緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

セイコさんのその後

2009年11月30日 | 医療

セイコさんは、在宅で過ごされました。

病状に応じて、
在宅医を導入し、
体制強化していきました。

そして、ご自宅で最期まで過ごされました。


外来で、一度娘さんにお目にかかりました。
娘さんにお目にかかりたいという私の希望をご理解くださいました。

病状を説明させて頂きたいとお話したとき
セイコさんは、とても、不安そうな表情をされました。

多分、病状について、医学用語が娘さんに投げかけられると思われたのでしょう。
無理もありません。

でも、私の目的はちょっと違っていました。





お母さん、どんな風に娘さんの目には映りますか?



・・・ちょっと疲れてそう。中々食事作ったりするのも・・



お母さんね。
外来にも歩いていらっしゃることできるけど
休み休みなのよ。
だから、横になって休む時間も大切でね、
横になっていても、あらっサボってるって思わないでね!
で、時々、
お料理一緒に作ってあげてね。



・・・はい。 そうしてみます。



これは、その日、
娘さんにお目にかかる前。

セイコさんがお嫁に行く前に、
母の味を教えてやれないことが
無念ですとおっしゃっていたことを意識しての言葉でした。





娘さん、どうなさっているかなあって
思い出します。

ご主人も・・
本当に素晴らしいご家族でした。


母の役割を最期まで果たせるように
娘さんに言葉をかけ、
在宅で居られるように調整していきましたが、

ご家族の凝集力が
医療者の力を高く超えて
生き生きと時を刻んで行かれたように思います。

家族のオートノミーってこういうことなのだと
教えられたセイコさんご一家でした。

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2 コメント

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お久しぶりです (レンコン)
2009-12-06 12:42:31
コメントはしていませんでしたが、ブログは続けて拝見させていただいていました。
一人の患者さんに対して、ここまで、深く思いを寄せることができるって、本当に素晴らしいことですよね。
私は自分の受け持ち患者さんや、今問題を抱えている患者さんに対して、チームでかかわったりしていますが、先生は色々とお忙しい中でもきちんと患者さんに向き合えている。本当に尊敬します。これからも、自分が日々の業務の中で忘れてしまいそうになる大事な事を教えていただきたいと思います。
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こんにちは! (aruga)
2009-12-07 23:04:49
レンコンさん、いつも、お立ち寄りありがとうございます。そして、コメントありがとう!

レンコンさんの日々の業務の中で、立ち止まることを意識されていること、素晴らしいなあと思います。
自分との対話、振り返り、見直し。沢山のことに気づくことができる第一歩ですね。
これからも、どうぞ、よろしくお願いいたします。
返信する

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