注意！！がん光免疫療法

10月21日～23日までパシフィコ横浜で

日本癌治療学会学術集会が開催され、

現地で参加していました。

その前の週の外来で患者さんから

光免疫療法を受けているという話を聞きました。

頭頚部がんに対し、

イルミノックスを用いた光免疫療法は

NIHの小林久隆先生の研究を、楽天メディカルが開発し、

今年8月に厚生労働省の条件付き承認（保険が適応）されたこと、

実施施設は9月で40施設に限定されていること、

他の癌種に対する臨床試験（食道がんは終了、現在、胃癌）や
チェックポイント阻害剤との併用療法の臨床試験の

準備がされていることは既知のことです。

https://oncolo.jp/news/210830f01

https://answers.ten-navi.com/pharmanews/21703/

その患者さんは腹腔内の消化器癌の患者さんで

保険適応の頭頚部がんでもなく、

臨床試験対象の胃癌でもありませんでした。

　頭頚部がんではないけれど、

　光免疫療法？

　はい、もう600万は使いました。

　自由診療のクリニックで受けているのですか？

　

先週開催された日本癌治療学会に、

光免疫療法の開発者の

NIHの小林久隆先生も帰国され、

楽天メディカルの三木谷さんの次に
登壇されていました。

第59回学術集会の林隆一会長は、

頭頚部がんの臨床試験を

中心的に実施されてきた医師でした。

小林先生と話をする機会もあり、

関係する医師の方にも話を聞き

状況がわかってきました。

そもそも光免疫療法という名称は、

商標登録された名称ではなく、

一般的名称であり、

ここに包括された経緯があったため

誰でも用いることが出来ること。

オバマ演説にも出てきた光免疫療法は

基礎研究や臨床的な効果が実証された

イルミノックスを用いた治療法を指しているのですが、

日本国内の自由診療クリニックでは、

他の手段を用いてレーザーを当てる治療の総称として

光免疫療法と銘打って治療を実施していること。

イルミノックス、治療薬はアキャルックス

（一般名・セツキシマブ サロタロカンナトリウム）

を用いたものとは異なる治療にも関わらず、

オバマ演説やNIHの小林先生の名前を引用し、

その後に続いてそのクリニックの治療を説明していることで、

詳しい人でなければ
同様の治療効果が期待できるような印象を与えてしまうこと。

国立がん研究センター東病院から

患者さん向けに

注意勧告をする文章が出されていました。

https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/topics/2021/0209/NCCHE_illuminoxQA_20210209.pdf

◆がん光免疫療法について 国立がん研究センター東病院で実施している「がん光免疫療法（イルミノックス治療）」は、保険診療として認められている「切 除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」に対して、楽天メディカル社が開発した薬剤アキャルックス®点滴静注とレーザ 光照射を行う治療です。国内で、米国国立がん研究所（NCI）の小林久隆主任研究員の研究成果をもとに協力開発され、 現在、日本の厚生労働省で認可されたがん光免疫療法は、本治療のみです。

注︓インターネットやメディアなどで取り上げられている“がん光免疫療法”は、上記以外の治療に対しても使われている場合 があります。当院で行っている「がん光免疫治療（イルミノックス治療）」と同じであることをご確認のうえ、各医療機関の受 診をご希望の場合は、主治医にご相談ください。

一度、「光免疫療法」で検索してみてください。

多数の医療機関の名称が出てきます。

〇〇クリニックという名称には注意し

現在、治療が受けられる医療施設は、
日本頭頸部外科学会認定の指定研究施設で、
常勤の頭頸部がん指導医、
医師要件を満たす常勤医師、
常勤の麻酔医がいるとなどの
要件を満たしている施設 に
限定されていることを知っておいてください。

https://oncolo.jp/news/210830f01