後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔755〕4館閉鎖の清瀬市立図書館問題の続報です。住民投票目指した署名は、定足数の約7倍に達し提出されました。

2024年12月29日 | 市民運動

 あろう事か、来年4月から清瀬市立図書館が6館のうち4館廃止されることは以前のブログでお伝えしたとおりです。しかも残りの1館(南部図書館)はしばらくの間、建て替えで使用できません。つまり来年4月からは駅前図書館だけしか使用できません。ふせ由女市議はこの事態を評して、古代中国の焚書坑儒やナチスドイツの焚書事件になぞらえました。はじめはなんと大げさな言い回しと思っていたのですが、あながちこれは間違えた表現ではないと今は思っています。
  このことに多くの市民が怒り心頭に発しました。そして住民投票で意見を聞いてほしいと、署名活動を全市で展開しました。11月の約1ヶ月間でした。署名を集める受任者はなんと360人、8218筆もの署名が集まりました。これは定足数の約7倍になります。
 私どもチーム福田もこれに取り組み77筆集めることができました。ほぼ戸別訪問中心でしたが、とても好意的な方が多かったです。居住地の近くでは9割ほどの方が書いてくれました。
  来年1月に市長にこれを提出します(1月15日)。市長はこれを議会に諮り、可決されれば住民投票が実施されます。

 これらの清瀬市民の取り組みを毎日新聞が取り上げてくれました。
 私たちの運動はまだまだ続きます。


◆菊池事件と差別    
 冤罪のまま死刑執行された何人もの人→立ち上がった「菊池事件」の遺族
                                    鎌田 慧    沈思実行(222)

 袴田事件の無罪判決の後、冤罪への関心が高まっている。冤罪は松川
事件のような政治的なフレームアップ(でっち上げ)以外は、たった1人
が被害を受けているので、社会的な関心は低く、司法制度の犠牲者とし
て闇に葬られてきた。
 袴田巌さんは逮捕から58年経って、無実が認められた。狭山事件の石川
一雄さんは61年が過ぎても、まだ殺人犯の汚名を雪いでいない。
 冤罪のまま死刑執行されたなん人かのうち、59年が経ってようやく遺族
が再審請求したのが、「菊池事件」である。被害者がハンセン病患者だっ
たので、差別の真っ只中にいて社会的に立ち上がれなかった。差別の重層
性が幾重にも絡みついている。
 熊本のハンセン病施設「菊池恵楓園」に収容されるのに抵抗していた
Fさんは、収容を勧奨していた役場職員宅に、ダイナマイトが投げつけ
られた事件の犯人にされ、否認しながらも10年の刑を受けた。しかし、
園内の代用拘置所だったので脱走できた。
 その脱走中に、同人物の役場職員が全身二十数カ所に刺傷を受けて死亡
する事件が発生する。それもFさんの犯行とされ、警察はFさんを捜索、
発見、逃亡する背後からピストルを発射して倒した。飛びかからなかった
のは、ハンセン病を恐れてのことだった。
 恵楓園内の「特別法廷」は消毒液の臭いが立ち込め、出張してきた検事
や裁判官は、白い予防服、ゴム手袋、ゴム長靴の扮装、証拠物件は火箸
で摘んでの裁判だった。菊池事件再審弁護団発行のパンフレット『菊池
事件』(百円)に、ある教誨師の言葉がある。「どうか許してほしい、
1人の人間として扱わなかったことを…私たちはボロ雑巾の様に彼を
扱ったのです」
 裁判は非公開だった。憲法に保障された公開原則の「裁判を受ける
権利」は奪われたままだった。
 銃撃された痛みのまま取り調べが行われ、供述書の署名も警察官が
行った。証拠も親戚の供述も捏造だった。再審請求中に、福岡刑務所に
移送され、すぐに処刑された。今、遺族がようやく、前面に出て最新を
訴えるようになった。
     (12月18日(水) 週刊新社会第1383号より)

◆NHK経営委の放送法違反
  安倍首相(当時)の任命責任も厳しく間い直されるべき

                               前川喜平(現代教育行政研究会代表)

 かんぽ生命保険が18万件以上の不正契約を行った事件。いち早く報じ
たのは2018年4月のNHK「クローズアップ現代+」だった。その続編
のためSNSで情報提供を求めると、日本郵政から圧力がかかった。
続編は延期され、その間に被害者は増え続けた。
 NHK会長への圧力だけでは足りないと見た日本郵政は、鈴木康雄上
級副社長(当時)とNHK経営委員会の森下俊三委員長代行(当時。の
ち委員長)の人脈を通じ、経営委員会に抗議の書面を送る。
 応じた経営委員会は10月、上田良一会長(当時)に異例の厳重注意を
行った。これはガバナンスに名を借りた番組編集への干渉であり、放送
法違反の行為だった。

 この厳重注意に関する議事録の全面開示などを求めて、市民グループ
がNHKと森下氏を提訴したのは2021年6月。その控訴審が17日、原告
の実質完全勝訴と言える和解で終結した。
 NHKは厳重注意に関する議事録をホームページで公表。森下氏は98
万円の解決金を払うことになった。
 議事録を読めば、森下氏や石原進委員長(当時)が日本郵政の側に
立って番組の内容や取材方法への批判を繰り返していたことが分かる。
 現場を守る防波堤たるべき経営委員会が、逆に現場に圧力をかけたこ
とは糾弾に値する。
 安倍晋三首相(当時)の任命責任も厳しく間い直されるべきだ。
              (12月22日「東京新聞」朝刊17面「本音のコラム」より)


〔754〕新発見! クラウス・スリューテルの彫刻が『世界彫刻美術全集』(小学館1975年)になんと8頁も写真掲載されていました。

2024年12月21日 | 美術鑑賞

  こんなことがあるのですね。普段訪れることのない近隣の東村山中央図書館で開架式の図書を見ているときに思わぬ発見があったのです。クラウス・スリューテルの彫刻が『世界彫刻美術全集』(小学館1975年)に8頁も写真掲載されていました。私にとってはまさに新発見! でした。

 私が、ロマネスクやゴシック彫刻で今一番関心を持っているのはクラウス・スリューテルです。フランドル出身の彫刻家で、フランスのディジョンで活躍しました。緑の『祈りの彫刻』シリーズでたびたび紹介してきたゲルハールト・フォン・ライデンは後期ゴシックの名だたる彫刻家ですが、彼が手本にしたのがスリューテルだと言われています。
  昨年夏、見損なったスリューテルの彫刻を見にディジョンに来夏訪れる予定です。
  「モーゼの井戸」が代表的な作品です。以前『世界美術大全集』(小学館、1995年)で写真2頁を見つけたのですが、今回さらにその前に出版されている写真集を発見しました。それが『世界彫刻美術全集』(第7巻、ゴシック、小学館、1975年)です。 縦42㎝、横30㎝の大型本です。なんと「モーゼの井戸」が8頁にわたって掲載されているのです。
  まだまだ「新発掘」があるものですね。

ついでに『ロマネスク』も借りて2冊をガン見しています。 


〔753〕ふせ由女の「ゆめ通信」最新号(41号、2024年冬号)が届きました。

2024年12月14日 | メール・便り・ミニコミ

 清瀬市議・ふせ由女の事務所に届いたばかりの「ゆめ通信」、どうぞご覧ください。ふせ由女を支援する鎌田慧さんのコラムもどうぞ!

◆世代を結ぶ平和の像
                              鎌田 慧(ルポライター)

 前回、沖縄・読谷村の鍾乳洞「チビチリガマ」での集団死について書
いた。
 米軍侵攻中の悲劇だ。
 が、7年前に起こった、少年たちの破壊行為について、スペースの関
係で書けなかった。戦争中の悲惨がよく伝わっていなかった、もう一つ
の悲劇だった。
 上陸してきた米兵に恐怖して、村の鍾乳洞に避難した住民が恐怖に駆
られ、子どもや家族を自分の手で殺害した。捕虜になるより自決せよ、
というのが日本軍の強制だった。85人の住民が犠牲になった。その現場
は保存されてきていた。

 ところが7年前の9月、洞窟内で、つぼに入っていた遺骨が撒き散ら
され、飾られた折り鶴が引きちぎられる、乱暴狼藉の跡が発見された。
捜査の結果、16歳から19歳の少年たちが「肝試し」をした事件だった。
 さすがに読谷村の少年たちではなかったのが救いだった。
 ガマの入り口にある「世代を結ぶ平和の像」を制作した、彫刻家の金
城実さんが保護観察処分となった4人の少年を預かった。彼には大阪の
高校で教員生活の経験があった。
 読谷村の歴史を教え、反省文を書かせ、石仏(野仏)を集団制作する
ことにした。
 冬の寒い時期に、ガマの前にテントを張って泊まり込み、ほぼ1週間
で12体の石仏を完成させた。それをガマ周辺に安置し「石仏がまた歴史
を結んでいる」と金城さんは言う。
             (11月26日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)

◆死刑残置残酷国家
                                        鎌田 慧(ルポライター)

 最高裁で死刑が確定した袴田巌さんの無実が再審で証明され、死刑制
度への疑間が強まっている。
 与野党の国会議員を含む「日本の死刑制度について考える懇話会」は、
11月中旬、政府に対して「現状のまま存続させてはならない」と死刑制
度を根本的に検討するための、会議の設置を提言した。
 国連総会は1989年に死刑廃止条約を採択。欧州を含む112カ国、米国の
ほぼ半分の州、韓国、ロシアなど中止国もまた多い。

 しかし、日本は世界の常識に逆らう絞首刑残置国。それでもかつては、
死刑囚同士、同じ階で行き来が自由で、歌を歌うなどのレクリエーション
もあった。が、いまは24時間監視、当日の朝、いきなり刑場へ引き立て、
遺書を書く時間さえ奪われる確定死刑囚が、100人以上いる。

 11月下旬、国連人権理事会に任命された「拷間」「恣意的処刑」など
6テーマの「特別報告者」が連名で、日本政府に対して、日本の死刑制
度は国際法に違反する疑いがある、として執行停止の検討を求める通報
を行った(「朝日新聞」12月7日)。
 国の「非人道性」が批判されたのだが、政府は「制度の是非は自国で
考えるべき問題だ」と回答したという。
 「余計なお世話だ」という反論のようだが、私には「敵は殺せ」「悪
い奴は抹殺せよ」との仇(あだ)討ち、戦争の思想は認められない。
       (12月10日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)


〔752〕「腰越9条ニュース220号ができましたので、お送りします。」(塚越敏雄さんから)

2024年12月10日 | メール・便り・ミニコミ

●いつもお世話になります。腰越9条ニュース220号ができましたので、お送りします。          塚越敏雄

 

◆原発推進への変節
  首相が政治力維持のため危険覚悟の原発を進める

                    鎌田 慧(ルポライター)

 「国民全体の福祉をのみ念じて国政の方向を定め、論議を尽くしてい
くように努めたい」とは言論人であり、戦後、首相になった石橋湛山内
閣の施政方針演説の一節。それを石破茂首相が先月末、所信表明演説の
結語に引用した。
 少数与党の首相だからなのか、「他党にも丁寧に意見を聞」く、それ
が 「基本方針」という。石橋湛山、大平正芳、宮沢喜一以来の「保守リ
ベラル」を標榜(ひょうぼう)し、日米地位協定の改定を主張していたが、
所信表明では一切触れず「我が国の防衛力の抜本的強化を着実に進め
る」と言うだけだ。

 一言も触れなかったのは、総裁選前に「依存度をゼロに近づける」と
歯切れのよかった自らの原発政策。
 一切語らなかったこともあってか、国民民主党の玉木雄一郎代表、異
例にも先月末、首相官邸に赴き、次期エネルギー基本計画に「原発の新
増設」を入れるように要請した。
 自民党自体が「可能な限り低減させる」としていた原発政策。2022年
に岸田政権が「安全性が確認された原発の最大限活用」に大転換した。

 原発消極論者の石破氏に、玉木氏が閣外協力を条件に「原発の新増
設」を持ちかけたようだ。
 野党の国民民主党代表が、電機産業の労組が推す原発新増設を首相に
進言し、首相が政治力維持のために、危険覚悟の原発を進める。
 退廃というべきか。
       (12月3日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)