婚を機に、絶縁状態にあるという。日本にいて唯一頼れる身内の夫が肺気胸という病気を患い、現在、闘病中とのことだ。加えて、このコロナ感染拡大に、先生は、心細くてたまらないことだろう。先生は、大学でもドイツ語を教えているのだが、全てオンライン授業になっているという。外出は、買い物のために、近所のスーパーマーケットに行くこと、夫の通院に付き添っていくことだけのようだ。
ドイツ語教室のメンバーは、皆、オジサン・オバサンの集まり。多少、おせっかいでもある。先生の心境をおもんばかり、何かお手伝いできないだろうかと気を揉んでいる。介護保険制度や身障者手帳に基づく援助が使えないものだろうかと思うのだが、いずれにしても、色々なサービスを受ける手続きをするのは、先生だ。その先生に、その手続きの仕方や利用できそうなサービスにどんなものがあるのかを伝授する必要があるのだが、コロナ感染をかなり極度に心配している先生は、会うことにはとても消極的、拒否的といっても良いかkも知れない。また、会っても、どれだけ情報を伝え、先生のお気持ちを理解できるかという心配もある。
英語版のパンフレットを送り、後の詳しい話は、オンラインでやるしかないだろうという話になってきた。それにしても、言葉が自由に出てこないというのは、とても、もどかしいことだ。20年以上アメリカで生活したことのあるメンバーに加わってもらい、英語での説明が中心になりそうだ。まあ、何年暮らそうが、直面して来なかった看護や介護について、ちゃんと通訳してもらえるのか、不安が残るのだが、まあ、「やるっきゃない!」ですね!