光のみちしるべ ~愛だけが現実~

私たちは皆、神様の子供。
内なる神の分光を輝かせましょう。
5次元の光のピラミッドがあなたを待っています。

でぇ、どうするん?(胸騒ぎの認知症ケア)送迎編⑬

2018年02月02日 19時31分10秒 | でぇ、どうするん?~胸騒ぎの認知症ケア~

でぇ、どうするん?(胸騒ぎの認知症ケア)送迎編 最後の登場は神谷さん(要介護5 90歳代)です。

 

九州の宮崎県で教員をしていた神谷さんは、

教頭まで職務をまっとうされた大変立派な方です。

しかし、アルツハイマー型認知症になられてから生活は一変、

穏やかな性格は何処かへ隠れてしまい、

つねに人に対してきびしい言葉を言ってしまうのでした。


みちしるべにご依頼があったとき、

じつは他のデイサービスに通っておられました。

しかし、ふたりの娘さんの話によると、

送迎車から降りても玄関の中に入らなかったとのことです。

それは何故か?

残念ながらわかりません。


じつはそのデイサービスは特別養護老人ホーム併設のところでした。

しかも私が働いていたところと同じ社会福祉法人でした。

いうなれば私の古巣ともいえるところです。

当時まだオープンしたてだったその施設は、

建築前の設計段階からかかわっていました。

私はそこでたくさんのお年寄りが、

楽しく幸せにすごしている風景を夢見ていたのですが、

なぜか途中から制約がきびしくなってきて、

その新しい特養のオープン直前に

新しい冒険の旅に出るため退職したのでした。


ですから、その施設の玄関の中に入らないということを聞いて、

少なからずショックを受けました。

そんな施設をつくる思いはまったくなかったからです。


神谷さんのためにひとりの職員がつくようになり、

対応に苦慮した施設側から利用を断られた、

というのが娘さんたちからのお話しでした。

このケアマネジャーさんも同法人の職員さんでした。


でもどうして玄関の中に入らなかったのか、

何が一番の理由で利用をことわったのか、

という情報提供は何もありませんでした。

私も聞きませんでした。

 

 

お断りされた娘さんたちが、

必死で受け容れてもらえそうなデイサービスを探して、

ケアマネさん抜きでコンタクトを取ってきたのでした。


神谷さんのご自宅で初めてお会いしたとき、

私を見て、


「りっぱな先生じゃ!」


とにこやかな表情で、

何度も叫んでおられました。


 

つづく


 


でぇ、どうするん?(胸騒ぎの認知症ケア)送迎編⑫

2018年02月02日 13時07分22秒 | でぇ、どうするん?~胸騒ぎの認知症ケア~

 

加山さんをお迎えに行くと、

ヘルパーさんが送り出しで入っておられます。

もうご主人さんは剪定のお仕事に行かれておりません。

ですから家の留守を守っている意識がとても強くなっています。


「デイサービスに行きましょう」

とお誘いしても、


「私は行きません」


ときっぱり断られます。

それでも執拗にお誘いすると、


「行かないって言ってるでしょ!」


と怒りモードに入られてしまいます。


「何度も同じことを言わせないで!」


という気持ちにさせてしまいます。

 


それで「行きましょう」という誘い方ではなく、



「加山さんの力が必要なんです!

 加山さんとお会いできるのを、

 とても楽しみに待っている人たちがいるんです。

 だから絶対にお連れしないと私叱られてしまいます!」


と切々と訴えます。


「私とお会いしたい人って誰よ?」


とここで馴染み方々をお伝えします。


「〇〇の奥さんとか、▲▲のご主人とか」


「ふ~ん。で、私が行かないとどうなるわけ?」


「そりゃあ、もう盛り上がりません。

 だって今日は節分ですから、

加山さんがいらっしゃらないと鬼は逃げていきません。

皆さんも困ったなあって言いますよ」


「またうまいこと言ってぇ」


でもまんざらそうでもなく、


「それじゃあ、どうしようかな?」


とちょっとだけ首をかしげて考え始めます。



ところが、このいい雰囲気になったところで、

予期せぬおじゃま虫が入ります。


「ゆうびんで~~~す」


と郵便配達の人が来てしまいました。

せっかく盛り上がってきたところなのに、

加山さんはその郵便を受け取るやいなや

お家の中に戻って行ってしまいました。


(あ~あ。どうして今くるの)


と私の胸の中で何かが音を立てて崩れ落ちます。


(ここまで来たのに・・・)


と悔し涙を右手でそっとふいて、


もう一度仕切り直しです。



でも、

「あなたの力が必要なんです!」


というスタンスは変わりません。


「他の誰でもない、あなたなんです」

「あなたの代わりは誰もいないんです」


という思いをやさしく、まじめに、ちょっと頑固にお伝えします。


「それじゃあ、ちょっとだけ行ってくるわ。

お昼が終わったらすぐ帰りますからね。

 留守たのんだわよ」


 

ということでさっそうと送迎車に乗られたのでした。

 

 

この、

「あなたの力が必要なんです!」

という思いは、

私の基本的信念でもあります。

どなたに対しても、

この思いで接することが、

とても大切だなと思います。