多発性骨髄腫は悪性疾患ですが、その腫瘍細胞がアンモニアを産生することがあります。
時に、高アンモニア血症を認めます。
で、その高アンモニア血症に
ラクツロースを投与し
大量のガスが大腸にたまったそうな。
その嘔気・嘔吐に対しコンサルトがありました。
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通常アンモニアは腸管内で発生し
それを門脈を通って肝臓に運び
代謝し、アンモニア値が上がらないように
コントロールされています。
多くの高アンモニア血症は
門脈閉塞や肝機能低下によって
引き起こされる病態です。
ラクツロースって、腸内乳酸菌によって
乳酸・酢酸に分解され
腸管内pHを酸性にかたむけ
腸管内のアンモニア産生菌の増殖を抑制します。
つまり、門脈閉塞や肝機能低下による
高アンモニア血症はその産生の場が腸管内なので
ラクツロースは効果があるわけです。
骨髄の中の腫瘍細胞が産生しているアンモニアは
ラクツロースを飲んでも下がりません。
それどころか、腸内細菌叢のバランスを急に変化させますから
ガスで膨満させてしまったわけです。
初めてこちらのブログを拝見し、目からウロコの
ことばかりです。
夫48歳は肺癌Ⅳ期、癌拠点病院にて化学療法を
受けていましたが今月に入りドロップアウトされ、
あきらめきれずに
低用量の化学療法を行ってくれる別の
クリニックに通い始めました。
その他、自宅近所のクリニックにも漢方等の処方の
ため通っています。
痛み止めの処方については
癌拠点病院にて、今年1月よりオキシコンチン5mg
(朝晩)から始め、現在は20mg(朝晩)と徐々に
増やしながら調整してきました。
ただ、他の2箇所のクリニックからも、<食欲が
ないの?ならパッチ2.5mgがいいんじゃない?>
<咳がありますね~、リン酸コデインを出します>
などと、次々と処方されるのでそのつどそれらを
試し、猛烈な眠気、便秘、吐気に悩まされ、不信に
思い、調べて調整する日々です。
昨日は上記のリン酸コデインを飲み始めたところ
今日になり夫が日中ほとんど寝てしまう状態だった
ため、心配になり、調べているうちにこちらの
ブログにヒットしたのです。
他にも、過去ログに書かれていました、
朝と晩の配分を調整して昼間の活動を
妨げないようにするとか・・・
癌拠点病院の主治医には<朝夕同じ量を飲むように>
と言われていましたので、日中はこんなに必要ない
のにと思いながらも、口に出せずに飲むしかあり
ませんでした。
本当に知識がなく、夫に辛い思いをさせてしまい
ました。
今後は、癌拠点病院から紹介された、近所の
在宅ケア対応可能なクリニックに通うことになると
思いますが、その先生が緩和ケアに関し、
どこまで対応して下さるのか、正直不安です。
そのクリニックは介護老人ホームグループ運営の
クリニックらしく、夫のように急性期でかつ末期
がんの処置等に長けているのかどうか・・・
やはり遠方でも緩和ケア科・病棟のある病院に
通ったほうがいいのでしょうか。
近所にはそのような病院はありません。
夫は化学療法や痛み止めの副作用で食欲もなく
衰弱してはいますが、やはりまだ低用量の抗がん
剤治療に希望を託しています。
できる限り通院での延命治療を続けていきたい
のです。
長くなってすみません。
もしお考え等聞かせていただければ幸いです。
そうなると、ラクツロース投与(内服、浣腸)や食事、輸液など補助的なことを尽くし少しでもアンモニア値をあげない努力をするのは適切ですし、実際に意識障害の改善を認めることがあります。
この症例の場合問題なのは、ラクツロースの投与ではなく排便コントロールを適切に行っていないことです(オピオイド投与中でしょうか?)。タイトルは改めていただいた方がよいと思います。
また、この場合の鑑別として重要なのは担癌患者で問題になるnecrotizing enterocolitisやpseudomembranous enterocolitisにより麻痺性イレウスを起こしていないかです。割と見逃されます。
排便コントロール?・・書いていませんが・・?
主治医はどなたになるのでしょう。
がん診療拠点病院の医師、低用量化学療法クリニックの医師、漢方の医師・・・
在宅医の紹介があるとしても、緊急時の入院を引き受けてくれる医療機関との連携が必要です。
現在、低用量とはいえ化学療法を行ってくださっている医師がご主人の全身管理をする立場にあると思いますが、あまりそういう印象を受けないのが気になります。
本来の主治医である化学療法の医師に今後について相談するべきなのですが、もし、主治医として機能してくださっていないのなら、がん診療拠点病院の中の相談窓口に行き、現状の中で必要な医療が何なのか、それを受けるにあたって最適な医療機関はどこなのか十分相談なさるとよいと思います。具体的なことがわからないと、的外れなことを書いてしまってはいけませんので、この範囲でお許しください。
ずいぶん掲載から時間がたっているので、もう良いのかもしれませんが、ひとつ気になったので。
多発性骨髄腫、としてください。
病名は非常に重要な単語です。
私は若輩ではありますが血液内科を行っている一医師として、色んな先生の意見を参考に患者さんの全身管理をする、緩和医療をするのが仕事であると認識しています。
細かいことは、どうでも良いですが、参考になったので感謝の気持ちを最後に。
ありがとうございます。