OSCE オスキーって読みますが
これなんだかご存知でしょうか。
欧州安全保障協力機構 (OSCE; The Organization for Security and Co-operation in Europe)
または
医歯薬学教育における客観的臨床能力試験 (OSCE; Objective Structured Clinical Examination)
私達が関係しているのは、後者です。
医学部学生が診療参加型実習(クリニカルクラークシップともいいます)を開始するまでに
一定の臨床能力に到達しているかどうかをみる試験です。
これは、素晴らしい訓練を受けた模擬患者さん(SPさん)達の協力があってなりたちます。
ある主訴をもって医療機関に受診した患者さんの面接(問診)から始まり、
身体所見をとり、画像や検査所見を読み
診断を導き出すなどテーマごとにステーションが設けられ、
学生は一つ一つそのステーションを回っていき、
評価を受けます。
しっかりとしたシナリオがあり、
評価シートには客観的な項目が列挙されています。
幾つかのステーションの中でも、
医療面接の試験官を担当することが多いのですが、
日頃の自分自身の面接のあり方を省みる貴重な機会でもあり、
作成されているシナリオや評価シートなど
勉強をさせて頂く機会でもあります。
学会ホームページにも公開していますが、
日本緩和医療学会専門医の試験にも、
これに近似させた方法をとりいれるようになりました。
専門医というと、医師に箔をつけるような意味で受け取られてきました。
議員バッチなどに近いように。
でも、そうではないと思うのです。
専門医とは、医師のためのものではなく
「国民からみて信頼される医師」であるべきだと思います。
緩和医療において、コミュニケーションが取れることはとても重要です。
(他にも、臨床能力、コンサルテーション能力や若手育成能力など、もちろん幾つものポイントはありますが。)
このOSCEに関わる度に
今の学生は医学教育の進歩によって
より体系的な教育を受けられるようになって、
なんて、幸せなんだろう・・と思います。
自分で学ぶために、東奔西走してきたことを思うと
それによって、生涯学び続ける姿勢を持つことができたことが
また、財産になったのかもしれません。
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「OSCE」懐かしいなあと思いました。今では、歯学部、薬学部でも行われています。
もうだいぶ前になりますが、歯学部に勤めていた頃、「OSCE」導入前のプレモデル(予行練習)を、導入開始年度の1年前と2年前に行ったことがあり、その時にかかわらせていただきました。と言うより、事務職員も含めて、職員全員が参加して行われていました。SPは事務の人で、患者さん役には、子供役の人、その付き添いの母親役の人等、シチュエーションが、いろんなケースがあり、おもしろいなと思ったことがありました。歯学部は、問診等の面接以外に、歯科用診療台での診療があり、マネキン人形を使って、人形に話かけながら、診療の一部を行うというのもありました。診療なので、学生が行い易いように、先生達が器具を準備したり、全体が開始されると、最後の生徒が終了するまで、エンドレスで時間を止めることが出来ないので、無駄なようでも、職員を二重三重に配置し、大学の一大イベントでした。大学によって内容はさまざまのようですが、どこの大学も、SPの養成が難しいらしく、私の母校では、大学がある地元の住民の方に手伝っていただいたり、とにかく準備だけは大変です。(いろいろ書きたいことはありますが、あとは省略します)
「OSCE」が開始されることによって、歯学部で一番変わったことは、生徒も職員も、「服装」です。茶髪・・ダメ、Tシャツ・・ダメ、Yシャツ・・必須、強いては革靴を履いてこい・・など、いろいろ決まりがあります。
私は、歯学部退職後、医学部の大学院生になりましたが、医学部に来てびっくりしました。先生達が、Tシャツとサンダルで、まるで海の家にでも行くような格好をして通勤し、「よりよい病院を目指すために」と題して配られた紙には、「患者さんには挨拶をしましょう」「清潔な白衣を着ましょう」などなど、内容が、あまりにも幼稚すぎてびっくりしました。「OSCE」も、一部の委員の先生しか関係しないので、どんなことをやっているのかも知らない先生がほとんどで、これまた驚きました。
職員からきちんとした方がいいのではないか・・・と思わなくもないのですが、「大学」という「教育機関」として、「OSCE」という科目がある以上、学生だけでなく、教員も含めた職員も、態度や対応を考えるべきではないかと思います。(生意気ですみません)
京都大学でも、受験でカンニングをしたり、国会議員も、学級崩壊みたいな会をやるだけ、日本全体の感覚が鈍ってきているのかも知れませんが、「人を丸ごと包み込むような医療人の育成を目指しています!」この言葉は、「人としての温かさ」ではなく、「教員としての責任と、先輩医療人の使命感の強さ」を感じます。
大学に勤務していた時は、研究に必要なことは、何年も通信教育で勉強しました。資格もいっぱい取りましたが、医学部に来たら、それら一切のことは全く認められず、大学院を出ても、未だに職にも就けません。でも、学問的な勉強は、通信教育や、自分なりに調べたりで、知識は増やすことは出来ますが、人としての勉強は、人との関わりがなければ学習していけないのだなあと思いました。私の今の先生は、一緒に仕事をするようになって5か月ですが、お金で買えないものを教えて頂きました。こんな感覚は近年無かったので、嬉しかったです。しかも、奥さまもご家庭もステキなんですよ!
あらっ・・・こんな「じ・か・ん・・・」 もっと書きたいことはありますが・・今日はコレにて。
でも、今の学生さん達が、周りからの「至れり尽くせり」が当たり前になるのは、正直に、恐いと思います。
自らの考えで、臨床の視野を広げようということも考えてもらいたい…と思うのは、山のように勉強しなくてはならない未来のお医者様には、過酷でしょうか?
患者も、これからは自分の病気について、勉強する時代だと考えるので、いろいろな角度から、プロとしてアドバイスしてくださる先生とスクラムを組んで、病気に立ち向かいたい、と思ったりします。
OSCE導入期のご苦労が偲ばれます。
服装などについては、当たり前のことになっていて、内容が問われます。試験官間でもあまり差は生じないまさしく客観的な試験にまで成長しました。歴史的な流れをお伝えくださり、本当にありがとうございました。
PANDAの妻さん
まさに、ご指摘の通りです。
自ら学び、自ら行動すること。
一方で、このことのリスクはできる人とできない人の間で大きな差が生じてしまうことです。医療の均てん化などという言葉もあるように、できるだけ、国民はどこでも、誰でもある一定の医療水準の医療を受けることができることが求められます。そのための医学教育の模索だったと思います。
ただ、それを越えて、さらに自ら学び続けてほしいと学生達には求め続けたいと思っています。
『緩和ケア55』も読ませていただき勉強中です。
私は医師ではありませんが、しっかり支えられるスタッフが大切であること(医師が頑張ってもスタッフがダメなら困難)を経験上痛感しており、一丸となれる体勢づくりを目指して努力しています。
一般病棟で、難しいことばかりですが、ブログ、励みになります。
これからも頑張ってください。
コメントありがとうございます。
日本全国で、緩和ケアの普及に努力されている方の声を伺うと、本当に励まされます。
>しっかり支えられるスタッフが大切・・
本当にそう思います。
厚みのあるケアを作り出すには、ご指摘の通りと思います。
慈しみのあるケアを目指していきましょう!