その日はすぐにやって来ました。みちしるべのパンフの表紙の絵を描くということをYさんは忘れておりませんでした。お迎えに行くと、「ああ、そうだったなぁ」とすぐに送迎車に乗り込んでくださいました。画用紙はこちらで準備していましたので、鉛筆と絵の具の一式をご持参されました。
そして、みちしるべに到着すると、すぐに玄関外の道路に出られて、絵の構図を検討し始められました。8月の暑い日でしたので、スタッフが日傘をさして、一心不乱に描き始めたのでした。
そして、デッサンが終わると家の中に入り、絵の具で色つけが始まりました。途中でどんな色だったのか忘れると、何度も玄関の外に出られ、微妙な色の変化を確認して、再び家の中に入り描き始められました。
そして、出来上がったのがこの絵です。
見事な絵でした。しかし、Yさんはまだ完成ではないと言いました。これから少しずつ筆を加えることはあろうかと言っておりました。(さすがプロです!)
その後はせっかくですので、お昼ご飯を召し上がっていただいて、それから帰宅されました。
ケアマネさんは体験利用は大成功だと喜んでおりました。来週もお誘いすると、喜んで来て下さいました。そのときは、山形名物の“芋煮会”をしますとお伝えしました。
そのときお酒はふるまいませんでしたが、芋煮をたらふく食べると自ら立って踊りだされました。私も一緒に踊って、スタッフたちに手拍子と唄をうたってもらいました。とても賑やかな宴会のひとときとなりました。
こうしてYさんのデイ利用は順調にスタートしたのでした。完成したパンフレットを見て頂き、ご本人およびご長男さんに心からお礼を申し上げました。
まとめ
1.ケアマネさんからの情報を正確に聴き、分析する。
しかし、ケアマネさんからの情報だけを鵜呑みにしない。
2.本人の生まれ故郷や仕事、趣味志向を聴く。
3.初訪問時にアセスメントをしない。ただ仕事の依頼に専念する。
4.相手が了解すれば日時のお約束までする。
5.初利用日以降の次の一手を考えておく。
ケアマネさんからの情報は得てして一方的な見方であったり、偏った情報であったりします。ですので、あくまでも一情報として留めておき、どんな人なのかは自分が始めて会ったときの感性に委ねます。「Yさんはこういう人です」という決めつけが強ければ強いほど、ケアマネさんの主観が強くなっているので、すべての情報を鵜呑みにしないことが大切です。
初めて訪問するときに、デイサービスの説明やアセスメント票に従ってお話しすると、すぐに「帰ってくれ」となりかねないので、いっさいアセスメントしませんでした。ただ言葉にしなくとも、ご本人からの返答や仕草、服装の様子等でだいたいの状況を把握することはできます。
最初の目的が達成されることを見込んで、次の一手を考えておきます。(この場合は芋煮会)そうしないと、せっかくうまくいったことを次につなげられません。