今日、何気につけていたTVから
art of loving と書かれ、
それを、”愛の技術”と訳されていて、
出演者が
「え~、愛が技術と言われるとねえ・・
心だよねえ」
と言っていることが
耳に入りました。
医学を art and sience と
表現することがあります。
"And I said of Medicine,that is an art, which considers the constitution of the patient, and has principles of action and reasons in each case."
(メディシンについていえば——これはアートである。これは患者の体質を考慮し、取り扱ういろいろの処置の原理が研究されていて、その一つ一つのケースについて理論的な理由付けができているアートなのである)
"The Practice of medicine is an art, not a trade; a calling, not a business; a calling in which your heart will be exercised equally with your head."
(医療とは,ただの手仕事ではなくアートである。商売ではなく天職である。すなわち,頭と心を等しく働かさなければならない天職である)
ウィリアム・オスラー(1849-1919)名言
緩和ケアに関わるようになって、
特に、この言葉はよく耳にするようになりました。
私も、そして私の回りの人々も
緩和ケアの根底にあるものは、
sience 科学を越えた art なんだ・・
緩和ケアは情感豊かな芸術的な要素があるもの・・
と、感じていました。
そして、artは、術でもあり、
医術とartがつながっている
というような理解でした。
偶然であったこのページ。
なるほど・・
私の芸術として捉えていたのは
結構、的外れだった・・と
人間がつくり出したものすべてがアートである。実際、英英辞典を見ると、「art」はたいてい「human effort to imitate, supplement, alter, or counteract the work of nature.」のように説明されている。芸術や美術はアートであることは間違いないが、本来のアートはもっと広い意味を持った言葉なのだ。
これは、アートの反対語は何か?と考えると、より理解できる。アートの反対語は「nature、ネイチャー」(自然)である。自然は、人の手が加えられていないものだからだ。欧米の学問体系は、大きく2つに分かれている。
ここまでのことですでにおわかりと思うが、ひとつがアートで、もうひとつがサイエンスだ。
アートとは「人間がつくったもの」だから、これを学び、研究するのがアートの勉強であり、大学や大学院でのアートの学位となる。科目でいうと、文学、歴史、哲学、美術、建築、音楽などだ。これらの学科は、一般的に「humanities」(ヒューマニティーズ)と言われている。
そしてもうひとつのサイエンスは「神がつくったもの」、つまり、この世の中にある人間以外がつくったものすべてを学び、研究することだ。したがって、日本語の「科学」「理科」という訳語は意味が狭すぎると言っていい。むしろ、広く「学問」ととらえたほうがわかりやすいだろう。
東洋経済on line 日本人の的外れな「リベラルアーツ論」
(https://toyokeizai.net/articles/-/13697?page=7)
技術;
古代ギリシャで用いられていた語・概念「古希: τεχνη テクネー」が、ラテン語の「ars アルス」という語に訳され、フランス語「art アール」、英語「art アート」、ドイツ語「Kunst クンスト」に引き継がれ、それらの言葉・概念が翻訳され、翻訳語としても用いられている概念で、さらに、現代英語の「art」が「技術」と訳されていることもあれば、「technique」という言葉が「技術」と訳されていることもあり、さらに、technologyという言葉も「技術」と訳されることもあるので、その意味でも多様に用いられている。
技術 - Wikipedia
art
不可算名詞:芸術、美術、技術、技巧、術、熟練、腕、人工、わざとらしさ、作為、ずるさ、狡猾
可算名詞 :(専門の)技術、技芸、医術、術策
”smile without art” は、すなおな微笑
”by art” は、狡猾に
(Weblio 英和辞典)
事実、日野原重明先生は、アートを技術と訳されていました。
"The Practice of medicine is an art, not a trade; a calling, not a business; a calling in which your heart will be exercised equally with your head."
(医療とは,ただの手仕事ではなくアート(技術)である。商売ではなく天職である。すなわち,頭と心を等しく働かさなければならない天職である)
この一連のものを見た時に、
アートは技術なのか・・と
驚きを禁じ得ませんでした。
「技術」と訳すと、
TVがまさにそうであったように
日本語の持つ技術のイメージ
(心が入っていないスキル重視)
にとらわれてしまいますが、
そうではなく、
”人が生み出したものである”ことに
視点を移すことが大切なのだと理解しました。
つまり、
アートは、
ヒューマニティに裏打ちされた
人が作り上げた領域を指し、
自然界にあるものを明らかにしていく
ネイチャーやサイエンスに
アート-人の力ーが加わって
形成されたものが医療。
だからこそ、
医療は、人間力を磨かなければ
成り立たないわけです。
他のことを行いながら
つけっぱなしにしていた
TVから流れてきた言葉、
art of loving・・
そして、
え~、愛を技術っていってしまうの~
違うよ~
という言葉に、つぶやきました・・
日本語のartはね、
意味がちょっと違うよ
愛する技術ではなくて、
”愛するすべ” と
訳せばよいのではないかな・・
私のつぶやきでした・・