緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

富山大学の学生さんと最近想うこと

2011年03月21日 | つれづれ

昨年の秋から、ご依頼を頂いていた富山へ
飛行機が飛ぶ限りは行きますと返事をしていました。

偶々通りがかった富山駅前・・
南口と北口に
富山大学医学部と書かれた看板の前で、
寒い中、
人通りが途絶えても尚
大きな、張りのある声で

「富山大学の学生です。
 東北の被災地への義援金を日本赤十字社に送ります。
 ご協力お願いします。」

お昼も食べずに頑張っていました。

地域の医療者が大切に育てているのだなあと
本当に、暖かな気持ちになりました。

寄付しました。通るたびに・・





幾つかのメーリングリストに入っているのですが、
その中で、気になったものとして・・

ケアの人手が足りないようです。

機関病院は、救急対応のためにあります。

ですから、急性期を過ぎれば、避難所に帰っていきます。
要は、療養病棟や介護施設のような所が必要にも関わらず、
それがないために、
昼夜を通してケアを要する方がいらっしゃり、
ボランティアの看護師さんが夜勤をしながら
支えている避難所もでてきたようです。

固い床と寒さによって褥瘡ができ、
マットを必要としていたりと聞くと、
私の少ない知識の範囲では覆えない
災害支援とは相当異なった様相です。
必要なものには掃除機なども挙がっていました。



日々の報道や決めたれた広告CMばかりを耳にして
心が辛くなる方も増えてきています。
はやる心に答えられない自分を責める方もいます。

支援とは、抑えることも、控えることも必要なことがあります。
日々の自分の生活をしっかりとさせていくことが
大変なことにも揺らがない社会形成の一歩です。

必要とされた時に、
力を発揮できるよう
毎日を大事に生活していきたいと思います。




最近、ふと思うことがあります。

内戦などで、100万人の避難民が国境にテントを張って・・
といった海外メディアの報道。

私には、恥ずかしながら、ピンと来ていませんでした。
その人数も、避難するということも・・
今回の震災で、心がつぶされそうになった時、
生活の場を失うということは
どういうことなのか、
初めて、理解の一歩を踏んだような気がしました。


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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
富山で研修受けました (親子(娘2人)でナース)
2011-03-21 21:27:58
先日富山で研修を受けました。
本当に先生のお話しを富山で聞くことができてよかったです。
ナースである娘に資料をみせたらこれだけでとても勉強になるとコピーしていきました。
本当にありがとうございました。
返信する
私も…でした。 (PANDAの妻)
2011-03-22 00:58:53
昨日(3/21)の日経朝刊の裏表紙、作家の辺見庸さんが、故郷の石巻市の町が津波に飲み込まれた瞬間をテレビで観た時のお気持ち、町が無くなり、お友達やいろいろなお知り合いと連絡がとれない…今のお気持ちをご自身で、作家さんの豊富なボキャブラリーの下に切々と書いていらっしゃるのを読みました。

あぁ…、こういうことなんだ。
と、私の中に、被災された方々の、語ってはいらっしゃらないお気持ちが入ってきたような感覚を感じました。

一介の主婦は、具体的には何もして差し上げることができませんが、募金と、都内の計画停電を受け留め、自宅での節電・節ガス・節水に気をつけ、そして、普通に生活をすることで、経済活性化の一助(本当に微々たるものですが)になるなら…と、毎日を過ごしています。
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親子(娘2人)でナースさん (aruga)
2011-03-22 23:04:09
土曜日は足をお運びくださり、本当にありがとうございました。
早速このようにコメント入れてくださり、伺わせて頂いた甲斐がありました。
娘さんにも勉強になると言って頂けてこれまた嬉しい便りでした。
お目にかかることができたのも、魚谷先生の熱いメールのお陰かな?!
返信する
PANDAの妻さん (aruga)
2011-03-22 23:09:54
このような難しい局面を思いもかけない言葉の流れで表現して頂けると、”腑に落ちる”ことがあります。
そうすると、また、一歩、その気持ちに近づくことができて、できることが見えてきたりしますね。
忘れがちな“普通の生活”を営み続けることの大切さ、これも大切な支援ですね。
返信する
お体を大切に・・ (aruga)
2011-03-22 23:16:17
サジタリウスさん、本当に、よかったですね!

ガケさんも、ありがとうございました。



まだ、大切な人に会えてない方、連絡が取れない方、沢山の方がいらっしゃることと思います。
いつか、何らかの形で、メッセージが届きますように。空洞の心を抱えながらの時かもしれません。ご自身をどうぞ、お大切になさってください。いつか届くメッセージのために。
返信する
ケアの手 (えび)
2011-03-24 19:54:20
親しくさせていただいている、
在籍している大学の先生が
予備自衛官に登録すべきだったかも、と
つぶやいていました

今現地に飛んでいけずにもどかしく
思われていたようです
でも一方で こちらで今診ている人もいるので、まずこちらを今まで通りしっかりと、
ともおっしゃっていました

ケアは本当に長期間にわたり、
様々な人にとって必要になるでしょう
医師や看護師など資格がある方々は
そのネットワークで応援の呼びかけが
まだまだ続くでしょうし、
現地に赴いた仲間をフォロー(ケア)するというお役目も出てくるでしょう

医療の道に進もうとしているが知識も経験もない
20代の人ほど体力に自信もない
「自前」で現地に入れるような準備もない
そんな自分で今できることは…?

まずは自分の生活を通常モードでやれるように…
「毎日の生活を大事に」
本当に、それが大切ですね
返信する
被災者の方の処方箋 (明日の薬剤師)
2011-03-25 22:12:03
いつも拝見させて頂いております。
院外薬局に勤務する者です。
先日、被災されて親戚の方のお宅に身を寄せておられる方が、近隣の開業医の院外処方箋を持ってこられました。
内容はMTパッチ、オキノーム散、デカドロン、カロナールなど。一時負担金猶予の連絡がFAXで届いた直後だったこともあり、こちらもバタバタしつつ、無事薬をお渡ししました。
前医の治療が行き届いていたのでしょう。調子はまずまずのようでした。しかし災害で自宅を追われ、また新たな医師と信頼関係を構築しなければいけないであろう患者さんのストレスは計り知れないものがあります。
今回ほど、何か患者さんの役に立つことはできないかと感じたことはありません。在宅医療や緩和ケアに参加する足がかりが欲しいです。
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えびさん (aruga)
2011-03-26 20:18:12
お書きくださったこと、本当にその通りだと思います。

多くの方が、その方々なりの悩みをを持ちながら、何らかの道を見つけながら歩み続けています。何ができたかではなく、どう歩んだかーつまり、結果ではなく、プロセスが大切であり、想いを馳せ、悩み、心を砕きながら、共にいること・・なのだと思います。
心を馳せながら、揺らがない社会構築を今、その役割として、自分の生活を整えていくことを続けていくこと、重要な役割だと思います。
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明日の薬剤師さん (aruga)
2011-03-26 20:33:20
コメントありがとうございます。

オピオイドを扱われている院外薬局にご勤務されていらっしゃるのですね。
被災された方が来院されたとき、支払いの件も整備されていて、薬剤も必要とされたものを手渡されて、どんなに患者さんは安心されたことでしょう。

新たな医師との関係構築もあるかもしれませんが、新たな薬局さんが見つかって、ここにくれば、お薬があるんだ・・と患者さんの心は軽くなったのではないでしょうか。

重荷を共に背負うという意味でも、薬剤指導という意味でも、明日の薬剤師さんは緩和ケアの役割を果たし始めていらっしゃいます。足がかりを探すよりも先に、意識されていなかったかも知れませんが、もう取り組まれていらっしゃるのです。
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