清瀬市臨時議会について語る前に、その前日の2025年2月2日(日)、清瀬市民の「市内図書館4館閉館についての賛否を問う住民投票実現を願う」アピール行動について報告しておきます。
テレビの週間天気予報で、この日は雪になるだろうという情報が流れていました。しかも日中5度以下のこの冬1番の寒冷日だというのです。
午前11時、清瀬駅北口から歩いて数分のところにあるかぜのこ広場(新小金井街道にほど近い)に三々五々約80名の参加者が集まったときには、小雨が降り始めていました。
発起人の挨拶の後、スピーカーを先頭に、シュプレヒコールが住宅地に谺しました。
かぜのこ広場から清瀬駅北口のロータリー、小金井街道の踏切を越えて都立清瀬高校方面に右折して、中央公園に到着し、総括の集会です。
清瀬・教育って何だろう会や清瀬・憲法九条を守る会で共に活動した仲間の故・布施哲也さん(清瀬市議)が、このコースを行進しながらマイクを握っていたことを思い出していました。
さてその翌日、2月3日(月)は「市内図書館4館閉館についての賛否を問う住民投票」を審議する清瀬市臨時議会の日でした。開会が10時ということでその少し前に市役所4階に仲間と駆けつけたところ、ロビーはすでに大勢の人で溢れかえっていました。なんとNHKのテレビカメラも入っていました。最前列の記者席には数人の記者の姿がありました。傍聴席は30人で満席、入りきれない人はロビーの中継カメラでの傍聴になっていました。ここにも40人ぐらいはいたのではないでしょうか。
「10時間超えのフジテレビ会見」が何かと話題になっていますが、小学校と大学で50年にわたって演劇教育を追求してきた私にとって、今回の清瀬臨時議会はまさにそれ以上の「お笑い劇場」に映りました。
午前中は議長による日程、請願代表者4人の陳述方法、傍聴のあり方などの確認で10分ほどで終了、午後は1:15開会というのです。3時間傍聴席にいてもしょうがないので、自宅に帰って食事をすませ出直しです。
再開後、4人の陳述(一人5分以内)は実に立派、図書館行政の不行き届きを事実に即して明らかにし、住民投票の必要性を訴えました。その後、賛成する議員からも反対する議員からも数多くの質問がありました。
何度か途中休憩を取りながら議事が進行していきましたが…。
教育長が話をしているときに信じられないことが起こりました。いきなり清水ひろなが議員(清瀬自民クラブ)が緊急動議を出したのです。議運で話し合いをしたいということのようでしたが、人の話の途中でそれをぶった切ったのです。しかもそれを平然と認める議長、まさにこれはお笑い劇場①でしょう。
宮原りえ、小西みか(風・立憲・ネット)、原田ひろみ、香川やすのり、佐々木あつ子、穴見れいな(日本共産党)、ふせ由女(共に生きる)各市議の住民投票賛成意見は説得力があり、どなたにも聞き惚れました。
鈴木たかし(公明党)市議の発言にはあっけにとられました。住民投票反対の理由が2000万円かかる費用のことでした。図書館政策に対する諮問委員会にも、パブコメにも4館廃止ということを明示しないで、こっそり行政を進めてきたツケがまわってきたという反省がここには全くないのです。市が進めている老朽車両で「夢空間」を創るという費用は2億1800万円(移設3800万、修復工事1億、屋根などの設置に8000万)かかるといいます(お笑い劇場②)。
お笑い劇場③は松本じゅん(風・立憲・ネット)、石川秀樹(無所属の会)両市議です。2人に共通している反対理由は、清瀬市はお金がないからというものです。「夢空間」で2億1800万円、図書宅配サービスで1億円、一体いくらかかるのか、梅園に新たな保管書庫を作るそうです。そしてすべての初期投資が5億円かかるそうです。こうした事実を二人はどう考えるのでしょうか。
市が発行した「more! KIYOSE」では図書館4館閉館は「経費削減が目的ではありません。」とはっきり書いているではありませんか。だからお笑いなのです。
午後9時45分ぐらいだったでしょうか、残念ながらこの案件は賛成少数で否決されました。
でも不思議なことに、負けた実感がまったくありません。定足数の6倍を超える署名7674筆が集まったのですよ。住民投票が実現していたら、おそらく勝っていたでしょう。それをおそれて、住民投票には進ませたくなかったのでしょう。
元町こども図書館をしばらく?存続するというのです。運動の成果で良かったね、というような上から目線の発言もあの2人はしていましたね。
やはり次は澁谷市政を替えるしかないようですね、皆さん!
闘いはこれからです。
◆『未来からの遺言 ある被爆者体験の伝記』
鎌田 慧(ルポライター)
東京の出版社を辞めて長崎に移住した西浩孝さんから本が送られてき
た。彼が1人で起こした「編集室水平線」から出版された伊藤明彦著
『未来からの遺言 ある被爆者体験の伝記』。
読み進みながら、恥ずかしさに息苦しくなった。ルポルタージュを仕
事にしていながら、16年前に72歳で他界したこの著者のことを知らな
かった。
著者は長崎放送に勤めた後、全国に散った被爆者千人の声を録音、
全国の図書館などに寄贈した。全て自費での仕事である。
被爆者取材に一生を懸けた営為を、西さんは『伊藤明彦の仕事』全6
巻にまとめる計画だが、わたしは遅ればせながら『未来からの遺言』を
読み、圧倒させられ、その決意を納得した。
被爆者の吉野啓二さん(仮名)との出会いと被爆体験が細やかに描か
れている。被爆体験、入院生活、社会復帰などについて、豊かな生々し
い感情と情景に満ちた録音が残されている。
しかし、 全く予想もしなかった結末を迎える。
「吉野啓啓二さん」の遺体が、奥秩父の山中で発見される。謎の自死
だった。
証言はどこまでが、自己体験だったか。それは分からない。
しかし、死者たちは、吉野さんの口を借りて語った。
「その苦悩に満ちた生は、それが核兵器を再び使わせず、廃絶させる
ことに役立てられる道を通じている」と著者は書く。
(1月28日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)
◆デマ(人の命をも奪う)と報道
史実…関東大震災時の朝鮮人虐殺
斎藤美奈子(文芸評論家)
18日、元兵庫県議で、斎藤元彦知事らに対する告発文書の真偽を調べ
る百条委の委員だった竹内英明さんが死亡した。一連の告発文書問題に
おいては文書作成者だった元西播磨県民局長につぐ2人目の死者である。
翌19白、N国党の立花孝志党首が「竹内元県議は明日逮捕される予定
だった」「逮捕が怖くて命を絶った」などとXや動画で発信。情報は瞬
時に拡散され、20日、兵庫県警本部長が県議会で「全くの事実無根」と
述べる異例の事態に発展した。
デマは時に人の命をも奪う。その最たるものが関東大震災時の朝鮮人
虐殺だろう。
「朝鮮人が放火した」などの流言の拡大には当初行政や新聞も加担。
警視庁は6日後にデマは処罰の対象になると警告するビラを出した
が、多数の殺害事件はすでに起きた後だった。
右の史実は重い教訓を残す。デマの拡散を防ぐには、公的機関や新聞
テレビなどの報道機関が虚偽情報をきっぱりと、迅速に、大々的に否定
することが必要なのだ。
生前の竹内さんはデマや誹謗(ひぼう)中傷に悩んでいたという。25日
のTBSテレビ「報道特集」がこの件を特集、立花氏および同様の虚偽
情報を流した東国原英夫氏に発生源としての責任を問うたのはその意味
でも有益な報道だった。
とはいえ、もっと早く対応していれば最悪の事態は避けられたかもし
れない。残念でならない。
(1月29日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)
◆改竄関係文書を開示せよ
前川喜平(現代教育行政研究会代表)
赤木雅子さんの弾んだ声がテレビから聞こえてきた。「(夫も)喜んで
くれてると思います」
森友学園に関する文書改竄を苦に自殺した赤木俊夫さんの妻雅子さん
が、財務省が検察に提出した改竄関係文書の不開示決定を取り消すよう
求めた裁判で、1月30日大阪高裁は一審判決を覆し、文書の存否を明ら
かにしないとした財務省の不開示決定を違法として取り消す判決を
出した。
真相究明に向けてやっと一条の光が差してきた。
雅子さんの開示請求は 2021年8月、菅義偉首相の時。財務省の不開示
決定は同年10月、岸田文雄首相の時。違法な不開示決定の責任はこの2
人の首相にある。今後の開示・不開示を決めるのは石破茂首相だ。
判決翌日の衆院予算委員会で石破首相は俊夫さんについて「誠心誠意
職務に精励しておられた方が亡くなったことは真撃に受け止めなければ
ならない」と述べ、「奥さまが納得されることはとても大事」とも述べた。
ならば全面開示を指示すべきだ。もし石破首相がなお開示を指示しな
いなら衆院予算委員会は国政調査権を発動すべきだ。
焦点は、改竄が始まる直前の2017年2月22日、菅官房長官(当時)と佐
川宣寿理財局長(当時)ら財務省幹部が何を話し合ったのかだ。改竄の
共謀を知りつつ全員を不起訴にしたのなら、検察の責任も重大である。
(2月2日「東京新聞」朝刊17面「本音のコラム」より)