2019年4月からのがん診療連携拠点病院の見直しに向けて、
7月31日に厚労省から発出された指針
がん診療連携拠点病院の整備に関する指針
地域がん診療連携拠点病院は、
今後、上中下ならぬ
3段階に機能分化します。
〇高度型 :特に優れている
〇名称なし:今まで認定されてきたもの
〇特例型 :必須要件が満たされていないもの
高度型は
指針P.17 に条件が記載されておりますが、
都道府県の要件になっている
緩和ケアセンターに準じたものを
設置していることを求められています。
この緩和ケアセンター
今まで、地域がん診療連携拠点病院は関係なかったので、
あまり、読み込んでいなかったのですが、
なかなかの要件が並びます。
都道府県拠点病院に、
がん専門看護師も認定看護師も
不在の病院があるというのに
(総務省報告;http://www.soumu.go.jp/main_content/000542469.pdf)
緩和ケアセンターのジェネラルマネージャーを除く
看護師は、2名以上の専門的な知識をもった
(つまり、CNSか認定看護師)
ものの配置が要件となっていたり、
地域連携リストを作成し、
在宅療養支援診療所などと
概ね月1回のカンファレンスの開催と
その連携先の患者について
緊急緩和ケア病床の対応を求められています
これ、緊急対応しても
診療報酬には何にも反映されないわけで、
在宅医療と急性期病院の緩和ケアの両方を知っている医療者にとって、
少々驚きです。
地域で集まって月1回のカンファレンスって、
働き方改革が叫ばれている中で、
診療終わってからどこかに集まるということは
無理難題・・
ここはIT使って、可能な方法を探索するしかない・・
まあ、ここは、さておき。
緊急緩和ケア病床・・・
ところで、在宅医療は、本当に手厚い診療報酬体系になっています。
例えば、
在宅で患者を一人、看取ると
10000点、つまり、10万円が
在宅診療所に支払われます。
(在宅ターミナル加算)
何か特殊な医療を実施するのではなく、
看取れば、10万円・・
死亡までの14日以内の診療と
24時間以内の診療が条件ですが、
2週間に1回以上の診療を実施していますので、
14日以内の診療は満たされます。
24時間以内に診療し、
24時間以内に在宅外でも
これは支払われることになります。
つまり、最期の一日はER搬送しても、
在宅側には10万円が支払われます。
もう、15年以上前にできた要件だったと思います。
その当時、この条件の策定に関わった方から、
走る馬の目の前に人参をぶら下げてみた・・
というような言葉を聞いたことを思い出します。
でも、それくらい、当時は大胆な発想だったのでしょう。
こんなに手厚いのに、
急性期病院に救急車で突然搬送されてきても、
病院側には通常診療の範囲で、
在宅の様な手厚い加算はありません。
今回の緊急緩和ケア病床の文言や条件を読んだ時、
診療報酬で守られている在宅医療と
拠点病院の要件の強化という
バランスが悪い状態に気づきました。
医療は、今後の社会の変化に対応しきれず、
さらにバランスを失っていくかもしれません。
そこではなく、これからは
介護施設の強化と在宅医療の形を変えた介入
なのだろうと思います。
20年前にすでにアメリカでは
それが始まっていました。
生活の場と医療の場の折衷的な
医療依存度が高い市民が
生活をしながら医療的に守られる様式を
社会の変化に置いて行かれないように
どのように作っていくか・・
既存の医療を強化したり配分するのではなく、
新たな仕組みに目を向け、
変えて行くことをしなければ、
国民も医療も疲弊してしまうだろうと感じます。
とはいえ、ネガティブに考えていてもしょうがありませんので、
政策に取りこぼされない様にしつつ、
でも、社会の役に立てるように
知恵を絞り出していきたいと思います。
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