昨日、今日とリンパ浮腫研修に行っていました。
昨日は、9時から19時近くまで、
今日は、9時から16時すぎまで、
すべて座学で、劇場型の狭い椅子に
ずっと動かずいましたから、
エコノミー症候群になりそうでした。
幸い何事もなく、終わりまで参加できました。
12月にこれを1回、今回が2回目。
全4日間の受講で修了証を貰えます。
そもそも、参加理由は、
厚生労働省委託事業のようでしたので、
次の診療報酬に反映されるのではないかと
期待したことにありました。
どうも、それはないようでした・・・
ただ、外来患者さんの相当数、
リンパ浮腫の患者さんがいらっしゃるので、
一度、改めて系統的に勉強したいと思っていました。
今までやってきたことは
今も正しい方法であることが確認でき、
よかったなと思っています。
その中のトピックス。
私の外来では、術後数年経ってからの患者さんが多いので、
経験がなかったのですが、
タキソテール投与中の患者さんの浮腫は
早期対策が大変重要なので、
その場面に遭遇したら、臨床に即、生かせそうです。
ドセタキセル(タキサン系抗がん剤 タキソテールなど)の浮腫。
投与後、早い時期にまず全身性浮腫を認め、
それは改善を認めていきます。
反応としては、fluid retention
つまり毛細血管からの漏出による水分貯留と考えられており、
全身性浮腫のみのはずなのですが、
しばらくして、改善をしていくときに、
患側に浮腫を残して、
左右差を認めるようになります。
乳がん術後なら患側上肢、
婦人科癌や前立腺がんでは下肢が多いようですが、
患側以外に残ってしまうこともあるようです。
これが、急速に悪化し、
「強皮症様症状」を
呈するようになります。
この過程において、
蜂窩織炎とは異なる発赤を認めることがあります。
関節拘縮に至ることがあります。
これらの早期に、皮膚が引き延ばされるような、
ピリピリとした疼痛を感じることがあります。
治療は、発症早期(全身性浮腫を認めたら)からの
用手的リンパドレナージと圧迫療法ですが、
圧迫が強いと、むしろ拘縮を促進させてしまうことがあるようで、
弾性ストッキングやスリーブではなく、
バンテージの方が良い場合が多いようです。
この拘縮の特徴ですが、
上肢の場合、手を握ると、MP関節
(指のつけ根の体側の、グーをすると山になる関節)
が特に、拘縮し、曲がらなくなってしまうそうです。
特に、第4、5指。
グーパー運動をすることを促し、
拘縮傾向になったら、
他動運動(自分で動かすのではなく、
他の人に手を開いたり、閉じたりする様動かしてもらう)
ことを続けていきます。
重症化すると改善が難しくなります。
抗がん剤使用中からケアを行っていくことが
鍵になります。
脱毛から発毛に転じるころ、
軽快を見始めるようですので、
ここまでは、しっかりと、
ケアを続けていきます。
なぜ、このような激しい症状を呈するのかは
わかっていないようです。
細胞の微小管を狙う薬剤なので、
構造的な問題を起こす可能性は
無いとはいえないような気もします。
幾つか症例報告が出ていますが、
いずれも、抗核抗体などは陰性のようです。
全身性浮腫の軽症段階では、
発症率50%とも言われているようですが、
見落とし例もあると思われ、
潜在的にはもっと多いのかもしれません。
ドセタキセルを投与されている方は少なくありません。
患者さんにも、化学療法室の看護師さんにも、
是非、知っておいてほしい知識です。
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コメント、ありがとうございました。励みになります!
まさしくこの症状に悩まされています。
全身の浮腫が引き、そこで初めて足首の関節が拘縮している事に気付きました。
強皮症様症状や発赤、皮下組織の繊維化もみられます。
痛みや疲労感で歩けず、3ヶ月ほど車椅子を使っていました。
神経痛で眠れないときもあるので、毎日リリカ、カロナール、トラマールを服用しています。
私の病院では「安静に」という指示だけだったので初めのうちは圧迫療法はしていませんでした。
5月から自主的に整形外科へリハビリに通っい、圧迫療法も始めました。
治療法がわからなかったため、後手後手に回ってしまいましたが、やはりバンテージでの圧迫療法がいちばん効果的だと思いました。
こちらを拝見するまで、何軒もの病院にも行きましたが、打つ手なしと言われかなりしんどい思いをしました。
抗がん剤を投与する全てのお医者様に知っておいてもらいたい事例ですね。
大変参考になりました。
どうもありがとうございました!
そして、効果も実感されているとのこと、ほっとしました。
抗がん剤を扱う医療者にとって、必須の知識だと思います。患者さんのお立場でそのことに警鐘をならしてくださったこと、心から感謝です。
次々に新しい抗がん剤や分子標的薬が登場してきます。そのこと自体は、よいことなのですが、長期投与や治験ではわからなかった副作用にも、しっかりとアンテナを張りながら、知識を整理していかなければ・・と、強く感じています。
治療がこれからも、よりよく進んでいきますように。
コメント、ありがとうございました。
治療が上手く進んでいきますように、思いを馳せています。
ただ、患者さん個々のご質問についてのご返答は、個別的な背景やお体の状態がわからず答えてしまうことで逆の効果となってしまう場合もあり、差し控えてきました。
どうぞ、ご理解頂けますとありがたいです。
いつか、一般的な話として記事にできる時があれば・・と思います。