胸ポケットから『生命の贈り物』を取り出して読み始めたものの、
順番通りには読めずあちこちを飛ばし読みしました。
動揺している自分に気がつき、
数回無限呼吸をした後、5次元のピラミッドに入りました。
どんな状況にあっても超然としていることは難しいものです。
心の中に平安を保つことは簡単なことではありません。
5次元のピラミッドの中に1人の若い女性が現れました。
どの時代の方なのか分かりません。
長い髪の毛の女性は、まったく揺るぐことなく立っていました。
そして、私はしとりんへのヒーリングを開始しました。
5次元のピラミッドの中で必死にヒーリングを試みました。
天使さんたちにも力を合わしてくださるようにお願いしました。
そのとき、「しとりんのご主人さん、こちらへ!」
とベテラン助産師さんより呼ばれました。
急いでMFICUに行くと、
「赤ちゃんについて、NICUの医師より説明があります」
と私をNICUの中に案内してくれました。
初めて保育器が並んでいる部屋に入りました。
その中の1つにひーちゃんがおりました。
ひーちゃんはうつ伏せになってすやすやと眠っていました。
すでに点滴が入っており、バイタル測定の線につながれていました。
でも痛々しいほどではなく、肌色はとても良く、
素人目でも元気なのがわかりました。
男性の小児科医師が私の到着を待ち、
「これから赤ちゃんの説明をいたします」
と、ひーちゃんの状況を説明し始めました。
本来ならばしとりんと一緒に聴かなければなりませんが、
生きるか死ぬかの瀬戸際にいます。
私一人で説明を受けることになりました。
でも医師の細かい説明の言葉は頭の中に入りません。
右から左へと言葉が抜けて行きます。
(要するにひーちゃんは元気なんだろう?大丈夫なんだろう?)
と心の中で言い続けていました。
要約すれば、およそ37週になるまで、
体重で言えば2,500gを超えるまでは退院は出来ないということ、
でも自発呼吸をしており、とても元気であることでした。
次に看護師さんから入院手続きや面会の仕方などの細かい説明がありました。
ゆっくり話してくれましたが、半分ほどしか頭の中に入らず、
しとりんのことが心配でなりませんでした。
それでも目の前のひーちゃんはとても可愛く、愛しい気持ちでいっぱいでした。
「さわっても大丈夫ですよ」
と看護師さんが保育器前面にある小さな扉を開いてくださいました。
私はそこから手を入れてひーちゃんの頭を撫でました。
「よく頑張ったなあ。突然外に出されてびっくりしただろう。でももう大丈夫だからね」
涙が込み上げそうになりましたが必死に堪えました。
そして、頭や背中、足などを撫で続けました。
もう言葉になりませんでした。
時間が来て、再び私はエレベーターホール前の椅子に戻りました。
もっとひーちゃんのそばにいたいけど、
今はしとりんの命がどうなるのか心配でなりませんでした。
つづく