ネット上のニュースにこんな記事が載っていた。
「行方不明となっていた埼玉県朝霞市の女子生徒(15)が約2年ぶりに保護された事件で、未成年者誘拐容疑で指名手配後に身柄を確保された寺内樺風容疑者(23)が通っていた千葉大の渡辺誠理事は28日、記者会見し、懲罰委員会を設けて寺内容疑者の卒業取り消しを検討する考えを示した。」(ニコニコニュースから抜粋)
一見、大きな事件を起こしたのだから、大学の卒業資格を取り消されても仕方ないと考え、諸手を挙げて賛成する人も多いだろう。しかし、犯罪を犯したということと、大学で規定の学業成績を上げ、学士の資格を取得したということは直接結びつかないように思う。在学中であれば、退学処分ということは普通にある。しかし、すでに卒業してしまって在籍しているわけではないわけで、過去に認めた卒業資格を剥奪する権利は、大学側にあるのだろうか?
過去に、早稲田大学で小保内女史の博士号を取り消したことは記憶に新しい。しかし、あの場合には、博士論文に不正があったということで、取り消しの理屈は成り立つ。しかし、今回の場合、学業とは関係ない部分での非行だ、もし、同様の発想で行けば、犯罪を犯した人の学士号は剥奪することができることになる。例えば、覚せい剤で捕まると、大学卒業資格まで失いますということになる。卒業証書に、そんなこと書いてあっただろうか?そんなことをすれば、犯罪者の社会復帰にも、大きく影響しかねないことだと思う。
大学は外聞を気にするのではなく、大学と社会での行状とは関係ないということをしっかりと説明するべきだろうと思う。取材が来て、大学は何をやっていたのか?との批判をかわすために、簡単に卒業資格云々と口にしてもらいたくないと思うのだが、いかがなものだろうか?