2023年10月21日、本日、真新しいゆめ通信を手にしました。
ゆめ通信は、清瀬市議会議員、ひとり会派「共に生きる」のふせ由女が年4回発行してきたもので、通算37号になります。
ふせ由女は3期目の議員として頑張っています。応援よろしくお願いします。




◆大杉栄殺害者は誰か
憲兵隊幹部の集団暴行、陸軍の組織的犯罪は不問のまま
沈思実行(163)
鎌田 慧
8月の敗戦記念日のあと、9月は100年前の関東大震災。その悲劇
の裏での、朝鮮人と社会主義者の大虐殺。
「緊急事態」、あるいは「非常事態」の名の下で、秩序回復を口実に
して、軍隊と警察がいかに兇暴な集団になるか、の歴史的な教訓といえ
る。9月4日は「亀戸事件」。習志野の騎兵隊が、亀戸警察署に拘留さ
れていた社会主義者10人を刺殺した。
9月16日。「憲兵大尉甘粕正彦、大杉栄(39歳)、伊藤野枝らを憲兵隊
内でひそかに扼(やく)殺」(近代日本総合年表、岩波書店)。これがほぼ
オーソライズされた記述である。が、これでは甘粕大尉の個人的な犯罪
との印象が強い。
新宿淀橋の大杉宅付近、川崎からの震災見舞いの帰り、道を歩いて
いた大杉と伊藤野枝,甥の橘宗一を皇居前の憲兵隊本部へ連行したのは
甘粕だ。しかし、裸にされた遺体は菰(こも)包みにされて荒縄で縛ら
れ、構内の古井戸の水の中に隠された。
軍人としては虚弱な甘粕ひとりで伊藤野枝、6歳の甥の3人を扼殺、
井戸に投げ込むなどの荒技ができるわけがない。
1976年8月、53年ぶりに発見された解剖医の「死因鑑定書」では、
大杉と野枝の肋骨などが無数に骨折していた。
集団で寄ってたかって殴る蹴るの暴行が加えられた。3人ともに首や
腕などを鈍体で絞圧、窒息させられた。死因は物体による扼殺。憲兵隊
幹部たちの集団暴行だった。
それでも、軍法会議では甘粕正彦懲役10年、森慶治郎憲兵曹長懲役3
年。連行時の同行者2人は無罪。そればかりか、甘粕は2年半、森は1
年半で釈放。甘粕は陸軍の資金でフランスへ遊学した。
「満州」で、陰謀の辣腕を振うのは、その後からである。
大杉は憲兵隊本部の将校の部屋で殺害された。が、甘粕以上の階級の
将校は誰も登場していない。
甘粕が罪を引き受け、満州映画理事長に収まり、敗戦の報せを受けて
自害した。陸軍の犯罪はいまだ証明されていない。この組織犯罪が不問
のまま、また緊急事態条項がつくられ、恐怖政治が用意されている。
(2023年9月20日「週刊新社会」第1323号より転載)
ゆめ通信は、清瀬市議会議員、ひとり会派「共に生きる」のふせ由女が年4回発行してきたもので、通算37号になります。
ふせ由女は3期目の議員として頑張っています。応援よろしくお願いします。




◆大杉栄殺害者は誰か
憲兵隊幹部の集団暴行、陸軍の組織的犯罪は不問のまま
沈思実行(163)
鎌田 慧
8月の敗戦記念日のあと、9月は100年前の関東大震災。その悲劇
の裏での、朝鮮人と社会主義者の大虐殺。
「緊急事態」、あるいは「非常事態」の名の下で、秩序回復を口実に
して、軍隊と警察がいかに兇暴な集団になるか、の歴史的な教訓といえ
る。9月4日は「亀戸事件」。習志野の騎兵隊が、亀戸警察署に拘留さ
れていた社会主義者10人を刺殺した。
9月16日。「憲兵大尉甘粕正彦、大杉栄(39歳)、伊藤野枝らを憲兵隊
内でひそかに扼(やく)殺」(近代日本総合年表、岩波書店)。これがほぼ
オーソライズされた記述である。が、これでは甘粕大尉の個人的な犯罪
との印象が強い。
新宿淀橋の大杉宅付近、川崎からの震災見舞いの帰り、道を歩いて
いた大杉と伊藤野枝,甥の橘宗一を皇居前の憲兵隊本部へ連行したのは
甘粕だ。しかし、裸にされた遺体は菰(こも)包みにされて荒縄で縛ら
れ、構内の古井戸の水の中に隠された。
軍人としては虚弱な甘粕ひとりで伊藤野枝、6歳の甥の3人を扼殺、
井戸に投げ込むなどの荒技ができるわけがない。
1976年8月、53年ぶりに発見された解剖医の「死因鑑定書」では、
大杉と野枝の肋骨などが無数に骨折していた。
集団で寄ってたかって殴る蹴るの暴行が加えられた。3人ともに首や
腕などを鈍体で絞圧、窒息させられた。死因は物体による扼殺。憲兵隊
幹部たちの集団暴行だった。
それでも、軍法会議では甘粕正彦懲役10年、森慶治郎憲兵曹長懲役3
年。連行時の同行者2人は無罪。そればかりか、甘粕は2年半、森は1
年半で釈放。甘粕は陸軍の資金でフランスへ遊学した。
「満州」で、陰謀の辣腕を振うのは、その後からである。
大杉は憲兵隊本部の将校の部屋で殺害された。が、甘粕以上の階級の
将校は誰も登場していない。
甘粕が罪を引き受け、満州映画理事長に収まり、敗戦の報せを受けて
自害した。陸軍の犯罪はいまだ証明されていない。この組織犯罪が不問
のまま、また緊急事態条項がつくられ、恐怖政治が用意されている。
(2023年9月20日「週刊新社会」第1323号より転載)