緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

術後疼痛もバッチリ!

2006年06月05日 | 医療

放射線が効きづらいがんの患者さん。肋骨に転移し、とにかく切除を強く希望され、1ヶ月前から、術後の疼痛管理を患者さんと奥様から何度も何度も依頼されていた。

もともと1日一回の徐放性モルヒネを150mg内服されていたので、静注への換算は1/3であるから50mgを50mlにして2ml/hで投与。肋骨の切除であるため、神経損傷疼痛を抑えるためケタラールを100mg/日。切った傷の痛みはNSAIDsが良く効く為、ロピオン併用。というプランを外科系医師に提示しておいた。
麻酔から覚め、「
際限なく痛い」とおっしゃった。

おお、それでは、ということで、モルヒネを1時間量2mlを早送りし、速度を4ml/hへアップ。加えて、ロピオンを30分の速度にアップし、いろいろ話をしていた。

最初は、ポツリポツリだったのが、だんだんと普通通りに話せるようになってきて、そのうち、
「先生、頭上がんないですよ。こんなに(妻は)良くやってくれて。まだまだ死ねないです。」と天井を見ながらおっしゃるので、唐突に
「それで、プロポーズの言葉は?」とたずねると、
「何だかありきたりなんですけど、いっしょの墓に入ろうって・・」
と、妻は、「っていいながら、その墓更地にしちゃったんですよ」と、爆笑・・
ああ、笑えているから、痛みもかなり落ち着いてきたと他覚的評価。
笑わせながら疼痛評価をこっそりしているって、ちょっとぉ~って言われちゃうかも。
ということで、ロピオンは半減期が短い(5時間あまり)ので、後じっくり効かせ続けるため、残を2時間くらいかけて落とすようにし、モルヒネももとの2ml/hへ減量した。

術後痛に、とにかく不安だった妻も笑顔でホッとしながら、涙をぬぐっていた。
体表、骨の痛みにはNSAIDsの点滴がホント有効!そして 幸せまで再確認できちゃうのです!!

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2 コメント

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術後痛 (atusato)
2006-06-06 00:18:45
も、大切な緩和医療のすよね。講義をしていると「ICU勤務だから緩和は関係ない。」とか「外科病棟だから緩和はできない」とか言う嘆きをききます。手術という強い痛みの体験で、おそらく、その人にとって2つ目の癌でない限り初めてのがんの強い痛みの体験である場合が多く、この手術の体験のときに「痛みは我慢せずにしっかり薬を使って緩和できるんだよ」「強い痛みだからモルヒネは使うけど1週間もすれば痛みも落ち着いてくるからモルヒネはやめることができるんだよ」という体験がきちんとできた患者さんは、その後再発などがあっても鎮痛剤の受け入れがいいように思えるのですが・・・ここで、心無い医療者に「手術したんだから痛いのは当たり前、あとは死ぬ前に使うような薬しかないから我慢しなさい!」なんて言われた日には、再発したときにモルヒネを使うといわれただけで大パニック!となります。術後痛の緩和も本当に大切だと日々実感しています。
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本当ですね。 (aruga)
2006-06-08 00:01:24
終末期に特化しない疼痛管理。大切ですね!!!
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