プレガバリンとガバペンチンの比較について
過去の記事なのですが、
今なお、沢山のアクセスがあり、
再掲いたしました。
神経障害性疼痛に用いる薬剤の一群を
鎮痛補助薬といいます。
末梢神経障害に保険適応があるのがプレガバリンです。
それ以外の多くの鎮痛補助薬は
保険適応がありません。
余談ですが。
鎮痛補助薬としてプレガバリン以外で
比較的最近よく使われているものに
デュロキセチンが挙げられます。
このデュロキセチン、
2015年、繊維筋痛症に保険適応拡大があり、
2016年、慢性腰痛症に伴う疼痛で保険適応拡大がありました。
末梢神経障害ではなく、
腰痛症というところが
病態評価をしっかりしないと
効果がでないものにも
投与してしまったりしそうです。
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2010年12月12日
鎮痛補助薬として、
ガバペンチン(ガバペン)がよいのか
プレガバリン(リリカ)がよいのか。
そんな質問が増えていました。
保険適応上はプレガバリンなのですが、
薬理学的にどちらがすぐれているのか・・
14日の勉強会の資料を少しレビューしてみます。
結果から述べると
プレガバリンです。
理由は、2つあります。
1)プレガバリンは血中薬物濃度が線形動態を示すから
ガバペンチンは、非線形性動態です。
もっと分かりやすく言うと
2倍量内服して頂いた時、血中濃度が倍になるのがプレガバリン。
2倍投与したにも関わらず、血中濃度の上昇が倍にはならないのがガバペンチン。
特に、量が多くなればなるほど、
ガバペンチンは頭打ちになっていきます。
ガバペンチンは、2倍の投与をしても2倍の効力が得られるわけではなくなるのです。
このことから、ガバペンチンでは効果予測がつかなくなるわけです。
2つ目の理由は
2)プレガバリンの方がバイオアベイラビリティ(生体利用率)が
投与量によらず安定しているから
経口投与した薬剤は、消化管で吸収され、
門脈経由でまず肝臓に運ばれます。
ここで、一旦代謝を受けるのですが、
その時、どの位代謝を受けないで
全身循環に乗ることができるかという割合を
生体利用率といいます。
プレガバリンでは通常投与量の範囲では、90%以上です。
それに対し、ガバペンチンでは
200mg 70.1%
400mg 42.1%
600mg 46.4%
800mg 41.2%
1000mg 32.0%
1200mg 30.5%
(ガバペンチン インタビューフォームより)
と、頭打ちになっていくのだそうです。
製薬企業の方に質問したところ、
ガバペンチンの吸収は、
アミノ酸トランスポーターによって吸収されるため、
ある程度量が増えると飽和状態となってしまい
頭打ちとなり、利用率が低下すると考えられているとのことでした。
でも、プレガバリンも同じだったと思うのですが、
なぜ、プレガバリンは頭打ちにならないのか・・
企業の方もそこは不明とのことでした。
あたらめて、これを知って、
今までの臨床上で疑問に思っていたことについて
そういうことだったのか・・と
納得することができました。
(いまごろ、遅いよ・・と反省・・)
増やす割には、効かないよ~
じゃあ、もう400位で止めよう・・
副作用ばかり表に出ても・・
といった具合に、
増量は結局あまり行わない傾向にありました。
最大800程度と他の施設に比較すると
私はいつも抑えていました。
800程度で吸収は飽和状態になるようです・・
理にかなっていました。
新しい薬剤が出たら、
インタビューフォームなどは、
臨床疑問を感じるたびに
繰り返し見直さなければ気がつかないものだなあ・・と
感じています。
あるレビューで、
神経障害性疼痛では、
プレガバリンはガバペンチンの
鎮痛効力比は1:6である
といったものを読んだことがありました。
ずっと、これには?????でした。
当たり前ですよね。
投与量が増えると頭打ちになるガバペンチンと
きちんと線形に増えていくプレガバリンでは、
どの投与量かによって、一律には
1:6といった比率は成りたたないことがわかります。
これも、今回の勉強会のために、
改めて勉強しなおさせて頂いたお陰だったなあと思います。
プレガバリンのほうが立ち上がりがよくて効果の安定もいい、でも早期の悪心とふらつきはやや強い、という印象があります。
あくまで「印象」でしたが、薬物動態的に説明できそう。
先生がブログに書いてくださったおかげで勉強できました。
ありがとうございました。
きちんと原典に戻って勉強しなくてはだめですね。
悪心、ふらつきですか・・
あまり多くない印象ですけれども・・
75mg 1X 眠前から開始することが多いです。
開始した翌日に、なんだかむかむかします、と言われることが何度か続いているのです。
食事はできる程度で、数日でおさまっています。
ちょっと気になったこと……薬剤師さんが処方開始時に薬の説明をしに行ってくれるのですが、リリカ内服前には「悪心が出ます(出ることがあります)」という説明を必ずしてるので、ひょっとしてその影響もあるのでしょうか?
ふらつきというか、ちょっとふわっとした感じがする、というのは今のところ2名だけです。
が・・ん・・誘導的なところはないとはいえないようにも思います。
副作用を説明するとき、患者さんにいっしょに注意していただくこと、頻度が高いこと、早期対応が必要なものに重心をおくようにしています。
ご指摘の通りだと思います。
でも、どうして同じ機序で吸収される(らしい)プレガバリンとこのような差が生じるのか、いまだに答えに行きついていません。
sugaさんに、論文と臨床をバインドさせつつ、説明がつきそうって言って頂くことができ、嬉しかったです。