緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

推し活 枕草子は明るくて幸せな気持ちにしてくれる!

2024年05月26日 | つれづれ
初めて読んだのは、中学校の頃だったでしょうか。

春はあけぼの

で始まる枕草子・・

 


春は、あけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこし明かりて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。
 ・
夏は、夜。
 ・
 ・
秋は、夕暮。
 ・
 ・
冬は、つとめて(早朝)。
 ・
 ・

リズムよく、
好きなところを短く並べ
とにかく、幸せな気分にしてくれる・・


これを読んで、
 体言止めって何てかっこいいの!

 「をかし」って、
 可笑しいじゃなくて、
 いいってこと(自慢)

 「いとをかし!」って何度、

 気取ってみたことか・・

とにかく、明るい気持ちにしてくれました。




清少納言は、ちょっとした悪いことでも、とてもお茶目に、明るく、本音を痛快に書いています。

例えば、

人の上言ふを腹立つ人こそいとわりなけれ。

のところ・・


人の上言ふを腹立つ人こそ、いとわりなけれ。いかでか言はではあらむ。我が身をば差し置きて、さばかりもどかしく言はまほしきものやはある。されど、けしからぬやうにもあり、また、おのづから聞きつけて、恨みもぞする、あいなし。また、思ひ放つまじきあたりは、いとほしなど思ひ解けば、念じて言はぬをや。さだになくは、うちいで、笑ひもしつべし。 

他人の噂話をしているのを聞いて、(いい子ぶって)そんなことをしてはダメだと腹を立てる人がいるけど、そんなのわけがわからない。 
噂話なんてしないではいられないし、こんなにうずうずして言いたいことなんて他にはないわ。とはいえ、人の噂はよくないし、聞きつけて恨まれたりしたら、それは困る。親しい人の噂話は、申し訳ないから我慢して言わないようにしてるけど、仲良しじゃなければ、口に出して泣くほど笑っちゃうわ。
(私の現代版風の意訳です・・)


何て言うか、枕草子って、SNS的なんですよね。
絶対、これ、いいねが一杯つくと思う。




大河ドラマでこの前後の史実を見ていて、宮中の激動の権力争いの渦中となった中宮定子を応援しつづけた清少納言の随筆だったことを改めて感じています。
辛かったこと、悲しい出来事は日記や随想の章段でも読み取れず、楽しかったこと、華やかだった時の日々があふれています。

まさに、推し活・・

支援する
とか
応援する
といったことの基本なのかもしれません。


ところで・・
 冬は、つとめて。
に続いて
 をかし
を連ねて、いいよね、それも素敵、風情があるわ~って
持ち上げて・・
持ち上げて・・


 何と!

最後は

 わろし
 ダメじゃん
で終わっていて、ええ!!!!ってずっこけたことも・・


持ち上げて・・
落とす・・
清少納言の
技だわ~・・と、感心。

 


冬はつとめて。
(中略)
さらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭もてわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶(ひおけ)の火も、白き灰がちになりて、わろし。

寒い早朝に、火を急いで起こして火桶を抱えて、パタパタしているのが冬っぽくて、好き。でも、昼になって、だんだん暖かになってきて、ほったらかしちゃって火桶の火が白い灰になるとそれは冬らしさがなくなっちゃって、ダメだわ。


MelanieによるPixabayからの画像

コメント (10)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 抗がん剤の悪心が出やすいの... | トップ | 生きてきたバトンを家族に渡... »
最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
エドヒガンさん (aruga)
2024-05-27 23:31:03
清少納言を読んで、ご自身を振り返る・・
何とみやびなエドヒガンさんなのでしょう。

いつも、優しいコメント、ありがとうござます!!!
返信する
chorus-kazeアッコさん (aruga)
2024-05-27 23:27:15
暗唱されたのですね!
この響きは揚げてくれますよね!!
SNS調にいくと、バズリそうです。

稚児・・読んでいて、わかる~って感じです。

何だかとっても元気になれました!
返信する
Unknown (エドヒガン)
2024-05-27 06:29:26
いつもありがとうございます。

今日の記事を読ませていただき、猛省する朝です。
どんなこともクスッと笑ってもらえるような形にしてブログを書く、を心がけていたのを思い出しました。
先生のお茶目な部分も読み取れて、なんだかほっこりさせていただきました。
枕草子、春はあけぼの…位しか覚えていませんが、
今のSNSも、皆さんが清少納言さんみたいな思いで発信されるものばかりだといいですね。
返信する
Unknown (chorus-kazeアッコ)
2024-05-27 00:17:33
私は音楽専科だったので、高校では現代国語しか
勉強していませんが、中学の時に教科書にあった
「春は曙ようよう白くなりゆく山ぎわ、、、」
暗唱しました。
aruga先生の、柔らかくてゆるい現代語訳に
思わずふふふと笑いが漏れました。

「うつくしきもの 瓜にかきたる稚児の顔、、、」も
枕草子のことは殆ど知識の無い私ですが
2、3歳の幼児を見るとこの一節が頭に浮かびます(笑)
返信する
りぼんさん (e3693)
2024-05-26 21:53:33
卒論、平安時代のことを取り上げたのですね!
素敵ですね!!
youtube面白そうですね、情報、ありがとうございました!!
コメント、感謝です。

aruga
返信する
haruharunoさん (e3693)
2024-05-26 21:48:19
訪問下さり、ありがとうございます!

aruga
返信する
こんばんは。 (りぼん)
2024-05-26 21:39:38
大河ドラマ、私もはまっています。
平安時代の女房装束が、大学の卒論テーマでした。

大河ドラマのあと、「かしまし歴史ちゃんねる」という、YouTubeをブロガーさんに教えて頂き、色々笑いながら、歴史の話を夫と聞いて楽しんでいます。
返信する
しましまさん (e3693)
2024-05-26 21:30:22
>現代までバズり続ける・・

まさに、その感覚ですね!!!
平安も、今も、人の基本的なことは変わらないものというのも、嬉しくなります!!!

aruga
返信する
Unknown (haruharuno)
2024-05-26 21:04:27
こんばんは。初めて。
リアクションありがとうございます。

趣があって風情がある、ね。
懐かしい~(^-^)
返信する
Unknown (しましま)
2024-05-26 20:31:50
言われてみると確かにSNS感覚というのがよく分かります。
現代までバズり続けてるなんて、やはり枕草子は人の心を掴む文章と言えるし、人の心は変わらないのかもしれません。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

つれづれ」カテゴリの最新記事