後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔158〕「耳で聴くアウシュヴィッツ強制収容所・見学ツアー?荻上チキ渾身の取材報告」にしびれました。

2017年10月26日 | テレビ・ラジオ・新聞
  体調管理を兼ねて、週に1,2回、地域の市民体育館や中学校でのバドミントン練習に参加しています。帰宅は午後10時を回ることも多いのですが、車で必ずラジオをかけるのがTBS「荻上チキ・Session-22」です。荻上チキさんの知的で小気味よいトークが心地よく耳に届いてきます。どんな人かなと興味を抱いていたら、テレビ6チャンネルの「サンデー・モーニング」や5チャンネルの「朝まで生テレビ」にも時々出演していました。
  彼のことをお手軽にウィキペディアで調べさせてもらいました。

○荻上 チキ(おぎうえ チキ、男性、1981年11月2日 - )は日本の評論家・編集者。chikiというハンドルネームを持つ。特定非営利活動法人「ストップいじめ!ナビ」代表理事。テクスト論・メディア論を専門としている。『げんしけん』の登場人物「荻上千佳」(おぎうえ ちか)に因み荻上チキと称す。

  「荻上チキ・Session-22」は月曜から金曜までの夜10時から約2時間にわたって放送されているようです。番組案内を覗いてみます。

■荻上チキ・Session-22 月~金 22:00 - 23:55 (TBSラジオHPより)
発信型ニュース・プロジェクト~日本の新しい民主主義のためのプラットフォーム~
様々な形でのリスナーの皆さんとコラボレーションしながら、ポジティブな提案につなげる「ポジ出し」の精神を大事に、テーマやニュースに合わせて「探究モード」、「バトルモード」、「わいわいモード」などなど柔軟に形式を変化させながら、番組を作って行きます。 あなたもぜひこのセッションに参加してください。


  先々週のことでした。彼が、びっくりするような心引かれることを話していました。1週間の夏休みに、アウシュヴィッツ強制収容所に見学に行ったというのです。ガイドは日本人唯一人の中谷剛さんです。彼の許可を得て音声録音をしてきたのを翌週に放送するということでした。

○【音声配信】「耳で聴くアウシュヴィッツ強制収容所・見学ツアー?荻上チキ渾身の取材報告」ガイドは中谷剛さん▼2017年10月19日(木)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)

  ラジオ番組でもいつでもパソコンで聴けるのですね。昨夜じっくり聞く時間がとれました。見学終了後の中谷さんへのインタビューも含めて、実に内容の濃い「取材報告」になっていました。ブログを読んでいただいてる皆様には是非ラジオ音声を聞かれることをお勧めします。

          https://www.tbsradio.jp/ss954/

  私が1番印象的だったのは、中谷さんの話として、ホロコーストが「ユダヤ人は出ていけ!」というヘイトスピーチから始まったということです。ある意味「民主的」にナチスが政権を奪い、大衆の熱狂的な支持の末にアウシュヴィッツ強制収容所があったということでした。そして、チキさんの話では、ここを訪れてから体制に対して何でもしっかり発言しなければいけないなと肝が据わったと言っていたのが忘れられません。

  実は私も数年前にここを連れ合いと訪れています。英語グループのガイドは若く美しいポーランド人でした。私にはことばははっきりと伝わってこなかったのですが、彼女の表情から思いはしっかりと届いていました。ユダヤ人、ロマ族、政治犯、同性愛者などの持っていた靴やカバン、髪の毛の山が脳裏から離れません。
  そして、訪問の翌日、列車に同席した若い日本人の女性がアウシュヴィッツ強制収容所を一人で訪れると話していたのに心打たれました。漫画家を志しているという人でした。
  その何年か後、連れ合いは友人3人で再びここを訪れています。この時は事前連絡して中谷さんにガイドをお願いしました。
  私たちの今までのドイツの旅では、ミュンヘンのダッハウ強制収容所、ベルリンのグリューネバルト駅(ユダヤ人などを各地に送った)、ヴァンンゼー会議記念館(ホロコーストの様々な決定を下したところ)などを訪ねました。ドイツ各地にユダヤ人の名前や日付などを記したプレートが道路に埋め込まれています。ドイツは国を挙げての加害の歴史を後世に伝えようとしていると実感できるのです。
  さて、平和憲法を持った日本はどこまで加害の歴史を伝えているでしょうか。教師だった自分も反省を込め忸怩たる思いでこれを書いています。

〔157〕リベラル・バッシングが始まっても立憲主義を愚直に守り抜きますよ。

2017年10月14日 | 市民運動
  2017年9月に入ってからの日本の政局はめまぐるしく悪化の一途を辿っています。私たち国民の意思を全く無視して、自己保身やエゴをむき出した、見にくい権力闘争にこの日本は曝され続けています。
  憲法に基づいて野党が正当に求めた臨時国会開催を3ヶ月以上無視したあげく、国会開催冒頭に衆議院を解散した安倍首相、まさに大義なき解散でした。そして、民進党党首になったばかりの前原代表は、民進党のじり貧を嘆き「安倍一強体制を阻止する」という大義名分で小池都知事にすり寄り、できたばかりの希望の党に吸収合併され、完全な保守政党に堕落したのでした。自公政権の補完勢力に成り下がったのです。希望の党は失望の党であり絶望の党でしかありません。結果的に民進党は希望の党、立憲民主党、無所属に3分裂したのです。自公対希望・維新対リベラル政党という図式になりました。3極化して得をするのは自公政権に決まっています。
  反安保や反原発の集会で市民が主張したのは、自公対「市民+野党」の構図でした。アベノミクスの限界を知り、もりかけ問題でお友達内閣の実相を覗いてしまった市民は、政党を駆り立てて、リベラル共闘を画策し、かなりの手応えを得ていたのです。
  希望の党が出現しながらも、唯一の希望は立憲民主党ができたことでした。リベラルの結集にわずかの望みができたのです。市民+リベラル野党〔立憲民主党、共産党、社民党〕で頑張るしかないのです。
  このあたりの状況をしっかり見抜いているイロハネット(吉田隆さん主宰)というサイトに次のような共感できる一文が掲載されていました。全文はあまりに長いので、見出しだけでも紹介させていただきます。伊藤陽一さんの文章です。

■総選挙の対抗軸は、立憲主義を否定し、アメリカとともに世界の戦争に参加する戦争遂行の体制・特定秘密保護法・共謀罪の体制、辺野古基地建設・原発推進の体制、に賛成するか、これにNo! を突きつけるか、である
 総選挙とその後を通じて「市民+立憲野党共闘」の闘いを強化しよう
                     えんれい草・編集委メンバー 伊藤陽一

1.東京電力福島第一原発事故の廃炉作業のメドすらたたない中、帰還者・避難者の生業・生活復興を軽視・無視して、原発再稼働・原発輸出は許されない
2.特定秘密保護法、安保法制(戦争法)、共謀罪法の採決強行と実施、沖縄辺野古基地建設、沖縄県の反対の無視、市民運動への強圧・弾圧・横暴-恒久基地化は、「戦争をする国」体制をいちだんと強化・推進するものである。殺し・殺される戦争への参加、今日では、核武装・核使用を通じて、人類の存続すらを危うくしかねない戦争への参加を阻止したい。
3.「アベノミックス」―異次元的金融緩和の継続に継続。当初目標は達成できないまま、出口戦略は見当たらず、当初目標の達成も放置され始めている。際限のない国債の大量購入。日銀は独立性を放棄して政府と一体化し、黒田日銀総裁は居座り続けている。『どアホノミクスよ、お前はもう死んでいる』(佐高・浜 講談社新書-2017年9月20日)と言われている。
4 安倍首相の選挙戦
公明と口裏をあわせて「誠実に、愚直に」政策を訴えていきたい、今回の総選挙では「国難」への対応を問う、という。
5 小池百合子東京都知事・「希望の党」代表を 都民の1人として観察を続けている。
独裁者、「巧妙な極右翼勢力」、排外主義者、築地問題やオリンピック会場問題での責任放棄とカタカナ語使用に逃げ、キャッチフレーズでの幻惑・・・などの側面を持ちながら、隠し、そらし、注目をひき続けている、という観測・新聞記事がとびかう。それぞれの指摘は、もっともと思える。
 総選挙後、自(公?)+維新+「希望の党」との合作で、「体制翼賛会」再現―9条改悪、その過程で総理の椅子を狙うのか?
 終わりに
 7月7日の国連における核兵器禁止条約の採決は、世界がヒバクシャに共鳴し、日本の原爆反対運動に連帯して、こぎつけたものだった。これを推進したICANのノーベル平和賞受賞は、核兵器禁止の国際世論を勇気づけている。   
 沖縄の闘いは果敢に継続している。東電福島事故の東電を批判する大きな市民運動、そして原発再稼働を許さない国民の意向と運動が10日10日の福島地裁判決-国の責任・市制を厳しく問う-をもたらした。
 私たちは、特定秘密保護法反対、安保法制反対、共謀罪法反対、原発再稼働・新設反対の運動を「総がかり行動実行委員会」や「市民連合」、反・脱原発の全国団体に結集して、5年以上にわたって展開してきた。
 マスメディアは、今次の総選挙を3極の闘いとして描いている。
 しかし、上に見てきたように、総選挙は、憲法改悪による戦争体制の強化および原発推進体制を一段と強めるのか、これを阻止して平和で安全な日本を再興して、核のない世界をめざす国際運動と連携するのか、をめぐっている。
  民進党の突然の解体?にもかかわらず、「市民+立憲野党」の闘う体制が、前回の参院選の成果・経験を生かして速やかに構築された。多くの皆さんとともにこれを支持し、参加・協力していきたい。


  さて、リベラルということばがマスコミでもてはやされるにしたがって、すぐにリベラル・バッシングともいうべき現象が起こっています。次のような本が矢継ぎ早に出版されています。紹介する本はごく一部です。

■リベラル・バッシングの本が続々出版されている!
『リベラルという病』 (新潮新書)2017/8/9 山口 真由
『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』2015/6/15井上 達夫
『日本をダメにするリベラルの正体』2017/2/21山村 明義
『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』2016/5/26橘 玲


  ところで、私自身、リベラルということばが気になって、調べてみることにしました。
 新聞やウィキペディアを紹介しますので、ご一緒に考えてください。いくつかのヒントが見つけられますね。

●リベラル(ウィキペディア)
〔政治思想〕
*自由や平等にもとづく政治哲学である自由主義を支持する人について使用される。
・古典的自由主義 - 個人の自由、議会制の政府、人間がかかわるすべての領域において発展を促すための暴力を用いない政治的・社会的・経済的制度、政府による個人の人権と市民的自由を保証する政治・社会哲学を唱える考え方。
・保守的自由主義 (conservative liberalism) - 自由主義の一種で、保守的スタンスをもつ自由主義的な考え方や政策を指す。単に自由主義運動の右派などを指すこともある。自由保守主義 (liberal conservatism) やリバタリアン保守主義 (libertarian conservatism) とは異なる。
・経済的自由主義 - 経済にかかわる決断が、できるかぎり制度にもとづく集団ではなく、私的セクターの個人によって行われるようになるよう、経済を個人にもとづいて運営すべきだと考えるイデオロギー。
・社会自由主義 - 自由主義の中にあって社会正義が強調されるべきであり、失業、医療ケア、教育、公民権の拡大などに取り組むことが国家の正当な責務だと考える思想。

■「保守」「リベラル」って何?(毎日新聞2017年10月5日)
 民進党が「寛容な保守」を掲げる希望の党と、そこから排除された中道・リベラル派の立憲民主党に事実上分裂した。そもそも「保守」「リベラル」とは何か。【井上英介】

 保守(保守主義)は現状の制度や思想を尊重する立場。リベラルは英語の「自由な」に由来し、個人の自由を重んじて社会を変えていく立場で、欧米の歴史に根ざしている。
 ところが、今の日本で保守を代表する自民党は、日本国憲法が敗戦で押しつけられたものだとして伝統を重視する自主憲法制定を主張。安倍晋三首相が憲法改正を目指す。これに対し、戦後の基本的人権や平和主義に価値を置くリベラルの側は自民の改憲路線に反対しており、立場が逆転している。
 成田憲彦・駿河台大名誉教授によると、日本のリベラルのルーツは戦後の革新勢力にある。自由主義諸国とソ連など社会主義諸国の「東西冷戦」のもと、日本で1955年に自民党が誕生。社会党との与野党対決構図が続いた。労働組合の後ろ盾で護憲や反安保を訴える野党勢力は「革新」と呼ばれた。
 成田さんは「革新勢力は社会主義を理想としたが、90年前後の社会主義陣営の瓦解(がかい)で退潮した。今のリベラルは『革新マイナス社会主義』で人権・平和の理念を掲げている」と話す。自民党にも昔からリベラル派がおり、今は岸田文雄政調会長の率いる岸田派(宏池会)がそう目される。成田さんは「安全保障環境の変化などで自民党が右傾化しているが、国民の5割は改憲に反対だ。保守色が強まる国政の空白を埋める形で立憲民主が伸びる要素もある」とみる。
 一方、国際医療福祉大の川上和久教授(政治心理学)は「社会民主主義を掲げる欧州のリベラル政党は福祉を重視し、大きな政府を志向する。それには税負担が欠かせない」とした上で、「日本のリベラル勢力は福祉重視を訴えても必要な負担増をこれまで国民にきちんと求めてこなかった」と指摘する。「リベラル色を出そうと外交安保分野で政権批判を繰り広げてきたが、高負担を前提とする現実的な社会像を描き、保守勢力との対立軸として国民に示せるかどうかが、今後の試金石となる」と話す。


 はてさて、最後に市民連合の日本共産党、民進党、自由党、社民党の野党4党に申し入れた「衆議院議員総選挙における野党の戦い方と政策に関する要望」は次の通りです。私としてはこの7項目に沿って選挙運動に臨みたいと思います。

■市民連合の「衆議院議員総選挙における野党の戦い方と政策に関する要望」
 安倍晋三首相は、9月28日に召集する臨時国会の冒頭に衆議院を解散する決意を固めたと報じられています。憲法第53条に基づく野党の臨時国会召集要求を無視し、さらに代表質問、予算委員会における質疑をすべて省略して選挙を行うことは、言論に基づく議会政治を否定し、立憲民主主義を破壊する暴挙と言わなければなりません。
 この総選挙で再び与党およびその補完勢力に3分の2以上の議席を与えるならば、安倍政権が憲法改正を発議することは確実で、この選挙は憲政擁護の最後の機会となりかねません。立憲主義の原理を共有する4野党は、小選挙区においてそれぞれの地域事情を勘案し、候補者をできる限り調整することで与野党1対1の構図を作り、国民に憲政と民主主義を擁護する選択肢を提供する責任があります。
 私たち、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合は、4野党が以下の政策を重く受け止め、安倍政権を倒すという同じ方向性をもって、全力で闘うことを求めます。

 1 憲法違反の安保法制を上書きする形で、安倍政権がさらに進めようとしている憲法改正とりわけ第9条改正への反対。
 2 特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法など安倍政権が行った立憲主義に反する諸法律の白紙撤回。
 3 福島第一原発事故の検証のないままの原発再稼働を認めず、新しい日本のエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指すこと。
 4 森友学園・加計学園及び南スーダン日報隠蔽の疑惑を徹底究明し、透明性が高く公平な行政を確立すること。
 5 この国のすべての子ども、若者が、健やかに育ち、学び、働くことを可能にするための保育、教育、雇用に関する政策を飛躍的に拡充すること。
 6 雇用の不安定化と過密労働を促す『働き方改革』に反対し、8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立すること。
 7 LGBTに対する差別解消施策をはじめ、女性に対する雇用差別や賃金格差を撤廃し、選択的夫婦別姓や議員男女同数化を実現すること。
   2017年9月26日 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合