最近、依頼原稿を書くために、
治療医と緩和ケアチームとの
あり方に関する論文を
何本か読んでいました。
なるほど~~
そうだろうなあ・・
と思ったこと・・・
がん治療と緩和ケアの
統合的(融合的)なアプローチについて
1948年から2013年までの
65年間の論文の64%が
2010年以降の3年間に集中していた・・
(Ovid MEDLINEとOvid EMBaseを使用)
Temelの論文がNEJに掲載されたのが、
2010年・・・
相当のインパクトだったんだなあと思います。
対象101論文のレビュー
介入内容やあり方は、
学際的なチームによるケア72件
併診スタイル(コンサルテーション)71件
症状スクリーニングとしての介入25件
緩和ケアガイドライン策定33件
ケア手順書11件
キャンサーボードへの参加10件
(David Hui, et al:The Oncologist. 20: 77-83, 2015)
チーム機能がコンサルテーションだけではなく
役割が増えてきています。
これは、海外だけのことではなく、
日本でも昨年から、
がん拠点病院の要件に
たくさんのタスクが降ってきています。
マニュアル、ガイドライン、手順書、
キャンサーボードへの参加・・
同じような任務が論文の中に記載されていて
違う国の間でも、同じようなことが起こっているのは面白いなあと思いました。
スクリーニングは
全入院患者さんに入院時に看護師さんが
スクリーニングシートで聴き取りをしてくれているものと
緩和ケアチームが病棟に出向き、
ヒアリングでスクリーニングをするという
2つのことが行われています。
前者については、
直接患者さんの症状緩和は寄与していません。
ただ、病棟看護師の症状に対する感度が
相当変わってきている印象があります。
私たちの病棟ヒアリングは、
一回の回診で4病棟~8病棟程度を回る中で
緩和ケアチームへの依頼がないケースに対し、
私が直接主治医に連絡をするようなケースがあります。
欧州臨床腫瘍学会や
欧州緩和ケア学会などの合同調査からは、
がんセンター指定病院と
非指定病院や市中病院の
緩和ケアチームの間では充実度が異なり、
格差を生じていることの指摘がありました。
その原因としては、
卒前、卒後の医師教育の不足
市民啓発やがん治療の中の緩和ケアを整備するための
経済投資不足があることが指摘されています。
(Mellar P. Davis, et al: Support Care Cancer, 23(9): 2677-2685, 2015)
これも、日本で起こっていることです。
拠点病院の緩和ケアチームには、
沢山のタスクが課せられました。
非拠点病院との格差が生じています。
拠点病院には、補助金が与えられますので、
まさに、上記のことと言えます。
緩和ケアチームの格差・・・
今までは、都市部と地方の認定看護師などの
専門職の数による差が言われていましたが、
拠点と非拠点の間の差になっていきそうです。
これを機能分化とするのか、
格差とみるのか、
国全体で緩和ケアチームをどのように誘導していくか・・
そのような問題となっているように思います。