希望について、検索してみました。
「希望」という語は,日本語では,・「こいねがうこと.あることが実現することを待ち望むこと.また,その気持ち.のぞみ.願望」,・「将来への明るい見通し.のぞみ.可能性.見込み」(日本語大辞典)と定義されている.
また,英語の「ホウプ」(hope) は,・「望ましい何かに対する願望 desire で,達成されるであろうという期待 expectation を伴ったもの,あるいはそれが達成されるという信念 belief」,・「上記の願望ないし信念の対象」,・「ある未来のできごとにおいての確信 confidence」(Webster)と定義されている.多少の表現上の相違はあるが,両者に共通しているのは,「将来ないし未来において,望ましい何かが実現ないし達成せられることについての確信(または,願望および信念)であって,期待を伴ったもの」ということではないかと解釈される.
http://www.komazawa-u.ac.jp/~katsu/hope.html
ここでいう希望とは、hopeなんですね。
でも、私が思い描く希望とは、wishも含まれるのですが・・
スナイダー(Snyder, C.R.,1991) ─ スナイダーの希望尺度(成人用)
これによると
・発動性因子 agency (目標に関する決意)
・通路因子 pathways(障害を乗り越えて目標を達成する手段を見い出せる能力についての認知的評価)
つまり、目標にどう決意しているかと
目標達成 をするための方法を見つけられる能力が
希望の尺度だということになります。
いや~、希望って、決意と方法をみつけられる力なんでしょうか。
つまり、やはり、それを叶えられる強さを尺度にしているってことですよね。
本当に、英語圏ってすごいなあと思います。
この尺度のみならず、日常から希望を語るとき、叶う希望と叶わない希望をhopeとwishで明確に分けて表現するのですから。
I wish I were a bird.
鳥ならいいのになあ。
私が鳥になるなんてあり得ない。
だから、仮定法過去で今を表現するのです。
現在、鳥なりたいと思っていると言いたい時も、過去形で表現。
これって、絶対ありえないことだけどさ~って、ここまで強く伝えるのですね。
前回の記事の希望の定義。
叶わないかもしれない望み、絶対叶うことがない望み、やっぱりそれも私にとっては希望なんです。
また、希望というと将来に対する望みと思いがちですが、今の心地よさだけでも希望を感じるときがあります。
月曜日、「今日はとても、心地いいのよ。(今一番大切にしたいことってなんですか?)それは、美味しく食べることよ。本当においしいの。大事でしょ。食べること」
トイレにやっと立てるくらいの状態でしたが、
遠くを見つめる患者さんには、透明感がありました。
この2日後、お亡くなりになりました。
いつか食べられなくなることはよくお分かりになっていらっしゃいました。
だから、美味しいと感じられることが喜びであり、次の時もそう感じられるといいなあと微笑みながらおっしゃった顔が忘れられません。
前記事にコメントを寄せてくださった方の希望は、
言葉をかえると、心のよりどころであり、目標という言葉で表現されていました。
本当に、希望は、それぞれの方の感覚であり、尺度であり、何が希望なのかとは明確化はできないものなのだと思いました。
ただ、共通していることは、どのような背景があっても希望は見つけることができること、それは生きていくうえでとても大切なことなのだということでした。
最新の画像[もっと見る]
- 医療者は知っていて欲しい上腸間膜動脈症候群 4日前
- めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな 2週間前
- つらさのマウント:応酬が始まったら・・ 2週間前
- 半夏瀉心湯のこと:明日の外来に活かせそう! 4週間前
- 頑張っているのに誰も褒めてくれない・・と呟いた患者さんへ 1ヶ月前
- タバコが止められない患者さんのこと 1ヶ月前
- 残暑だけど、感染症はどうなってる?:コロナ、手足口病、溶連菌、インフル・・多彩です 2ヶ月前
- 入院料の条件に盛り込まれた「人生の最終段階における適切な意思決定支援の推進」 2ヶ月前
- 入院料の条件に盛り込まれた「人生の最終段階における適切な意思決定支援の推進」 2ヶ月前
- 入院料の条件に盛り込まれた「人生の最終段階における適切な意思決定支援の推進」 2ヶ月前
ご指摘の希望は小さなものの積み重ねと、大きな夢や願いからなる・・のだと思っています。
コメントを寄せてくださった方々は、皆さんささやかな目標ももちろんお持ちだと思います。が、コメント欄は小さいので、代表的な大きな目標や夢をお書きくださったのだと思います。また、Twycross先生や緩和ケア病棟で患者さんを支援するときの、ちょっとした前進と、読者の方々の人生のうねりやエネルギーの大きさは異なるものかもしれません。
改めて、英文を読み、やはり、hopeであり、achiieveing goalであることを認識しました。wishやdreamをも希望として持ちたいという感覚とは少し違うのかもしれないと感じた次第です。
先生、どうなのでしょうか。叶えられないことも夢も希望の一つとして捉えるのは、日本人ならではなのでしょうか。それとも、私個人の嗜好でしょうか・・
病人が抱く希望には小さいものから、大きいものまであり、自らの病気の経験のない(若い)医療関係者は、大きな希望のほうに目を奪われ、小さい希望を見落としがちですので、「実現しやすい希望(小さなことが多い)を先ず実現するようにしたあげましょう」との方針を大切にしていますが、大きい希望を無視しているわけではありません。小さな希望も叶えられないことがありますが、患者さん本人は、周囲の人々が叶えられるよう務めてくれていると感じると救われた気持ちを持つようです。
英語のnative speakerではない私なので、英単語の微妙な意味合いまで分かりませんが、Twycross先生は言葉を慎重に使う人で、「一語一語を愛しながら使うね」と本人に言ったら、「分かってくれるか」と喜ばれたこともありましたが、私は彼がそういうならhopeとはachieving goalがzeroではない期待することと思ってしまいましたが、おっしゃるとおり、wishやdreamとは意味合いが異なりますね。ともかくわれわれは患者さんの小さいhopeまで尊重すべきです。
英語のdreamと日本語の夢は、眠っている最中に見る「夢」という点では同義語ですが、意味するところの幅は英語のほうが狭いかもしれないと感じたことがあります。むずかしいですね。
dream・・これも、そういわれてみれば思い当たることが・・先生の真意をとらえた訳、好きです。
stusatoさんのコメントを読ませていただき、確かにそうだったのかもしれないと思い起こしました。
atusatoさんすごいです。認定看護師さんとしての本気の活動を感じます。