後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔433〕痛快! 最新の『通販生活』(2022春号)と『生活と自治』(2022.2月号)を紹介しましょう。

2022年01月29日 | 図書案内
 『通販生活』の表紙の猫ちゃんが好きです。時にはふてぶてしく、いわくありげなのです。表情豊かな猫の作者はどなただったか、目次や後書きに探してみるのですが残念ながら見つけることができませんでした。



 2022年春号が届きました。買い物ページより読み物ページが私は好みです。丁寧にゆっくり立ち止まって読ませられたのが次のページです。

*「岸田首相、海上自衛隊の『空母』保有は憲法九条違反ではないのですか」半田 滋
*「90歳になった谷川俊太郎さんに、人世について27の質問をする」
*「都立第五福竜丸展示館」梯 久美子
*「名古屋入管ウィシュマさん事件・続報」
*「11年目の”忘れられた”福島」青木美希 

 とりわけ最後の青木美希さん(朝日新聞)の2つの福島原発被害者ドキュメント「14歳の長男が自殺した理由はわからない。父親は『なぜ』という問いを繰り返す。」「元・原発作業員は、自らの太陽光発電施設の完成直前、脳出血で亡くなった。」が心に重く響きます。
 『通販生活』は本屋でも入手できます。

 高島平の団地から狭山市のマンションに引っ越したのは70年代の半ば過ぎでした。野放しの食品添加物に危機感を抱いた我々夫婦は、生活クラブ生協に共感して班をつくることになります。80年代に入って現在の清瀬市に転居し、ここでも新しく班をつくりました。鶏肉や牛乳など特に好んで注文しています。
 生活クラブ生協が発行している48ページの月刊誌が『生活と自治』です。組合員に配布されるだけで市販はされてないようです。100円という安価でもあり、本屋に並べれば間違いなく売れるでしょうに。



 次に列挙するのは私の好きな連載です。

*「僕が出会った子どもたち」西郷孝彦
*「新・反時代のパンセ-不服従の理由」辺見庸
*「この人に聞きたい」上野千鶴子
*「戦下の記憶」撮影・長谷川健郎、文・加田斎
*「停止しない思考」森達也
*「対話する日々の中で」安田菜津紀

 上野千鶴子さんはインタビューで『生活と自治』の辺見庸のコラムをよく読むと答えていますが、私も同じです。

〔432〕第2回福田緑写真展「祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く」大好評、大盛況のうちに終了しました。

2022年01月26日 | 美術鑑賞
 1月19日(水)から24日(月)まで6日間開催されていた第2回福田緑写真展「祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く」は掛け値なしに大好評、大盛況のうちに終了しました。
 オミクロン株が猛威を振るうコロナ禍の中、一時は感染者に比例するように来場者が増えていったのは事実でした。第1回は2週間の会期で約500人の来場者があり、大健闘したと思っていたのですが、今回は半分の期間でほぼ同数の500人近くの来場者があったのです。
 前回は日経新聞、東京新聞、朝日新聞、しんぶん赤旗など多くの新聞が取り上げてくれました。今回はそうした手回しができなかったのですが、直前になってアサココ(朝日新聞とともに月2回配布される多摩地区限定新聞)が取材に訪れ、展示2日目に家庭に配布されたのでした。このアサココ効果が絶大で、おそらく来場者の九割はその読者でしょう。次に多かったのは地元の展覧会開催協力者Iさんの集客力です。Iさんの働きかけによる国分寺市の市報掲載、前回観覧者や我々のミニコミ読者への手紙作戦も功を奏しました。
 来館者の中にはルポライターの鎌田慧さん、カメラマンの樋口健二さん、武蔵大学教授の永田浩三さんといった著名な方もおられましたが、ほとんどは多摩地域在住の市民の皆さんでした。

 私にとって嬉しかったのは同世代の元小学校教師仲間が駆けつけてくれたことでした。
 山﨑隆夫(昔の仲間はこうした呼び方になってしまいます)は東京学芸大学の同期で、バドミントン部に所属してダブルスを組んだ親友でした。定年退職後、都留文科大学で講師を勤めています。
 山﨑と一緒にいらしたのが霜村三二さん、やはり定年退職後、都留文科大学や白梅学園大学で講師を勤めています。
 そして、ひょっこり現れたのがやはり大学のバドミントン仲間の遠藤勝でした。来場の予告がなかったので嬉しさ倍増でした。
 3人とも畏友ともいえる存在で、いずれも教育界では名の通った人たちばかりです。

 山﨑との再会後、私が写真を送ったメールに返信がありました。

◆福田へ
 写真送ってくれてありがとう。感謝です。
 あえてよかった。あっというまのぼくたちの人生だけれど、大学時代の4年間が深く懐かしく思い出される。 
 それだけ刺激的だったんだろうね。
 福田が、緑さんと共に大切な日々を丁寧に、しかも研究的に、かつ好奇心いっぱいに送っていらっしゃることに敬服です。
 ブログに写真展に行ったことを記していますので、その記事を添付しておきます。
 遠藤がきてくれたのはうれしいね。

             2022,1,25    山﨑隆夫

 というわけで、山﨑のブログの文章を再録させてもらいます。

*山﨑のブログ https://ameblo.jp/takao-yama/entry-12722772818.html

◆懐かしい友と会う
 大学時代の親友・福田三津夫(以下、当時の呼び方で福田と呼ぶ。敬称をつけない方が自然体でいいのでね)から、『福田緑写真展』の案内をいただいた。緑さんは福田のパートナー。
 福田とは、大学時代バトミントン部に所属しダブルスを組んでいた。関東国公立大会で優勝した。リーグ戦でも常に一緒だった。
 福田とぼくと、もう一人の友人Yと3人で、互いの結婚式の司会をしあった。

 写真展の会場は、国分寺駅北口の『司画廊』。
 2週間近く前、霜村さんに電話して「福田緑さんの写真展いかない?」と連絡を入れた。福田と霜村さんは、民間教育団体の雑誌『演劇と教育』でつながっている。埼玉大学の岩川直樹さんを通してのつながりかな(岩川さん、お名前を出したごめんなさい)。
 霜村さんから「行こう」という返事。
 しかし、コロナ感染(オミクロン株)拡大がとまらない。さてこんな状況下、写真展に誘っていいのか悩んでいた。そんなとき、霜村さんから電話があった。
「写真展が始まったでしょう。明日辺りどう?」
 それで決断。やっぱり2人で会いに行こう。

 土曜日の正午。国分寺駅で待ち合わせ。
 北口から5分、西武国分寺線の踏切を渡ったすぐ傍のビルに『司画廊』があった。
 地下への階段を降りる。
 写真展の名称は、『福田緑写真展№2 祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』。
 ドアを開けると緑さんが「いらっしゃいませ」と挨拶して迎えてくれた。
まだ、ぼくだとは気づかない。
「緑さんでしょう。山﨑です!」
「ああ、山崎さん。来てくれてありがとうございます。いま福田を呼びます」
 福田と懐かしい再会。
 霜村さんとも久しぶりの出会いじゃないかな。
 広々とした画廊の壁に、たくさんの写真が飾られている。全部、緑さんが撮った写真だ。リーメンシュナイダー(1460年ごろの生まれ~1531年)の宗教彫刻が並ぶ。
 緑さんは、33年間小学校教師を務めた後、2005年に退職。1999年ドイツでリーメンシュナイダーの作品と出会い、「追いかけ人」となる。

 壁に並ぶ写真を見て歩いた。リーメンシュナイダーの彫刻の美しさが緑さんの目を通して、2倍、3倍になって、見る者の心に迫ってくる。人間そのものの存在を深く掘り下げたようなリーメンシュナイダーの彫刻は、緑さんの写真によって、心と分かちがたく結び合う人間の身体、内奥、息づかい、細やかな感情の動き等を見事に写しだし、新たな光の中で輝きをましているように思われた。
 パンフレットの説明に『ドイツ・ルネサンスの先駆け』という言葉が記されていたが、その意味が深く伝わってくる。
「緑さんの写真にとらえられた彫刻を見ていたらね、福田と似ているものがあったよ」
 そうぼくは伝えると、彼は笑って、ある写真の前に連れて行ってくれた。

 写真展を見終えて、福田と再会を約束し、2人で外に出る。
「神原さんが『哲学カフェ』を開いていた『胡桃堂喫茶店』に行こう」
 と、霜村さんが誘ってくれた。
 すこし歩くと、広い三叉路の向こうに、やわらかな灰色の折り紙を二つ折りにして立てたような建物が見えた。入り口のガラス窓に、時間が昔に巻き戻されたような昔風の金色の文字が縦に書かれていた。
「ああ、ここで神原さんは様々な人たちに呼びかけて『哲学カフェ』を開いていたんだ」
「昨年の1月、神原さんが亡くなった。あまりにも突然で今も信じられない」
 霜村さんがつぶやく。
 2階の広いテーブルの1つに距離をとって座る。店の前で待っていてくれたMさんも交えて3人でおしゃべり。2人はブレンド。ぼくは、まず『お汁粉』を頼んで、それからブレンドを注文。

 写真展はとてもよかった。
 そして、元気な福田と会えたこともうれしかった。彼はまだ大学で学生たちを教えている。


 そして三二さんも来場の様子を実に丁寧にブログに書いてくれました。メールとともに紹介させてもらいます。

◆福田さん

写真展を見て、感激しました。
緑さんの行動力、三津夫さんのサポート、素晴らしいなあ。
山﨑さんから、写真が送られてきました。みんな同じ年齢。元気にそれぞれのやるべきことを続けましょう。

ブログ「さんにゴリラのらぶれたあ」に紹介しました。
リーメンシュナイダー写真展へ、最後はトホホ | さんにゴリラのらぶれたあ
*三二さんのブログ https://ameblo.jp/sanni1132/entry-12722281708.html

ありがとうございました。
本日、頼まれて、白梅短大にて「言語」2コマの授業をします。
ことばで遊ぶという内容。
                            霜村三二

〔431〕1月19日(水)、いよいよ今日から第2回福田緑写真展「祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く」が国分寺市で始まります。

2022年01月19日 | 美術鑑賞




 昨日、正午前から夜6時過ぎまで、第2回福田緑写真展「祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く」展示の準備が国分寺市の司画廊で行われました。
 清瀬市民の仲間2人と我々夫婦2人、地元からも強力な応援者1人、画廊のスタッフなど2人、合計7人での展示準備でした。
 会場となる司画廊は第1回写真展の練馬江古田のギャラリー古籐より印象として2倍近くの広さのあるところでした。そのためかなりゆったりと鑑賞いただけるのではないかと思います。今回は会場の広さも考えて、写真パネルを17枚増やしています。会場では詰めすぎになるため入り口や階段にも展示することにしました。それぞれの作品の丁寧すぎる? キャプションはご満足いただけるものになっているのではないかと思います。
 会場では既刊写真集4冊だけでなく、我々夫婦2人の著書なども割引特価で販売しています。6月出版予定で2人の共著となる写真集5冊目の割引予約なども受け付けています。
 チャリティー用の絵はがきも販売しています。
 有り難いお知らせ1つ。明日のアサココ(朝日新聞に付いてくる月2回発行の地域紙、東京多摩地域配布)に緑のインタビュー記事が載る予定です。先日長田米子記者が取材のため我が家を訪ねてくれました。ご注目ください。

《追記》アサココが発行されました! とても素敵な記事が掲載されています。クリックしてみてください。

http://asacoco.jp/topnews/%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%a1%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a5%e3%83%8a%e3%82%a4%e3%83%80%e3%83%bc%e3%81%ab%e9%ad%85%e3%81%9b%e3%82%89%e3%82%8c%e3%81%a6/

 緑は24日(月)までの全日、三津夫もほぼ毎日在廊しています。
 どうぞコロナに気をつけておいでいただければ幸いです。お待ちしています。

〔430〕「清瀬を世界に知らしめた漫画、谷口ジロー『歩くひと』」をミニコミ紙より一足早く発表します。

2022年01月15日 | 図書案内
 あるミニコミ紙から依頼されて「清瀬を世界に知らしめた漫画、谷口ジロー『歩くひと』」という文章を書きました。ブログの読者の皆様には一足早く読んでいただきます。
 さらに付録として、『歩くひと』が実際何処を歩いたのかの私の「推測」を発表します。(  )は特定できてないところです。どなたかわかるようなら教えていただきたいのですが連絡の取りようがないか。
 第2話の金山橋で主人公はトンボの敷石を見つけてびっくりするのですが、実際は橋のデザインだったことを発見しました。



 彼が住んでいた台田団地近辺の台田の杜なども散策しました。ここは『犬を飼う そして猫を飼う』(小学館)の舞台になっているところのようです。この本については近々書いてみようかと思っています。

 それでは短いエッセイを!

◆清瀬を世界に知らしめた漫画、谷口ジロー『歩くひと』

 昨年の暮れ、「谷口ジロー『歩くひと』」(「新美の巨人たち」テレビ東京)という番組を何気なく見ていて心躍る発見がありました。海外では手塚治虫に並ぶ漫画家として谷口ジローは著名だというのです。フランスを初めとしてドイツ、イタリア、韓国、中国などでも多くの賞を獲得しているようです。
 世界で最初に評価された作品は『歩くひと』(NHKでドラマ化)で、その舞台は主に清瀬市です。番組では女優の寺島しのぶさんがアートトラベラーとなり、柳瀬川の川縁や中里富士、おそらく旭が丘の神社などを訪ねています。
 谷口ジローは私より2つ上の団塊の世代であるばかりでなく、柳瀬川に近い台田団地近辺住んでいたというではありませんか。その後アトリエを構えることになる東村山市は私の教職最後の地です。実は彼は『孤独のグルメ』の作者でした。

 ようやく手に入れた『歩くひと・完全版・谷口ジロー』(小学館、2020年8月)をじっくり舐めるように読み味わいまたまたびっくりしました。中里富士や柳瀬川近辺、清瀬駅南口商店街、清瀬中央図書館、清瀬中央郵便局、柳瀬川通りからの街の眺望など、私にはほとんど場所が特定できるのです。清瀬駅南口の喫茶店は私が何かと利用したところです。第4話では主人公は秋津駅近辺から旧・いなげやの前を通り、野塩八幡神社まで描かれているのです。東村山市の萩山近くの西武線や線路下の通路も描かれています。ここも教師時代バイクでよく萩山小に出張したのでした。
 どことなく小津安二郎の映画作品に共通するような静かなドラマ性を感じさせます。さらに大友克洋の劇画に似た端正な絵がとても素敵です。清瀬に住んでいたこともある映画監督・是枝裕和さんのエッセイ「カタクリの花」が秀逸でした。
 『犬を飼う』も清瀬時代の作品といいます。読んでみなくちゃ。
 2017年2月、谷口の逝去が惜しまれます。

 谷口ジロー関連の展示会は次のとおりです。

■清瀬中央図書館・特別展示「漫画家 谷口ジローさんを偲んで」
2021年12月15日(水)~2022年1月30日(日)
■世田谷文学館・描くひと 谷口ジロー展
2021年10月16日(土)〜2022年2月27日(日)  


◆漫画『歩くひと・完全版』(谷口ジロー)
〔小学館 2020年8月発行 2,500円+税〕

*表紙(          )

第1話 鳥を見る    金山調節池・清瀬橋近辺の書店
第2話 雪が降る 中里4丁目坂・柳瀬川通り・金山橋
第3話 町に出かける  清瀬郵便局・清瀬大踏切・清瀬駅南口商店街・秋津駅南口野塩地区
第4話 木のぼり 秋津駅近辺・喫茶「縁」・いなげ屋・野塩八幡神社
第5話 雨が降る 清瀬駅南口・中里富士
第6話 夜泳ぐ 清瀬中央図書館・旧中央公園プール
第7話 台風のあと 柳瀬川遊歩道
第8話 長い道 東村山市萩山・多摩湖
第9話 星の降る夜 (      )・清瀬駅南口喫茶店ことぶき
第10話 路地をぬける (       )
第11話 かすんだ風景  金山緑地公園
第12話 桜の寝床    (         )
第13話 忘れもの 柳瀬川遊歩道?
第14話 夜明け     上清戸1丁目?
第15話 よしずを買って   旧ビックサム
第16話 いい湯だな  (       )
第17話 海を見に来て  江ノ島

*「カタクリの花」是枝裕和
*「歩く…井の頭公園で」
*「川を遡る」

・「週刊モーニング」(講談社)の増刊「パーティー増刊」1990~91連載
・『歩くひと』1992年1月
・谷口ジロー 1947~2017

〔429〕谷口ジローの漫画『歩くひと』(小学館)の舞台のほとんどが清瀬市内、4分の3は特定できました。

2022年01月04日 | 図書案内
 私にとっては谷口ジローという馴染みのない漫画家のためあまり大きな期待もせずに録画した「新 美の巨人たち」を見ました。ところがなんとなんと、谷口ジローの『歩くひと』に猛烈にはまってしまったのです。
 とりあえず番組の概要を眺めてみてください。 

■番組タイトル 【新美の巨人たち】谷口ジロー「歩くひと」×寺島しのぶ 
放送局 テレビ東京
放送日時 2021年12月18日(土)22:00~22:30

漫画「孤独のグルメ」などで知られる漫画家・谷口ジローは、アーティストとして世界で高く評価されている。例えばフランスでは、手塚治虫に並ぶ漫画家として有名だ。

海外にその名を知られるようになったのは、セリフがほとんどない「歩くひと」。平凡な男がひたすら歩くだけの漫画は、なぜ、世界中の人を魅了するのか?ずっと眺めていられる絵を生み出す作画のテクニックとは?

女優の寺島しのぶがアートトラベラーとなり、「歩くひと」の舞台となった東京・清瀬市を歩く。(読売新聞デジタルコンテンツ部)


 おやおや、谷口ジローは2つ上の同世代であるばかりでなく、清瀬市に一時期在住していたというのです。居住地はどうやら柳瀬川に近い台田団地近辺というではありませんか。その後アトリエを構えることになる東村山市は私の教職最後の地です。
  番組で寺島しのぶさんが訪ねた場所は、柳瀬川の川縁や中里富士、旭が丘の神社などで馴染みのあるところばかりでした。
 ネットで谷口ジローを検索すると、清瀬中央図書館で特別展示「漫画家 谷口ジローさんを偲んで」をやっているとあるではありませんか。早速訪ねてみたところ、2階のカウンター前に 谷口ジローコーナーがありました。3,40冊の関連本が本箱に収まっていました。

■清瀬中央図書館・特別展示「漫画家 谷口ジローさんを偲んで」(清瀬市サイトより)

『孤独のグルメ』や『坊っちゃんの時代』等の作品で、日本だけではなくフランスを始めとするヨーロッパでも評価が高い漫画家、故谷口ジローさんは、以前清瀬市にお住まいになり作品の中に中里富士や中央図書館を描かれています。谷口さんを偲び、すばらしい作品の数々を中央図書館で展示いたします(貸し出しはお一人様一点まで)。
展示期間
令和3年12月15日(水曜日)から令和4年1月30日(日曜日)まで


  そしてようやく手に入れたのが『歩くひと 完全版 谷口ジロー』(小学館、2020年8月)でした。(不覚にもアマゾンで高額の本を買ってしまいました、ご注意を。定価:本体2500円+税)



 その本をじっくり舐めるように読み味わいまたまたびっくりしました。中里富士や柳瀬川近辺、清瀬駅南口商店街、清瀬中央図書館、清瀬中央郵便局、柳瀬川通りからの街の眺望など私にはほとんど場所が特定できるのです。清瀬駅南口の喫茶店は私が何かと利用したところです。秋津駅近辺も登場します。駅前の喫茶室「縁」からいなげ屋を経由して、私が議会報告を配布している地域にある野塩八幡神社まで描かれているではありませんか。漫画ではここで遊んでいた子どもが飛行機を木にかけてしまい、主人公が取ってあげるというストーリーになっています。
 おもしろがって連れ合いといちいち確認しながら頁をめくりました。東村山市の萩山近くの西武線や線路下の通路も描かれています。ここも教師時代バイクでよく萩山小に出張したのでした。

 なんといっても大友克洋を想起させる緻密な谷口の絵がとても素敵です。ストーリーとしては小津安二郎の映画作品に近いものを感じさせます。静かな漫画といったところでしょうか。そして清瀬に住んでいたこともある映画監督の是枝裕和さんのエッセイ「カタクリの花」が秀逸でした。
 2017年2月、谷口の逝去が惜しまれます。追悼の意を込めてやはり清瀬が舞台だという『犬を飼う』を読んでみたいと思います。

 現在、世田谷文学館で谷口ジロー展が開催されています。ここには足を伸ばすしかないでしょうね。

■描くひと 谷口ジロー展(せたがやアーツナビより)

10月16日(土)〜2022年2月27日(日)  世田谷文学館

日本はもとより海外でも多くの読者を持つ漫画家・谷口ジロー(1947-2017)の作品世界を、貴重な自筆原画など約200点でご紹介する大規模個展です。海外では大人の読者に堪える芸術として高い評価を受け、フランスのルーヴル美術館からもオリジナル作品を委嘱されています。
料金:一般900(720)円、65歳以上・高校生・大学生600(480)円、小・中学生300(240)円  ( )内は、アーツカード割引料金
開館時間:10:00〜18:00 
休館日:月曜日(月曜日が祝・休日の場合は翌日)

〔428〕東村山市秋津町在住・田浪政博さんからの「年賀状」は一風変わった読み応えのあるものでした。

2022年01月03日 | メール・便り・ミニコミ
 武蔵野線の新秋津駅から1分の所に行きつけのラーメン店、秋津屋がありました。
 私が東久留米九小に在任中に、東大生2人が月1回土曜日、授業見学にやってきました。
 時は1998年の秋、フレネ教育者国際会議が飯能の自由の森学園で10日間開催された後のことでした。彼女らも私も開催国実行委員として知り合ったのです。
 半日授業を公開した後、私の車で秋津屋に直行したものです。食後は近くの喫茶店で授業にまつわるあれこれをとりとめなく話したものでした。
 この秋津屋を私が贔屓にしていたのは、添加物のかん水を使わないで麺を打っていて、身体や環境に優しいラーメンが美味しかったからです。さらに加えて店主の田浪さんの考え方に共感するものが多々あったからでした。
 田浪さんは開店10周年記念として、戦後すぐに発行された文部省が作成した『あたらしい憲法のはなし』を復刻出版したのです。東久留米九小の全校児童の前で東京大空襲の話をしていただいたこともありました。
 ここ数年は仕事をリタイアされて、身体も悪くされています。

 その田浪さんから一風変わった封書の年賀郵便が届きました。
 通院を繰り返す中、おもに東村山市内での市民運動の様子、鑑賞された映画や演劇のこと、社会事象などが報告されています。
 さらに数種類の新聞、チラシのコピーも添えられていました。

・劇団風の子の劇「遠いチャンネル」のチラシ…「遠いチャンネル」は田浪さんを取材して神田成子さんが創作した芝居です。
・落合恵子の「ちょっと待ってMONDAY」(文化放送)の「あなたは憲法のどこを大事にしたいですか」に田浪さんが登場しています。
・2020年3月19日、朝日新聞夕刊に連載「マダニャイ とことこ散歩旅」の「志木街道40秋津商店会」に田浪さんが登場しています。
・「戦死した父から届いた戦地の手紙」(東京新聞2020年8月13日)に登場。同時期に読売新聞、毎日新聞掲載のコピーも。国分寺市の平和祈念式に資料提供されたという記事です。

 秋津屋の隣の2階の喫茶店で政治や社会について話し合ったことが懐かしく思い出されます。このブログの1つ前に登場された正嘉昭さんも秋津屋の常連でした。